見出し画像

【採用ストーリーブック】オンラインで印象に残る採用体験づくり〜前編〜


 こんにちは!今日も筆者と一緒に「すごい人事(※)」を目指し、いっぱい吸収していきましょう!

 前回投稿解説させていただいた採用CX(候補者体験)について、非常に好評だったため、今日は採用ストーリーブック(採用ピッチ資料)にフォーカスを当てて、活用の解説を進めていきたいと思います。

※すごい人事…「採用トレンド」を理解し「アジャイルな(変化に対応できる)組織づくり」ができるVUCA時代の引っ張りだこ人事!

【このシリーズを読んでほしい人!】
・「いい人」が集まる仕組みをつくりたい!経営者の方
・より「本質的な採用活動」の仕組み作りをしたい人事担当の方
・採用CXに取組みたいものの、イマイチ現場まで落とし切れず苦戦している人事担当の方
・面接に入るものの、もっと良い求職者との関わりを模索するマネージャーの方
【このシリーズを読むことでのベネフィット】
・感動体験をつくる、「採用CX(候補者体験)」の概要が理解できる
・採用CXにおける実行戦略イメージが湧く
・採用活動の質が向上し、選考遷移率等の改善に役立つ


0.はじめに 採用ストーリーブックって?


「採用ストーリーブック(採用ピッチ資料)」とは、採用サイトとは違い、流動的かつ個別性のある情報開示に適した新しい採用手法です。

 パワーポイント などで制作したスライド資料をオンライン上に掲載する手法で、柔軟性に富んでおり、自社内の人事担当でも気軽に編集できることから、昨今人事の活用が進んでいます。

こんな感じ。


ポイントとしては、
✔︎URLですぐ共有できるため、オンライン採用に最適
✔︎非公開URLで送りたい人のみに共有可能
✔︎ATSを選ばない(メール等でもURL入れて送れる)
✔︎編集も可能なので、人事でも柔軟なカスタマイズや修正しやすい
✔︎採用資産として蓄積していける

会社紹介資料、採用ピッチ資料、など呼び方は様々ですが、私たちは想いも込めて、「採用ストーリーブック」と呼んでいます。

1.採用ストーリーブックと採用サイトの違い

以下に、採用ストーリーブックと採用サイトの違いをまとめました。
採用サイトだとエンジニアの方やら広報の方やらと確認したり、公開までのリードタイムも長く、社内折衝や情報の更新が大変です。
採用ストーリーブックであれば、人事の方でもパワーポイント で修正できるので、手軽ですし、職種ごとに制作もできるので、採用活動ととても相性がいいなあと思っています。

画像4

筆者も人事時代、採用サイトを作りましたが、辞めてしまった方の情報差し替えであったり、求人情報の情報差し替えなど、何度も何度も情報差し替えを行って、年度ごとに情報チェックして…というのが非常に億劫だった記憶があります…。
その点、手元でさくっと修正できるのはとてもありがたいなあと思います。


2.採用ストーリーブック活用①ひとり歩きしている会社情報を「正しく伝える」

採用ストーリーブックの活用が活発化し始めた背景を1つずつ、紐解いていきましょう。まず、オンライン採用が増加してきたことによる影響です。


✔︎オンライン採用が加速
 → 対面で得られた会社情報(=会社の雰囲気・文化など)にアクセスしづらくなった
✔︎SNSの普及
 → 求職者の会社情報の収集源がオンラインへ移行(=採用サイト、SNSで検索、口コミサイトなど)
✔︎その結果、会社情報のひとり歩きが加速
 → 採用サイトなどがなかったり、オンライン上の情報が少ない会社は特に、ネット上で憶測や主観の口コミ情報が主力の情報源に変わってきてしまった。

【Before:対面での採用活動】
✔︎一次接点 → 集団面接・対面での面接
✔︎面接官  → マネージャークラス
✔︎情報源
・会社や会場の雰囲気
・担当者の雰囲気や振る舞い
・働いている人の様子
・会社説明資料(手元に残るもの・パンフレットなど)
・会社説明資料(投影されるもの)

【After:オンラインでの採用活動】
✔︎
一次接点 → 面談・オンライン面接
✔︎面接官  → マネージャー〜若手リーダークラス、人事等
(=採用におけるステークホルダー)増加
✔︎情報源
・会社説明資料(投影されるもの)
・口コミサイトでの評判確認
・SNSなどでの口コミ
・ネット上にある企業情報

対面であれば、会社の雰囲気や実際にあってみて印象を変えていくことができたのですが、オンラインに移行したことにより、口コミなどのネット上の情報が情報源として占める比重が増えてきたんですね。

口コミの大半は、それなりに強いマイナス感情が原動力になることが多いので、実態と乖離した、または1つの側面を切り取っただけの情報が一人歩きしてしまうリスクが増えました。

採用に与えるインパクトもそれなりに大きいので、人事側から、先手で積極的に情報提供していくことが重要になってきたんですね。


3.採用ストーリーブック活用②"社内"の採用ステークホルダーの「目線合わせ」

 オンライン採用が増えてきたこと、また採用の初期接点としてのカジュアル面談の一般化により、採用活動に携わるステークホルダーが増えてきました。現場のリーダークラスも面談に入ったり、技術者も面談に入ったり。
そうすることで問題になるのが、社内の採用ステークホルダーどうしの、「会社としての共通認識」をもてているのか?ということです。

 求職者からの質問に対して、採用ステークホルダーそれぞれが違う回答をしてしまったり、なんとなく面談をこなしていて会社の魅力が適切に伝えられなかったりすることで、逆に採用の機会損失につながっているかもしれません。
 せっかく面談を設けているのに、逆効果になってしまったら、採用ミッションを抱える人事からするとたまったもんじゃないですよね…。

 オンライン採用を行う中で、カジュアル面談時などに共通で使える採用ストーリーブックを作っておくことで、社内のメンバーとも採用活動における目線合わせができたり、会社の魅力を適切に伝えられたり、誤った情報提供を防いでいけるので、人事としては安心ですね。
また、採用活動における全体の面談の質も上げていけるので、採用歩留りの改善にも役立ちます。

4.採用ストーリーブック活用方法③"社外"の採用ステークホルダーへの「目線合わせ」

 引き続き採用は売り手市場の状況が続いています。ご存知の通り、労働生産人口の減少や一気に広まった働き方の多様化、グローバル化などを背景に、採用手法もここ数年で目まぐるしく変化しました。

 その結果、人事の負担は一気に増え、世の中に200以上存在する求人メディア、そして約3万社ほど存在する紹介会社など、多様化する採用手法に合わせ、情報提供先が増大しました。

 また、オンライン採用が当たり前になったことにより、採用体制、及び求職者の情報源が大きく変化しました。

 その結果、採用に関する情報提供先が社内外(求人メディアの増加、面談担当の増加、求職者へのオンライン上の情報)ともに増え、かつ採用活動における各関係者との目線合わせも非常に重要な仕事になってきています。

画像5


 また、紹介会社(エージェント)は、大概CA(キャリアアドバイザー=求職者面談担当)とRA (リクルーティングアドバイザー0=法人営業担当)で役割分担されています。

一次情報→人事 to RA
二次情報→RA to CA
三次情報→ CA to 求職者

そのため、情報が何重にも人を介在して伝わってしまうため、なかなかそのさきにいる求職者へしっかりと魅力が伝わりにくいことが課題になります。

エージェント側からすると、
✔︎企業人事担当からRAがヒアリングした内容をまとめることに時間を要し、CA(コーディネーター)への連携が遅くなる
✔︎人が介在することで希望する人材の正確な情報が伝わりにくい

ことが往々にして起きるんですね…。
一度や二度打ち合わせを行なったRAの担当者が自社の魅力を的確にCAに伝えるのは難しく、さらに企業担当者を知らないCAが求職者に企業の魅力を説明することはとても困難です。
 また、RAのご担当者も何十社と案件を持っているため、CAへの情報連携が遅くなってしまったり、求人票の情報が更新されないままになっていることもしばしば。
 そのため、社外の採用ステークホルダー、具体的にはエージェントさんや、求人広告の営業さんなどにしっかり自社のことを知ってもらい、自社のことを好きになってもらうことも採用活動において大事な仕事です。

エージェントご担当者本人が、入りたい!と思わない会社のことをプッシュするのはなかなか、難しいですからね…!

・採用ステークホルダーに自社のことを好きになってもらう
・正確な情報をタイムリーにエージェント社内で連携できる
・求職者に魅力がしっかり伝わる


その目線合わせのための、情報整理、資料作りは採用活動を円滑に行う上でも非常に重要になります。

5.採用ストーリーブック活用④職種ごとの活用

 結構大きな会社だったりすると、なかなか、採用サイトなどに載せている情報と、実際の部署やチームの雰囲気が違うことってありますよね。
大学で学部学科やゼミや研究室ごとに色があるように、なかなか会社の情報だけでは求職者も雰囲気が掴みづらいと思います。

また、エンジニアなどの技術職ですと、使用しているツールや技術など、提供する情報をより細かく伝える必要も出てくると思います。

採用サイトなどではなかなか、公開ページが増えるとコストもかさみますし、細かく作りづらいと思いますので、採用ストーリーブックを活用することで「職種ごとに解像度の高い情報を提供できる」と言うのも非常に良いところだと思います。

6.採用ストーリーブック活用⑤「採用体験」の演出

 採用ストーリーブックの活用ポイントとして、「見せたいページだけピックアップして送れる」と言うのも非常に良いところだと思います。
具体的には、選考フローごとに適切な情報を切り取って、情報提供することができます。

例えば、

①面談前(〜10Pほど)
・会社概要
・サービス内容
などをピックアップして事前送付することで、面談時間をより効率的なものにする

②面談中(〜20Pほど)
・より仕事内容の解像度が上がるような情報
・求職者のキャリアに寄り添った内容
・公開はできないけど会社として考えている未来
 など、求職者のキャリアとのマッチングについてフォーカスして情報提供する

③面談後(〜3Pほど)
・働き方の話(ちょっと聞きづらい残業どれくらいか、など)
・よくある質問
・感謝のメッセージ
 など、求職者が面談中にちょっと聞きづらいかな?と言う情報をピックアップしてフォローで送る

といった具合で、採用体験をこちらでストーリー化して、演出することで、選考が進むほどに「会社が好きになる」ような体験を演出することができます。

私たちが、採用ストーリーブックと呼んでいるのは、設計する際にこの要素を強く意識するためです。
一方的に情報だしをするだけでなく、体験として作っていけることで、もしご縁がなかったとしても、「素敵な会社だな」と思ってもらう。

巡り巡って、自社サービスのユーザーになってくれるかもしれないですし、数年後に、仲間としてジョインしてくれるかもしれない。

そんな採用体験づくりをしていくことで、より良い人が採用でき、結果会社の成長を加速していくことができます。

7.採用ストーリーブックの活用⑥採用の資産化・ROI(=投資対効果)の最大化

最後に、「採用の資産化」です。
自社の魅力ってなかなか、社内にいると見えづらかったり、面談や面接も他の方がどんなふうにやっているのかを知る機会も多くないですよね。

現場、人事、経営者それぞれ目線でしっかり話し合い、資料としてしっかり落とし込みをしていくことで、魅力を詰め込んだ採用資産として蓄積できます。

資料になっていると、より良くするためにブラッシュアップする機会も増えますし、資料に何を載せよう?とそれぞれの目線で考え、話しあうことで、知見や気づきも溜まっていきます。

会社、チームとしての目線が揃って、組織としての一体感も生まれるので、各人の採用力を集結し、採用資産として磨きをかけていくことができますね。

8.まとめ

いかがでしたでしょうか?
オンライン採用が進むことで、新しい手法もどんどん生まれていきます。

その中でも、採用ストーリーブックは取り組みやすく、採用効果も非常に高いので、ぜひ取り組んでみてください。

次回は、採用ストーリーブック設計のポイントなどもまとめてみようかなと思っています。
約300社の資料、事例を分析した分析資料も作ったので、より興味のある方はよかったらどうぞ!

それでは、また次回お会いしましょう!!

「すごい人事」情報局運営元:株式会社Crepe 
Crepeでは、ESG観点からみた人的資本における企業価値向上支援を行っています。具体的には、採用CX(候補者体験)向上ための採用戦略コンサルティング、採用ストーリーブック制作、研修トレーニング、EX(従業員体験)向上のための組織コンサルティング、エンゲージメント向上 HRtech「ミライチズ」などを通して、より良い個人と企業の関係の質向上支援を行っています。
◆お問合わせはこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?