教育のスゴい論文

教育に関する「スゴい論文」を1分で読める記事にまとめています。

教育のスゴい論文

教育に関する「スゴい論文」を1分で読める記事にまとめています。

最近の記事

  • 固定された記事

スゴ論まとめ

スゴ論は「教育に関するスゴい論文」を1分で読める記事にまとめています。このページではテーマごとに過去の記事リンクを貼り付けているので、関心がある記事を探してみてください。 教育エビデンスに関する記事宿題の効果 グループワークの効果 文脈音読の効果 生徒同士の教え合いの効果 振り返りの効果 生活指導の効果 ラーニングスタイル別学習の効果 教員の成果報酬型給与システム導入の効果 小中学生を留年させる効果 ソーシャル エモーショナル ラーニング(社会性と情緒に関する学び)の効果

    • 国際比較 環境問題に関する知識や意識

      地球温暖化をはじめとする環境問題は年々緊迫感を増しています。メディアや教育現場で環境問題が取り上げられることも増えていますが、現代の生徒たちは環境問題に立ち向かう準備ができているのでしょうか? 結論 環境科学の項目における生徒の成績は、PISAに参加しているほとんどの国において、2006年から2015年にかけて向上しなかった 調査参加国平均では、約半数の生徒が環境保護への関心が強い 環境保護への関心が強い生徒は、社会経済的地位の影響をコントロールした後でも、環境保護に

      • 教育の効果はどう測る?② 実装評価

        教育の効果測定シリーズ第二弾です。前回は、健全な評価のためには関係者間でセオリーオブチェンジについて共通認識を持つことが重要とお伝えしました。 https://note.com/sugo_ron/n/na2e96eda43e7 では、セオリーオブチェンジを使ってどのように評価を行うのでしょうか。Gateway to CollegeというアメリカのNPOの具体例を使ってご紹介します。 2つの評価 まず教育プログラムの評価においてよく混乱が起きるのは、「計画通りに実行でき

        • 教育の効果はどう測る?① セオリーオブチェンジ

          次から次へと出てくる新しい教育手法や取り組み。ついつい目新しいものに飛びつきたくなりますが、そもそも教育の効果はどのように測るのでしょうか?例えば近年小学校からプログラミング教育が始まりましたが、どうその効果を測るのでしょうか?「生徒の目がキラキラしていた」や「欧米では当たり前らしい」といった曖昧な評判を元に教育プログラムの導入や継続を検討するのは合理的とは言えないでしょう。 では、もしあなたがある教育プログラムや教育政策の採用責任者だった場合、どのように採用有無を判断しそ

        • 固定された記事

        スゴ論まとめ

          達人は〇〇を使って物事を記憶する

          藤井聡太プロを筆頭に、将棋界が近年盛り上がっていますね。ところで皆さんは、プロ棋士の対局後のインタビューの様子をニュース等で見たことはあるでしょうか?記者から「この局面で〇〇という手は考えられなかったのでしょうか?」という質問を受け、「その手も考えたんですが、××角、△△歩、同銀と進んだときに次の手が見えなくて・・・」等と応対するやり取りを見ていると、その記憶力に度肝を抜かれますよね。将棋のみならず、チェスや囲碁のプロは対局の手順を長期にわたって記憶することができることが知ら

          達人は〇〇を使って物事を記憶する

          (子供は)見てるぞ!

          子供のしつけといえば、良いことをすれば褒めてあげる、悪いことをすれば叱る、等の方法が一般的ですよね。少し専門的な言葉を使うと、こうしたしつけの方法は「フィードバックを与える」とまとめられます。子供の行動に対して大人が何かしらフィードバックを与え、そのフィードバックを受けて子供が「この行動をすると褒められるんだな」等の学びを得ていく、、、という具合です。この仕組みは教育心理学において、学びのプロセスの根幹の一つであると長らく考えられており、「いかに子供に効果的に働きかけるか(フ

          (子供は)見てるぞ!

          クラスの大きさと学力の関係性

          クラスの大きさは果たして何人が最適なのでしょうか?一人の先生に対する生徒の人数の比率が小さいほど、「なんとなく贅沢そう、良さそう」という感覚は誰しもが持ち合わせているかとは思いますが、実際にこの質問を科学的に検証する事は極めて困難です。この問いの検証が困難な原因の一つとして、「実験を行うことが困難だから」ということが挙げられます。科学的な検証のためにはランダム化実験(生徒を無作為に大きさの異なるクラスに振り分ける実験)を本来行わなければいけないのですが、これが実務的にも倫理的

          クラスの大きさと学力の関係性

          マシュマロチャレンジのその後

          以前スゴ論にて、心理学の中でも非常に著名な実験の一つである、マシュマロチャレンジに関する記事を紹介しました。幼児の自制心と将来の学力の関係性を示した、とても可愛らしい実験でしたね。この実験が行われたのが1990年。非常に著名な研究であるがゆえに、その後、数多くの研究者がこの実験の反復を試みてきました。(*実験の反復:ある実験の結果の信憑性を上げるために、同じ実験を行い、同じ結果が得られるか検証すること。)元の実験から30年以上経った今、マシュマロチャレンジは研究者の間でどのよ

          マシュマロチャレンジのその後

          父親がどれだけ育児に参加しているかは脳をスキャンすればわかる

          他の動物に比べ、生まれたばかりの人間の赤ちゃんを養育するには膨大な労力がかかります。そのような労力を負担しても構わないと思える無償の愛はどのように育まれるのでしょうか? 女性は妊娠や出産や授乳を通じて愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンが上昇し、脳の一部も活性化します。それらの生物学的変化を通じて赤ちゃんに特別な愛着を抱きます。では、妊娠出産しなかった親、つまり父親や養子縁組をした親には、子どもに対する無償の愛は生まれないのでしょうか?実の母親の愛情には勝てないのでしょうか?

          父親がどれだけ育児に参加しているかは脳をスキャンすればわかる

          私たちが自信過剰になってしまう理由

          「あなたは他の人と比較してどれぐらい運転が得意だと思いますか?」アメリカにおいて運転免許を持っている大人にこの質問を聞いていくと、ほとんどの場合、「平均以上」と答える人が過半数を大きく超えることが知られています。平均以上の運転技術を持ち合わせている人は本来人口の半分にしか満たないはずだという事を考えると、これはとても不思議な現象ですよね。運転技術に限らず、仕事や学業など、日常におけるあらゆる場面において、人は総じて自信過剰な傾向があることが知られています。私たちはなぜ自信過剰

          私たちが自信過剰になってしまう理由

          幼稚園は学力偏重になっているのか?

          2020年、日本の小学校において英語とプログラミング教育が全面的に必修化されました。ニュースでの報道を見ながら、「時代だなー」とぼんやりと感じたのを覚えています。(この記事を読まれている教職員の皆様にとっては、一大事だったかと思いますが、、、)社会のグローバル化・ICT化が進み、社会人として必要とされる力が多様化する中で、学校や生徒に求められることが次第に増えてきている、という感覚は多くの人が持っているのではないでしょうか。今回は、1998年から2010年にかけての幼稚園と小

          幼稚園は学力偏重になっているのか?

          バイリンガル=賢いは本当?

          「海外からの転校生がやってきました。」先生のこの一言は、それとなく教室をざわつかせるのではないかと思います。海外から転校生がやってくるとなると、「なんとなく凄そう」「英語しゃべれるのかな」等の噂も生徒間で飛び交うのではないのでしょうか(国際化が進むこの時代、少し古い考えなのかもしれませんが)。筆者の主観にはなりますが、日本語さえ喋れれば生活が過不足なくできる日本という国では、「バイリンガル=賢い」という考えが他国と比較しても強く根付いていると思います。この考えは実は認知科学に

          バイリンガル=賢いは本当?

          他者の視点を想像する能力:サリーとアンの課題

          以前、いじめと共感力の関連性についての記事をご紹介しました。その結論の一つが「いじめっ子は必ずしも他者の視点を想像することができないわけではないが、共感力が比較的低い傾向が見られる」でしたが、「他者の視点を想像する能力」とは具体的にどのような能力なのでしょうか? 今回は、この能力を確認するためにしばしば使われる、心理学の分野で有名な「サリーとアンの課題」についてご紹介します。1985年に使用された古いものですが、心の理論(theory of mind、ToM)が何を指すのが

          他者の視点を想像する能力:サリーとアンの課題

          コロナウィルスがもたらした生徒の学びへの影響

          世界中で学校閉鎖やリモート授業などの現象をもたらしたコロナウィルスは、私たちの健康のみならず、生徒たちの学びを今も脅かし続けています。コロナウィルス全盛期の2020~2022年の間、生徒たちの学びにどれほど遅れが生じ、2023年となった今、その遅れは取り戻せているのでしょうか。アメリカ国内大手のテスト企業(NWEA、Northwest Evaluation Association)が実施した調査に関する最新の記事を今回は紹介します。 結論 2023年春の時点で、3年生~8

          コロナウィルスがもたらした生徒の学びへの影響

          失敗体験からの学びを遮断してしまう、私たちの〇〇

          エジソンが電球を発明するために、一万回以上の試行錯誤と失敗を重ねた事は良く知られていますよね。失敗は恐れるべきものではない、学ぶ機会だ、という教えは誰しもがどこかで聞いたことがあるかと思います。とはいえ、頭ではわかっていても実行に移すのは難しいというのが多くの人にとっての現実ではないでしょうか。重要だとわかっているのにもかかわらず、失敗から学ぶことはなぜこうも困難なのでしょう? 関連記事 結論 人は自身の失敗を指摘するフィードバックから学びを得ることが苦手である。 一方

          失敗体験からの学びを遮断してしまう、私たちの〇〇

          赤ちゃんの身長は一晩で1cm伸びる

          今回は人間の身体的な成長についての論文です。人は毎日目に見えないくらいのスピードで少しずつ成長するのでしょうか、それとも? 結論 ・生まれたての赤ちゃんの身長を約2年間毎日(or週1〜2回)測定したところ、赤ちゃんの身長は非連続的に伸びていることがわかった ・身長が伸びない日(growth-free)が続き、ある日突然伸びる(length accretion)という周期を繰り返す ・全体の90〜95%は、身長が伸びない日(growth-free)である 調査手法

          赤ちゃんの身長は一晩で1cm伸びる