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【考えてみた】Webマーケティングとは何か?

私は事業会社のデジタルマーケティング部で働いています。担当職務はWebマーケティング。

ただ担当職務でありながらWebマーケティングとは何ですか?と聞かれるとちょっと答えに詰まってしまいます。

Webマーケティングとは?そもそもマーケティングの定義とは何でしょうか。

今回は改めて言葉の定義を整理してみたいと思います。

そもそもマーケティングとは?

Webマーケティングを定義づける前に最上位概念にあたるマーケティングから理解したいと思います。

「マーケティング」という言葉をググると多くの人が様々な定義をしています。著名な学者・ビジネスマンの定義は下記です。

マーケティングとは顧客のニーズに応えて利益を上げることである

フィリップ・コトラー・ケビン・ケラー,『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント』

マーケティングとは、顧客の創造である

 セオドア・レビット,『The Marketing Imagination』

マーケティングの目的というのは営業・販売を余分な行為にしてしまうことだ(※)。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである
The aim of marketing is to make selling superfluous. The aim of marketing is to know and understand the customer so well that the product or service fits him and sells itself.

ピーター・ドラッカー,『Management: Tasks, Responsibilities, Practices』

※和訳について
社会構想大学院大学特任教授 高広伯彦さんのnoteを参考にしています。
原文「superfluous」という形容詞が本質的に意味するところを明らかにしつつ、ドラッカーの文章を改めて翻訳・説明されています。

マーケティングとは戦略的な活動であり、より多くの消費者により高頻度でより多くの商品を買ってもらい、その結果、会社がより多くの利益を出すことに焦点を当てた活動である

セルジオ ジーマン,『The End of Marketing As We Know It』

マーケティングとは商品の戦いではなく、知覚の戦いである

マーケティングとは商品の戦い(最良の商品が勝利する)である、は幻想。客観的な事実というものは存在しない。

ベストな商品などありっこない。マーケティングの世界に存在するのは、ただ、顧客や⾒込客の⼼の中にある知覚だけである。知覚こそ現実であり、その他のものはすべて幻。

アル・ライズ、ジャック・トラウト,『マーケティング22の法則: 売れるもマーケ 当たるもマーケ』

私はよく、マーケティングとは「価値を創造する仕事」と説明しています。 市場における価値を創造すること「全般」がマーケティングの役割なのです。 我々マーケターは、価値を「ブランド」とも定義しますが、要するに、消費者の頭の中で知覚される「価値」、つまり「ブランド」を作る仕事はすべてマーケティングの領域です。

森岡 毅,USJ再建の森岡毅が語る、マーケティング下手な企業に足りない3つの視点

私は「マーケティングとは市場創造であり、最も重要な役割は属性の順位を転換して「いい○○」を定義すること」と答えています。

〜中略〜

定義が変わるたびに市場が再創造されて、ブランドのシェアや順位が変化していきます。そして意図的に「いい〇〇」の定義を変えられるのが、マーケターでありマーケティング部門です。

音部大輔,マーケターは「いい○○」を提案すべき。音部大輔氏に聞くこれからのマーケティング

自分のマーケティングの定義は、お客さんに働きかけることで、認知や態度、行動の変容を促すことです

富永朋信,マーケターとしての自分を育ててくれた、読書と音楽の魅力と楽しみ方

マーケティングとは顧客の問題解決

高岡浩三,マーケティングとは顧客の課題解決そのものだ

マーケティングとは「お客様に向き合い、喜びを提供すること」である

鹿毛康司,「心」が分かるとモノが売れる

マーケティングとはお客様に選ばれ続ける仕組み(=売れ続ける仕組み)をつくること

田部正樹,【マーケティング思考法】マーケティング=顧客に選ばれ続ける仕組み作り

(マーケティングとは)顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである

公益社団法人日本マーケティング協会,34年振りにマーケティングの定義を刷新

マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。
Marketing is the activity, set of institutions, and processes for creating, communicating, delivering, and exchanging offerings that have value for customers, clients, partners, and society at large.

アメリカマーケティング協会(AMA),マーケティングとブランディングの違いとは? 言葉の意味と歴史から関係性を正しく理解しよう

定義はそれぞれ異なりますが、ほとんどの文章が顧客を起点にしていることが分かります。

また「ニーズに応える」とは顧客に対する問題解決・価値創造があって初めて成立するものなのかなとも思いました。

それぞれの定義を自分勝手にまとめると、顧客のニーズに応える仕組みを作り利益を上げ続ける活動がマーケティングだと理解しました。

改めてWebマーケティングの定義を考える

上記で定義したマーケティングという活動をWebに限定したもの。それがWebマーケティング。

具体的には自社メディア(オウンドメディア)を中心としたマーケティング活動です。

ちなみに、事業会社の中で語られるWebマーケティングは顧客獲得や売上増加をゴールにしたWebを使ったプロモーション活動、販促活動のみを指していることが多いように思います。

実際に私が働いている会社でもWebマーケティングについては後者の定義で語られています。

Webマーケティングとは何か?と聞かれたら今後どう答えるか

ここまでの内容を踏まえて今後、社内/社外で「Webマーケティングとは何ですか?」と質問された場合、下記のように答えるのが良いのかなと思いました。

前提、Webマーケティングの定義には広義と狭義で2種類ある。

①広義のWebマーケティング定義
自社メディアを中心に顧客のニーズに応える仕組みを作り、会社として利益を上げ続ける活動。

②狭義のWebマーケティング定義
自社の顧客獲得や売上増加といったゴールのために、自社メディアを中心にさまざまな販促活動、プロモーションを行うことの総称。

事業会社で働く者としては、コトラーやセオド
ア・レビットの言葉を思い出しつつ、広義・狭義どちらの意味も捉えて業務にコミットできればと思いました。

また、そもそもですがwebマーケティングという言葉自体が時代に合っておらず古い言葉になってきているように感じます。

なぜならカスタマーとのタッチポイントはwebだけでなくアプリやデジタルサイネージのように新たな領域が台頭してきており、webマーケというよりデジタルマーケティングのスコープでマーケティングを語るのが適切かもしれません。

最後にマーケティングの定義を言語を起点に考えてみる

「マーケティング」という言葉は英語marketに「ing」が
付いた不思議な言葉です。

まず、marketとはどのような意味でしょうか。
英和辞典では下記説明がありました。

market 他動詞
①〈品物を〉市場に出す、売る
ex.
market small cars 小型車を売りに出す.

②売り込む,売り出す
〖S market O〗 [主語]が[目的語]を売り込む
ex.
Christmas is a good time to market new toys.
クリスマスは新しいおもちゃを売り出すいい機会だ。

③〖S market《to 〜》〗 [主語]が売る《〜に》
ex.
We don't market to children.
我々は子供には売りません

英語marketには「市場に出す、売る」という意味があることが分かりました。

上記を踏まえると「market+ing」が①売れ続ける仕組みを作るということ→②つまりそれは(顧客のニーズに応える仕組みを作って)利益を上げ続ける活動を意味する→だから、「marketing(マーケットの現在進行形)」という表現になっているのは必然的な気がします。

今回marketingの語源について考えている時に
アイザワ投資大学さんの興味深い記事を発見しました。
特に大事だと思った点を引用します。

「マーケティング」は「売れ続ける仕組みを作ること」から「マーケットの現在進行形」と説明されることがありますが、「独自の市場を構築すること」が真の語源ではないかと想像します。

ザ 語源 第19回 語源から読み解く「マーケティング」

何年にも渡って売れ続ける・利益を上げ続けるということは本質的に独自の市場を持つことがキーになるのかなと思っており、上記考察に共感できました。

以上です。引き続き勉強を継続します。


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