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2021ファジアーノ岡山にフォーカス10 J2:第7節:愛媛vs岡山(Away) 「14上門 知樹のトップ下(OH)の意図・互いに見せた隙・攻撃の機能具合の見方Part2・守備の機能具合の見方」

1、 前置き

2021シーズンのフォーカスも10回目。本文より前置きを書くのが楽しみにもなりつつもある。この前置きだけで、読んで頂けないという事もあると考えると怖い部分もありますが、自由な文章を書いていく上での特権と思って、これからも続けて行きたいと思っています。読んで頂けることで、細かいパス交換が出来ているのか、それとも要点だけ絞って、ロングパスで、飛ばされているのか。この辺りは、読者のスタイルにお任せするとして、今日も前置きを続けていきたいと思います。

愛媛と言えば、温泉の名所である道後温泉が有名である。筆者である私自身、温泉が苦手で、あまり自分から足を運ぶことはないが、温泉やお風呂が好きな人は、何度も足を運び、長い時間、湯船に浸かっている。確かに、あの体が温まっていく感じは、温泉でしか味わえない素晴らしい物であることは、理解できる。

これも日本の良き文化で、日本の各所に有名な温泉がある。ただ、温泉を愛する方でも、様々な温泉スタイルがある。水風呂が好きな方もいれば、サウナが好きな方、滝風呂が好きな方、半身浴が好きな方。何が良いとかはある訳ではないが、巨人vs阪神の様な、伝統のサウナでの維持の張り合いや、熱い湯が好きな方と温めの湯が好きな方での主導権争いなどもある。露天風呂の様なオープンなスタイルもあれば、1人専用のクローズなスタイルもある。

これだけ色々な温泉の形や、愛する形がある様にサッカーにも色々なスタイルがある。ただ、時が経てば流行するスタイルもあれば、廃れるスタイルもある。時間が経つと立場が逆転することもある。もしかすると、足風呂レストランや、サウナレストラン、温泉&エステみたいな新たなスタイルの温泉も出てくるかもしれない。詳しくないので、もしかすると、実在するかもしれないが、実在しなくとも今後も出てくることはないとは、断言もできない。

さて、愛媛と言えば、J2昇格した最初の頃は、相性の良いチームだったと記憶している。そこからいつの間にか苦手意識を持つ様になった。特に長澤ファジとは、非常に相性が悪く、愛媛の前に難しい試合が多かった。有馬ファジになってからは、少しは、改善したが、苦手意識を拭えたかと言えば、そうは言えないだろう。無敗記録を止められる事や、連勝を止められる事も多かった。

実は、連勝を止められたチームは、岡山だけではなく、湘南の連勝を止めるなど、ジャイアントキリング(岡山とは格上ではなくライバルなので当てはまらない)の様な格上と言えるチームに対して、勝利を掴んで来たチームである。その愛媛に対して、この試合でも今季初の複数失点を許してしまったが、昨季までとは違い、ラストワンプレーで、ルーキーの初ゴールで、追いつくという劇的な幕切れでのドローに終わった。その激闘について、振り返っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

2021ファジアーノ岡山「第7節vs愛媛(Away)」

2、 14上門 知樹のトップ下(OH)の意図

この試合の最大の注目ポイントは、やはり14上門 知樹のトップ下であった。SNSなどでも度々話題に出ていた事に加えて、システム的にトップ下が無かった事もあり、ようやく実現したポジションである。同時に、14上門 知樹が、攻撃の中心として存在感が大きくなってきたと感じる事ができる抜擢である。それでは、前半の組み合わせに限るが、チームとして、どういった狙いがあり、周りとどういった関係性であったか、まとめていきたい。

CF18斎藤 和樹と左SH27木村 太哉、右SH(OH)10宮崎 幾笑この3人を繋ぐ事が14上門 知樹の一番の役割で、10宮崎 幾笑のトップ下では、18斎藤 和樹と共に下がって受ける傾向が強かった。今季の開幕戦の様に、下がってできたスペースにダイアゴナルランや後ろの選手の攻撃参加などで、侵入する事で、活用できるのであれば、それでも良かったのだが、ゴール前に誰もいない、もしくは時間がかかるという試合が続いた事で、14上門 知樹にトップ下での起用の白羽の矢が立った。

14上門 知樹のOHは、回数こそ限られたが、前を向くという点では可能性を感じた。16田中 裕人の厳しいマークに合い、プレーは大きく制限されたが、愛媛の14吉田 眞紀人の様に、前線で収めることができる選手が存在の有無は、中央を固めるチームに対しての有効打の有無に直結するポイントと言える。

左SH27木村 太哉との連動した動きこそなかったが、27木村 太哉は、14上門 知樹以上に、ドリブルでのチャンスメークで、形を作った。ラストパスこそ通らなかったが、開幕戦で見せた様な決定的な仕事をできたと言える。14上門 知樹が、中央で相手の注意を引き付ける事で、1対1の勝負を仕掛けるシーンを何度か作れた。

右SH(OH)10宮崎 幾笑は、14上門 知樹の近くでプレーする事と、18斎藤 和樹、16河野 諒祐と右サイドのスペースを利用しつつ、攻撃の形を作った。左サイドのドリブルを中心とした仕掛けとは違い、パスでの崩しやドリブルでの崩しなど、アイデアのある仕掛けを行っていた。

この試合での10宮崎 幾笑は、ある程度、持ち味の片鱗を魅せる事ができた。接触プレーをさける事が多かったトップ下と違い、14上門 知樹が、寄せに対しての盾になってくれたことで、少しだけ前を向くプレーができた。やはり、10宮崎 幾笑は、ペナルティエリア内でこそ、輝く選手だと改めて認識した。

ペナルティエリア内に巧く侵入したプレーは一度だけだったと記憶しているが、ペナルティエリア内であれば、その技術とフィジカルの弱さが逆に武器になる。相手選手からすれば、倒してしまえば、PKになる可能性がある上に、ドリブルが得意。かなり慎重な対応を迫られる。パスも出す技術もある。実際に極めて自然に愛媛陣地深くまで、侵入し、巧く繋いでいた。

CF18斎藤 和樹も14上門 知樹がFWに成り得る選手なので、中央を離れる事がし易くなった。10宮崎 幾笑が、中央寄りにポジションを取っていたので、右のスペースを使い易く、プレーエリアも右でのプレーが多くなっていた。開幕戦の様に、自由に動き回り攻撃の形を作ることができた。

14上門 知樹が、中央にポジションを取る事で、14上門 知樹が目立つシーンこそ減ったかもしれないが、チームとしての課題であった部分の改善の可能性も見えた。41徳元 悠平が、復帰することができれば、左サイドの攻守の安定は、増す事は間違いなく、27木村 太哉が使った外のスペースの内側をより、使える様になれば、14上門 知樹と絡んだプレーが増える事で、14上門 知樹はよりボールを触れる事で、持ち味を発揮できる可能性もある。

今後も14上門 知樹をトップ下で起用するのであれば、中盤の底の守備のスペシャリストとのボランチ(DH)との攻防は、勝負を分けるポイントと成り得る。岡山で例えるなら6喜山 康平や、26パウリーニョといった選手との攻防とイメージして頂けると、分かり易いかもしれない。磐田戦で、例えるならば2今野 泰幸との攻防。例えば、シュートに行ったが、ブロックされたシーン。カウンターに行きかけたが、好守に阻まれたシーン。相手にとって、怖いエリアに14上門 知樹がいる事で、こういった形になる可能性は出てくる。そこの14上門 知樹のトップ下での一番のメリットであり、そこが機能しなかった時には、デメリットになる点である。

3、互いに見せた隙

岡山の見せた前半の隙。それは、41徳元 悠平が、体調不良により試合開始直前での欠場になってしまった事でのこの試合へ向けての準備不足、そして、突然のスタメン変更による細かい連携面でのマイナスの影響は大きかった。上で少し触れたが、攻撃では、41徳元 悠平の内のスペースの使い方は、16河野 諒祐をもってしても大きな差がある唯一無二の攻撃センスの持ち主である。27木村 太哉の活かし方の部分や14上門 知樹との絡みももっと見えた可能性は高い。

守備でも、2失点目のシーンの少し前を確認して頂ければわかると思いますが、4濱田 水輝が、外に引っ張られたことにより出来ていたスペースを突かれた失点している。41徳元 悠平であるならば、4濱田 水輝のポジションのスペースの隙を埋めることができるケアが巧いが、24下口 稚葉は、8川村 拓夢が受けてからそこのスペースに動いたので、シュートコースを切るプレーに留まった。41徳元 悠平であるならば、寄せに行くアクションまで行けるポジショニングをしていた筈である。

また、この時に、27木村 太哉も24下口 稚葉がスライドする可能性のあるスペースへの動き出す素振りも見えなかった。14上門 知樹であれば、戻って対応できる準備をしていた筈である。27木村 太哉は、左サイドに移った事で、攻撃時には、利き足が右利きという事もあり、視野が中に開けて、判断が良くなったが、チームの中では、まだまだ攻守で伸び代を感じられる

【公式】ハイライト:愛媛FCvsファジアーノ岡山 明治安田生命J2リーグ 第7節 2021/4/11
46秒の所から
URL:https://youtu.be/jS32sEhQsvc?t=56


24下口 稚葉もスペースケアやポジションチェンジを判断力の向上は、選手としてのキャリアの岐路となりえる点である。両サイドをできる器用さと、豊富な運動量とスプリント力。物怖じしないメンタリティの強さ。ミスを恐れない積極性。こういった武器を活かすためにも判断力の向上は、必要不可欠。ここが良くなれば、攻撃の判断の正確さに繋がり、前半の速い時間に見せた惜しいグラウンダークロスを狙った様なシーンを増やす事もできる筈である。そうすれば、今後の出場機会に繋がっていく。

愛媛も、前半に岡山のキープレイヤーである14上門 知樹との攻防で、16田中 裕人が巧く対応した事で、前半こそ完封することができたが、後半の頭に岡山が10宮崎 幾笑に代えて、15山本 大貴を投入し、2トップにしたことで、岡山が中央に集める攻撃から15山本 大貴に裏を狙わせる動きを活かす攻めにシフト。14上門 知樹もポジションを右サイドに移した事で、守備の対応が難しくなった。

裏を狙うシンプルな攻撃は、この試合では有効で、そのままサイドのスペースを突く攻撃やゴール前に迫るプレーが増えた。この結果、愛媛の一定の守備ラインの高さと、前に人数をかけた攻撃もプレス網を一本の裏へのパスから無効にされることから、2点差という事もあるので、徐々に減り、愛媛の守備の重心、いやチームの重心が低くなっていた。

愛媛の重心が後ろになった事から、後ろの組み立てを阻む壁も下がったことで、岡山の攻撃を加速させた。更にゴール前を固める時間が長くなった事で、愛媛は、岡山の猛攻を受けた。愛媛は、ゴール前の一番危険な所は、最後まで崩される事はなかった。しかし、シュート18本中、枠内シュート14本という結果が示す通り、多くの選手がゴールを狙える選手を擁する岡山が、寄せが遅くなりがちであった愛媛の守備によって、遠目から比較的余裕を持って、難しいシュートを2本決めて、同点に追いつくことができた。

途中出場の28疋田 優人は、この試合が初出場でもあったが、終了間際にセカンドボールが目の前に来ると、浮き球のボールをしっかりミートした上で、抑えを効かせ、コースにもコントロールした矢島 慎也(現G大阪)を彷彿させる素晴らしいゴールを決めた。この技術を、流れの中で、発揮できるのであれば、効果的な縦パスだけではなく、スルーパスの配給源として期待できる。そういった場面でじっくり見てみたいと感じさせる素晴らしいゴールであったので、今後の活躍が楽しみである。

4、 攻撃の機能具合の見方Part2

3で触れた15山本 大貴の裏への動きだが、実は磐田戦でもトライしていた。磐田戦では、その動きも対人守備の高い磐田のDF陣に完封されていた。愛媛は、この仕掛けを許し、そこからの攻撃を受ける形によって、同点に追いつかれる流れとなった。つまり、シンプルながら15山本 大貴の裏への抜け出しが、通用するかどうかは、岡山の攻撃の機能具合の判断材料の1つと言える。

また、14上門 知樹のトップ下が、継続されるのであれば、タッチ数というよりは、前を向くプレーをどれだけできるかだけでも意識してみることで、チームとしての攻撃の機能具合を見る材料と成り得る。やはり、前を向けるという事は、シュートを狙える。無理でも前を向いていることで、スルーパスや周りと連動してゴールに迫る事ができる。

・18斎藤 和樹が攻撃でどれだけボールに触れるか
・10宮崎 幾笑が攻撃にどれだけ絡めるか
・15山本 大貴の裏への抜け出しが有効か
・14上門 知樹がトップ下で前を向けるかどうか

こうして見ると、攻撃は、シンプルで分かり易いですね。最も、機能しているかどうか見るかの判断材料なので、上記を良い状況を維持するために、練習からパスの優先順位や繋ぎ方など、色々とミーティングなどを通じて、実戦練習で確認して、修正していくので、あくまで、機能しているかどうかの判断材料と考えて頂ければと思います。

5、 守備の機能具合の見方

失点に絡んだ24下口 稚葉のプレーの遅れが1つのヒントとなると思います。どうして失点に繋がってしまったかは、上述しているので、そちらを参考にして頂ければと思いますが、チームで、想定している守備エリアを離れて対応する状況が生まれた時に、そこに対して、的確にケア(埋める&カバー)できるかどうか。また、その優先順位を的確に判断できるかどうか守備の機能具合を見るポイントとなる。

改めて、2失点目の失点理由ではなく、24下口 稚葉の判断の理由を整理すると、4濱田 水輝の空けたスペースを埋める事ができたのは、24下口 稚葉だけであったが、自分のポジションを守る事を重視したが、最も危険で、埋めるべきであった4濱田 水輝の担当エリアのスペースを消す事を軽視した事で、失点に繋がった判断となってしまった。

チームとしての守備の機能具合を見るうえで、守備時のイレギュラーで生じたスペースのケアの優先順位や、守備の担当エリア(ポジショニング)の優先順位をチームとして、共有できているかどうか。これが、守備の機能具合の見方となります。攻撃と違って少し難しくなりますが、分かり易い見方として、守備時の選手の距離感がヒントとなります。

攻めてくるチームに対して、自由をどれだけ制限できているかどうかなので、チームとして、相手の攻めに対して、一定の味方選手との距離を維持して、攻撃の中心地に対応できているかどうか、ここがポイントとなります。もし簡単に、ドリブルでの突破で崩されたり、シュートを簡単に打たれたり、スルーパスが多く通る様なら、この関係性がチームとして機能していないか、相手のレベルが、そもそも自チームより高過ぎるかのどちらかという事となります。

ここが、しっかりしているチームだと、磐田戦の様になかなか攻撃の糸口を見つけられないという展開になっていきます。「守備の見方」という項目でありますが、本当に複雑で、私自身巧く整理できたという自信はありませんが、今後もサッカーを観て行く中で、こういった発見があれば、文章でまとめる事に挑戦したいと思います。今回の見方を簡単にまとめると、「守備側の選手が守りたいエリアで適切な距離を保もてている選手の人数」

攻守のバランスがありますが、一定の距離を維持した守備ブロックを多くの選手で構築できているかどうかが、守備の堅さの指標の1つと成り得ます。この辺り、展開に応じて、守備エリアでの距離の繋がりからどの位置から離脱して、攻撃に移るかによって、勝負を分ける事になります。こういった部分は、失点したシーンを何度か見返すと理解が深まると思いますので、そこを何度もチェックされている他の方のレビュワーの方などの記事も参考に、私も勉強していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

6、 総評(後書き)

今季初の複数失点こそしましたが、今季2度目の複数得点。しかも終了間際のルーキーで、この試合の初出場の28疋田 優人が劇的な同点ゴールを決めたという事で、今後の愛媛の対岡山のイメージを変えることができる可能性のある価値の高いプレーであったと思います。これは、2巡目の愛媛とのホーム戦にも繋がりますし、勿論、次のホーム戦にも繋がります。

6喜山 康平から26パウリーニョに交代する場合と比べて、守備強度を維持できない点というのは、不安ではありますが、6喜山 康平を休ませて、シーズンを戦いきるという視点に立てば、有効な選択肢に成り得るポジティブなゴールで、今後の28疋田 優人の出場機会に繋がる事は間違いありません。

加えて、14上門 知樹や7白井 永地に続く、枠内に飛ばす技術の高い中盤の選手と位置付けても問題ない難しいシュートであったと思いますし、この試合で見せた16河野 諒祐もしっかりミートしたミドルシュートを放っていましたし、41徳元 悠平も強烈な左足を持っています。今季の岡山は、得点数こそ少ないですが、爆発力のあるチームに成り得るポテンシャルを持ったチームだと、感じています。

遠くからでも点が獲れる。そういったイメージを今後チームとして作る事ができれば、相手チームのDFを引き出せますし、得点力不足解消に繋がると思います。守備時の距離感を保つ守備組織の整備と、攻撃パターンの増を、今後進めて行けば、チームとして、新たなステージへと前進できると思います。

文章・図版=杉野 雅昭
text・plate=Masaaki Sugino

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レビューは、ここまでで、以下は、試合とは関係のない内容で、感謝を伝える場として、試験的に始めてみた「おまけコーナー」で、私のお勧めを紹介するコーナーです。
一回目は、お勧めの漫画作品です。

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