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2023ファジアーノ岡山にフォーカス15「 岡山が悪かったのか?甲府が良かったのか?〜対象〜 』J2 第5節(H)vsヴァンフォーレ甲府

 金沢戦の快勝を受けて、この試合への期待度は極めて高かった。TV放送もあり、開始を今は今かとキックオフの時を待ったサポーターの方は多かったのではないだろうか?

 天候に恵まれて、スタメンには前節と同じ選手達が、リザーブメンバーには、U-20から復帰した48坂本 一彩と岡山の生え抜き選手である30山田 恭也がメンバー入りした。

 展開次第では、成長した30山田 恭也を、リーグ戦で久々に観ることができるのではないか。その希望的観測は、開始3分で打ち砕かれた。

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試合後コメント引用元紹介

ファジアーノ岡山公式HP
2023 J2 第5節 ヴァンフォーレ甲府戦 監督・選手コメント
は、こちら(別サイト)。
URL:https://www.fagiano-okayama.com/news/202303191800/

J.LEAGUE.jp (Jリーグ公式HP)
J2 第5節 岡山 vs 甲府(23/03/19)試合後コメント(監督)
は、こちら(別サイト)。
URL:https://www.jleague.jp/match/j2/2023/031910/coach/

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J2 第5節 岡山 vs 甲府(23/03/19)試合後コメント(選手)
は、こちら(別サイト)。
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1、感性(慣性)と勇断(油断)〜善悪〜

 サッカーも戦術が進化して、より深くなった現代サッカー。組織的に戦う重要性が増している中でも感性やプレーの判断は、依然として大きなウェイトを占めている。

プレーは”感性”の中から選手が選択したプレーを実行する。時にはそれが、”勇断”として素晴らしいプレーとして、得点やブロックなどに結びつく。

 逆に悪い判断の中で、今回のフォーカスでは、”油断"の選択で、この試合を観て行く。判断ミスに繋がり易いのが、成功体験だ。「いつもはこれで良かった。」という判断を下したのに対して、そのプレーを上回る相手の何らかのプレーによって、その選手が、成功ではなく、結果が失敗のプレーとなってしまうことがある。

 今回の岡山のミスは、甲府のサッカー。もしくは、甲府の岡山対策によって、意図的に作られた可能性がある。選手や監督がミスに対して、どう捉えていたのか確認していきたい。

木山 隆之 監督(岡山)
「前半は相手のプレッシャーをまともに受けてしまい、試合の入り方、進め方、剝がし方を特に立ち上がりに考える必要があった。落ち着いてからは自分たちのペースでやれていたが、ゴールに向かうプレーを増やしたかった。」

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2023 J2 第5節 ヴァンフォーレ甲府戦 監督・選手コメント
より一部引用

 やはり、繋ぐ意識が高すぎた(今まではそれで繋げた)ことで、あの位置からのプレスを甘く見た判断とプレーの選択により、電光石火の失点が生まれてしまった。CKやFKでの失点もその前の守り方や選択も相手の守備や攻撃の攻防で、岡山が追い込まれた(軽率な)プレーが出てしまい与えたくないFKとCKを与えてしまった。

5柳 育崇(岡山)
「相手の強力なFWを抑えながら、セカンドボールを拾って自分たちのリズムで攻撃をしていこうという狙いがあったが、できた部分とできなかった部分があったので、そこは受け入れて改善したい。失点の時間帯も悪く、そこには僕も絡んでしまった。それを見直して改善していきたい。」

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2023 J2 第5節 ヴァンフォーレ甲府戦 監督・選手コメント
より一部引用

 強力なFWは、恐らく99ピーター・ウタカであり、ピーク時のように圧倒されることこそなかったが、捕まえきれなかった(抑える事ができなかった)ことで、甲府に攻守において、高い位置でプレーされることを許してしまった。そこで、できた部分とできなかった部分という表現になったと考えられる。

 鈴木 喜丈は、より踏み込んだコメントを残している。

記者(インタビュアー)
--今季初の敗戦となりました。試合を振り返っていかがですか?
鈴木 喜丈(岡山)
前半の入りと前半の試合の運び方がらしくないというか、そういう試合だったと思います。
記者(インタビュアー)
--甲府が強いプレッシャーを掛けてきたことで、らしくない入りになってしまったのでしょうか?
鈴木 喜丈(岡山)
甲府のプレッシャーもありましたけど、その中でやっぱり自分たちがプレスを回避できなかった部分、ミスからもそうですし、セットプレーから失点してしまった。そこを打開する力がなかったことが敗因だったと思います。

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J2 第5節 岡山 vs 甲府(23/03/19)試合後コメント(選手)
より一部引用

 らしくないというのが、パスを奪われた失点に繋がった点とやはり3失点したという事が岡山の戦いでなかったという事を示唆している。
 また、ミスを防げなかったという点に関しては、「打開する力がなかった」というチームとしての甘さを感じていたようだ。

 一方で、前半を外から観ていた41田部井 涼は、どう感じていたのか?

記者(インタビュアー)
--今季初の敗戦となりました。試合を振り返っていかがですか?
41田部井 涼(岡山)
「やっているサッカーはすごく良かったと思いますが、時間帯とか流れとか、そういうところでチームとして少しスキがあったのかなと思います。」

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J2 第5節 岡山 vs 甲府(23/03/19)試合後コメント(選手)
より一部引用

 岡山がチームとして内容が良かったと捉えるのか、スキ(隙)があったので全体としては悪かったと捉えるのか。まさに今回のテーマ。

 対する甲府は、どう感じていたのか?

記者(インタビュアー)
--先制点について。相手のボランチからボールを奪いましたが、狙っていたのでしょうか?
17品田 愛斗(甲府)
「いや、最初は2トップに任せようと思っていたのですが、相手のボランチに入るボールスピードと自分を見ていないという感じが感覚としてあったので、「狙えるな」というのが1つありました。(ピーター)ウタカ選手にこぼれたあとにそのまま前に走り出せたのは良かったと思います。シュートのコースは見ないで感覚で打ったのですが、良いところに飛んでいって良かったです。」

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J2 第5節 岡山 vs 甲府(23/03/19)試合後コメント(選手)
より一部引用

 21山田 大樹から6輪笠 祐士へのパススピードが遅かったという事と、周りの状況を見てという事ですが、全体として前かがりであるというのは、ボランチの17品田 愛斗が、ボール奪取できたことからも分かる。

 このシーンの99ピーター・ウタカのプレーのように、仕掛けというよりはチャンスメークに苦しめられていた試合であったと、ゴールをシーンを見返すと感じる所である。そして、17品田 愛斗のシュートは、見事でした。

篠田 善之 監督(甲府)
「勝点3を取れたことは本当に良かったなと思います。本当に岡山は力強くてイヤなチームでしたが、我慢強くゲームを進めながら、われわれが先制点を立ち上がりに挙げられたことは非常に良かったなと思っています。準備していたことが結果に表れると、選手たちは自信になりますし、そういうシーンをたくさんこれからも作ってあげたいです。ただ、ミスもたくさんありましたし、失点の部分ではやはり簡単にボールを失ったり、真ん中を通されたりしているので、非常に課題が見えたかなと。90分を通してすごく圧力を感じながらでしたけども、追加点をどんどん奪い取れるシーンもあったと思うので、そういった部分も攻撃、あるいは守備の先ほど言ったミスのところを改善していかないと、こういう勝点を積み上げられないと思います。しっかりと戻って、また次に向けてみんなで準備していきたいなと思っています。」

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J2 第5節 岡山 vs 甲府(23/03/19)試合後コメント(監督)
より一部引用

 甲府としては、準備してきたこと。やりたかったこと。まさに自分達のサッカーをある程度、体現できての勝利であった。ただ、一方で、前節まで負けなしであった岡山に勝つのは簡単ではなかった。
 そういった内容からすれば、岡山としては勝ちたかった。ミスが無ければ、岡山が勝てていた。そう岡山のサポーターの方が、結論付けるというのも、確かにその通りであるとも感じた。

 この試合の岡山に生じた”隙"は、ここまで4試合の成功体験。前から来る意識がこの4試合で最も高い甲府であったことで、結果的に未知のプレスのように体感として感じた所を、体も頭もまだ堅く、甲府のプレスに慣れない時間帯に失点したこと。

 加えて、キープレイヤーとなる6輪笠 祐士と21山田 大樹の所での判断ミスや技術的ミスであったことで、メンタル的に立て直せなかった試合であったと観ている。

 ただ、磐田戦での中断後の崩れ方を観てもチームとしての若さが目立つチームであり、強い気持ちで“熱さ”で戦う選手がいても、”冷静さ"で戦う選手が少ない事で、ムラが出やすいチームであると改めて感じた。

 岡山としては、今後プレスを受けた時に、明確な意志のプレーをしっかりできるかどうか。

 ”感性”を大事にしつつ、”慣性“のような定型を持ち、より完成した組織力を目指して欲しい。

 ”勇断“を決断できる判断力、”油断“まで行かない落ち着き、階級のある競技の”有段“者のように精神的な強さをチームとして目指して欲しい。

2、大事にしたい気持ち・整えたい形~心技~

 スポーツにおけるメンタル的な技術というのは、もしかすると、その選手が成功するかどうかの8割を締めるのではないか。小さな意識の違いは、月日が経つにつれて大きくなっていく。

 そして、確かな指導者の下で、基礎の形を作る事で、あらゆる努力の伸び代を伸ばすスポンジのような吸収力の土壌ができる。

 それは、プロクラブのチームの強さについても言えることである。言葉では語り切れない要素の中で、強さ・安定感・完成度といったワードを目指しつつ、負けない勝てるチームを目指していく。

 少なくともここまでの5試合のファジアーノ岡山を観た限りでは、まだまだ弱いチームである。その中で、2勝2分け1敗は悪くないと言える一方で、物足りなくも感じる。

 この試合は、敗戦したことで、しかもミスが絡んだことで、その弱さ。特にミスに意識が集まり勝ちである。

 次節に向けて、岡山がどう修正していくのか、またゲームの中で、どう修正していったのか。甲府としては、どう捉えた勝利なのか。コメントから探っていきたい。。

木山 隆之 監督(岡山)
「後半も何回か決定機を作ったが、もっと増やしてそれを決められるようにやらないといけない。先ほども言ったが、前半で3失点すると取り返すのは厳しい。試合の進め方を含め、もう一度やっていきたい。
ただ、やるべきことをしっかりプレーすることをやめたら我々のプレーは成り立たないので、やり続けていきたい。」

ファジアーノ岡山公式HP
2023 J2 第5節 ヴァンフォーレ甲府戦 監督・選手コメント
より一部引用

 相手より多く攻めて、相手より多く得点を決める。木山ファジの一貫した方針だ。流石に3失点してしまうと勝つことは難しいが、それでも4点とって勝てるチームも目指す。同時に不必要な失点を減らす事、チームとしての戦い方、細かい改善点や課題の修正やクリアを目指していく。ただ、ベースにしている自分達のサッカーは大きく変更せず、自分達のサッカーでより強くなっていく。

 「やるべきことをしっかりプレーすること。」この言葉はミスを責める意味合いがないと言えば、嘘になるかもしれないが、それ以上に、この負けではぶれない。どんな負け方をしてもぶれない。そういった強い意志表示に感じた。選手を再び奮い立たせる言葉、どこで誰が見るか分からないからこそ、言葉を慎重に選んで、プラスになるよう強く語っている様に感じた。

5柳 育崇(岡山)
「負けてしまう試合も経験しながら、一人ひとりがもっとうまくなって強くなって、上の順位に行って最終的には優勝するチームに成長したい。」

ファジアーノ岡山公式HP
2023 J2 第5節 ヴァンフォーレ甲府戦 監督・選手コメント
より一部引用

 チームの共通意識は、5柳 育崇にある。筆者は、そう感じました。まさにキャプテン。

48坂本 一彩(岡山)
「負けている状況で入ったので、貢献しようという気持ちで入った。なかなか自分たちのやりたいプレーはやらせてもらえていなかったし、自分は点を取ってやるという気持ちで入った。
~略~
今後もFWなので点を取ったり、自分の強みを生かしてチームの勝利に貢献していきたい。
今日、初めてのホームでの試合で、ファン・サポーターの皆さんも多くて、楽しくワクワクした気持ちでプレーできた。」

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2023 J2 第5節 ヴァンフォーレ甲府戦 監督・選手コメント
より一部引用

 略の部分は、AFC U-20アジアカップの経験を経て、自身の成長と岡山の勝利に繋げたいという趣旨のコメントだが、今回は、省略させていただいた。

 やっぱり、48坂本 一彩の開幕戦のイメージもあったことと、トップ下というポジションであったこと。ビハインドの状況であったこと。遠征から帰って来たばかりであったこと。色々と「自分たちのやりたいプレー」ができなかった理由を考えられるが、それを超越した活躍をしてくれるのではないか。そういった期待もまた大きい。

 楽しくワクワクした気持ち。実は、筆者は48坂本 一彩のプレーにもワクワクしている。そういったサポーターの方も多いのでは?今後も選手は、大歓声の前でプレーしたい。サポーターは、心躍るプレーがみたい。

 何かを変えるというよりは、今この時の最高の空間をより良い物にしていきたい。大事にしていきたい。そう感じました。

記者(インタビュアー)
--失点したあとはチームとしてどんな声かけがありましたか?
43鈴木 喜丈(岡山)
「失点したあとも2回追いつけたので、自分は「もう1回0-0からスタートしよう」ということは言っていましたが、やっぱり悪い流れはうまく切れないことが多い。それは本当に全員でもう1回持ち直すというか、リセットできるメンタリティーをチームとして持てれば、より良くなっていくのかなと思います。」

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J2 第5節 岡山 vs 甲府(23/03/19)試合後コメント(選手)
より一部引用

 この畳みかけるような脆さが、去年もあった。若い選手主体で、攻撃的に行く中で、どうしてもスコアが動きやすく、そう感じてしまうのかもしれないが、立て直す強さ。持ち直すメンタリティ。確かに、今の岡山に足りない物と感じると同時に、若い選手が多いので、ある程度は仕方なくて、逆に爆発力もあるので、岡山の武器でもあるのもまた事実であるので、長所を伸ばして、短所を改善していけばと強く感じた。

 甲府の17品田 愛斗と篠田 善之 監督は、ゴールシーン主体の感想であったので、重要なポイントだけ。

篠田 善之 監督(甲府)
--1点目と2点目ともに前からのプレスがきっかけになり、良い形で得点が取れたと思います。
ショートカウンターでゴールを奪うことは、やはり今季ずっとやりたかったシーンでした。ボランチの 品田(愛斗)と(松本)凪生は大変な活動量でしたけども、結果が出たことは非常に良かったかなと。

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J2 第5節 岡山 vs 甲府(23/03/19)試合後コメント(監督)
より一部引用

 私が、この試合で個人的に、「ミスで負けた。」もしくは「自滅して負けた。」といった感じに、ミスを敗戦の一番の理由にしたくないのは、甲府の狙いのサッカーであるからで、偶然ではなく、意図的に作られたミスであり、今までのチームと違い明らかに前から来ていたからである。

 ミスしたことより、岡山が、甲府のDFラインや背後スペースに関して、甲府の負担が大きくなる中で、岡山がそこを明確に蹴り込んでスペースを使って行くのか。それとも一度プレスをいなしてから人数をかけて、繋いで前進していくのか。ここが、はっきりしていなかったことが敗因であると私は考えたい。また同時に、この部分は、今後の課題の1つと言える。

 岡山が、前から奪いきってというシーンも作れそうで、作れなかった。改めて、今季の岡山の戦い方は、継続性の下で、大きく変わったと改めて感じました。

 幸いにも公開した本日に対戦する千葉は、前から激しいプレスに来るクラブであり、メンバー変更を含めて(18櫻川 ソロモンが契約上出場できない)、どう戦って行くのか。まさに要注目の一戦。

3、課題と収穫

ポイント
①前から奪いに人数をかけて来る相手に対する戦い方。
②41田部井が、アンカーとして計算できる手応えを感じた。
③ボールが収まる相手に対して、どう守備組織を構築していくのか。
④1人で何でもできる相手を前にDFラインを維持する守り方。
⑤人数をかけた攻撃ができる一方で単独突破の形をチームとして増やしていくのか。

上記を文章として再表現すると
「スペースを突いていくのか?突かないのか?パスを繋いで行くのか?省略するのか?」
プレスを受けた時に、ここが曖昧であったことで、迷いがミスに繋がり、試合として落ち着かなった原因の1つであると感じました。

 一方で、甲府は対岡山に関しては、非常に明確で、篠田 善之 監督の言葉にもあった通り、やりたいサッカーが出来ていた。この差が、勝敗を左右したと私は観ました。

 甲府は、前から人数をかけて99ピーター・ウタカに預けて、起点を作って、前から人数をかけて攻めて行く。ここが、明確であり、奪った後のポジティブトランジションは、かなり整備されていて、そこでせめて五分五分に持っていければ岡山としては感じましたが、見事でした。悔しいですが、スコア以上に甲府が勝つべくして勝った。そういった試合であったと感じました。

 ACLで、甲府が、どこまでやれるのか。とても楽しみ。負けはしたものの岡山サポーターであると同時にサッカーが大好きな自分としては、かなり注目していて、待ち切れない。いつか岡山もJ1。そして、ACL。夢がある。甲府の躍進をみて、夢をみたい。

 岡山としても、この敗戦を糧に、記事公開である本日のフクアリでの試合で、歴史を作って欲しい。

文章=杉野 雅昭
text=Masaaki Sugino

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