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2022ファジアーノ岡山にフォーカス11J2:第5節:H: ファジアーノ岡山 vs 横浜FC「1番への想い」
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フォーカスポイント
①木村の躍動
②前線の工夫
③横浜式サッカー
④中盤の優位性
⑤試合終盤の戦い方
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1、戦評
キックオフ前の記念撮影。筆者は撮り逃したが、1梅田 透吾のユニフォームをスタメンの選手が掲げて結束の気持ちを形にするところから始まる。
首位の横浜FCとの試合は、どういった攻防となるのか、注目していたが、ピッチを広く使い、攻撃のバランスを崩さないことで、守備は必要最低限というスタイルであった。両WBが高い位置に張ることで、DFライン上は、数的不利だが、そこへの配給元を断つことで、インターセプトからカウンターを仕掛けることが出来ていた。
そのため、横浜FCは、なかなか意図した攻撃が出来ない。しかし、流石は首位のチーム、精度の高いサイドチェンジから、中にクロスを入れていく攻撃を、岡山は許すこととなったが、5柳 育崇と23ヨルディ・バイスを中心に、キャプテンの13金山 隼樹が、しっかり壁を構築して防いだ。
15ミッチェル・デュークが競り勝った先が良かったコメントを残した19木村 太哉がPKを獲得。7チアゴ・アウベスが、迷いなくボールを受け取りボールをセット、PKをしっかり決めて、1位タイとなる今季4得点目で先制。
後半も前半と同じような流れではあったが、7チアゴ・アウベスが下がると徐々に失速。一瞬の隙をつかれて、クロスに高さを活かしたヘッディングシュートを47フェリペ・ヴィゼウに決められて、同点ゴールを許した。
20川本 梨誉や22佐野 航大を投入していくなど、流れを引き込もうと様々な手を打っていくもこの試合も決定打を欠いた。
徐々に攻勢に出る横浜FCの猛攻をなんとか凌ぎ、勝ち点1は辛うじて死守した。選手一人一人の高い集中力からの気持ちの籠もった守備や、13金山 隼樹の至近距離からのシュートを防ぐビッグセーブなどもあり、横浜FCに勝つことこそ出来なかったが、連勝ストップに成功。
決して満足の行く結果ではないが、ホームの意地をみせ、連敗を回避。次の試合に繋がる結果となった。
2、木村の躍動
この試合のMOMに、19木村 太哉に推す方は多いのではないだろうか?それだけ素晴らしい活躍であった。この項では、19木村 太哉にフォーカスを当てていく。
①ゴールに迫る推進力
7チアゴ・アウベスへのマークが厳しくなる中で、右サイドの活性化が、急務となっていた。結果的には、19木村 太哉の獲得したPKを7チアゴ・アウベスが決めた得点のみとなったが、ひとつの活路が開けた試合となった。
4連勝中であった横浜FCに対しても、出足の大きい19木村 太哉のドリブルや裏への抜け出しは、決まった時にはファールでしか止められないというものであった。CBの2選手にイエローカードが掲示され、その内1つは、前述したPK獲得出来ている。
②チアゴへの好影響
7チアゴ・アウベスが、CFの位置にシフトすることや、右サイドにポジションをとる回数が増えた。7チアゴ・アウベスは、ゴールを常に狙う選手であり、19木村 太哉の側で、プレーすることで、得点に繋がるという判断であったのか、そういう指示が出ていたのか。何れにせよ、チームの形に明確な変化を生み出した。
栃木戦と町田戦と違い、攻撃に関与できた回数が増えて、関係性がより整理できれば、開幕戦のように爆発力のある試合への期待度は高まる。
③キープより打開
19木村のドリブルの魅力は、奪われない懐の深いドリブルと、前述した一歩で抜き出るドリブルである。この試合では、横ではなく裏へのベクトルのプレーが多くなったことで、効果的なドリブルとなった。
横浜FCとの相性もあると思うが、華麗な突破の7チアゴ・アウベスと、勇猛果敢な突破の19木村 太哉の両翼が、これだけ機能すれば、イニシアチブを握ることが、横浜FC相手にも可能だということを証明した試合に出来た。
3、前線の工夫
チームの組織力を高めていく時に、守備の安定から考えていくというのが、近年の岡山であったが、木山ファジではそうではないようだ。
①守備へのアプローチ
守備の指示も、もちろん木山 隆之監督は、選手に指示し、練度を上げていることは、4-2-3-1の守備ブロックを構築するように修正していることから、明らかであるが、守備より攻撃にかなり比重を置いたチーム作りをしている。
後ろは、23ヨルディ・バイスと5柳 育崇のヤバス要塞と26本山 遥の本山丸で、なんとかなるだろうという絶大な信頼を感じるほどである。
②チアゴの自由
開幕戦で証明された悪魔の左足を如何に活かすか、そういった視点に立った工夫が見られた。4-3-3や4-2-3-1にしても一定の守備が求められるが、守備が必要な時に15ミッチェル・デュークが流れて守備のタスクをこなすシーンが何度かあった。
その分、7チアゴ・アウベスは、セットプレーの守備でカウンターの機会を伺ったり、19木村 太哉や15ミッチェル・デュークが、奪ったあとに備えるなど、得点するための自由を如何にチームとして、作って行くかという方針で有ることが感じられた。
4、横浜式サッカー
浦和や広島、札幌で実績のあるペトロヴィッチ監督のミシャ式3-4-2-1のサッカーを四方田 修平監督が、ヘッドコーチとして一緒に札幌で戦ってきたことで、そのサッカーを「ラーメン店で修行したが、ラーメンを習得して、自らのラーメン店を開いた」かのように再現されていた。
①前線に5人
DFラインに、5人の選手が張り付いて裏やピッチを広く使った攻撃で、守備の綻びを突く狙いがある。その分後方の人数が薄くなるため、展開力や前に運ぶための個の力や、守備の時の対人守備の強さが必要となる。
②CBとWB
WBが前線に張り付く形を目指して、CBも外に大きく広がりつつ高い位置にポジションを取る。状況に応じて、そのCBも攻撃参加することもあり、CHのどちらかの選手が、DFラインに降りてきてビルドアップや守備面で、フォローやカバーすることもある。
③横浜式ストライカー
広島であれば、佐藤寿人。浦和であれば興梠慎三というワンタッチゴーラーと言えるJリーグ屈指のエースが輝くのがこのサッカーであるが、四方田 修平監督が率いる横浜FCでは、18小川 航基がここまで3得点決めており、まさしくやりたいサッカーが出来ていると言える。
5、中盤の優位性
前半は、この辺り巧く戦えていた。特に中盤での優位性は、際立ってよかった。
①守備の集約
横浜式のサッカーは、後方の選手は分散している。守備の時に、経由点やコースに選手を集約させることで、横浜の選手のパスを守備ブロックにかけることで、カウンターという形を作ることが出来ていた。
②本山の守備範囲
横浜FCのプレスが緩く、スペースもあったことで、比較的自由であった。そのため、本来埋めるべきポジションを離れて、積極果敢にカバーや連動したプレスに参加する。そういったことが出来た試合で、横浜FCのパスを多く中盤でカットする事ができたことで、守備の安定と良い攻撃に繋げる事ができた。
③CBの間を突く攻撃
攻撃では、ボール奪取後に、CBの間やサイドのスペースに走ることで、スルーパスを呼び込むフリーランの形を多く作ることが出来ていた。現状は、このチャンスを決めきる連動性こそなかったが、ロングスローやCKを獲得するだけではなく、ファールで止めるしかない状況を作ることで、FKの機会を多く作ることが出来た。
6、試合終盤の戦い方
現状、時間経過するごとに、得点から遠ざかる傾向にある。チアゴタイムが、終了した時の閉塞感は打破しなければならない課題である。
①試行錯誤
19木村 太哉が、今季初スタメンで躍動した一方で、右WGではなく、左WGでプレーすることとなった10宮崎 幾笑。スタメンの時に出来ていた裏への抜け出しからのチャンスメークも抜けきれないことで、やや物足りなかった。昨シーズンも、徐々に出場機会を失っていったことを考えると、そろそろゴールを決めて、アピールしていきたいところだ。
25野口 竜彦と、39白井 陽斗がリザーブメンバーの一枠を競う形となっているが、9ハン・イグォンのコンディションが整い、18斎藤 和樹が復帰してくれば、より激しい競争から、相乗効果とチームの熟成度向上により、終盤の閉塞感は打破に繋がる可能性も十分ある。
②覚醒の予感
5試合消化した時点で、20川本 梨誉は、2ゴール。前線からの献身的な守備や高い集中力でミスが昨シーズンより減っていて、安定したプレーができている。連携を深めて、チーム熟成度が上がっていく中で、目標としている二桁得点も十分可能と感じるほどの安定感である。特に周りの選手との連携プレーも良い点を考えても、周りがみえていて、心理的な余裕となる自信と、メンタルの成長を強く感じる。
③セットプレー
FKやCKでの得点こそ決まらなかったが、ワンクッションを置くトリックプレーや狙いを逸らす位置を狙うボールを入れていくなど、この試合では、丁寧にその機会での得点を狙うことが出来ていた。
パターンを増やしていく中で、本来の高さを活かした得点を増やしていくことも可能であるはず。そういった期待を感じる試合となった。
7、次節に向けて
1梅田 透吾と共に戦う。スタジアムを去るときに、サッカー観戦をして、1梅田 透吾のサインを一人一人が持って、記念撮影している子供達の姿を目にした。
試合に出場して、直接プレーでの貢献ができなくても出来ることがある。「子供達に夢を!」を掲げている岡山であるが、まさにそういった光景がそこにあり、こうしたサインを貰った子供達が、将来岡山の選手となるかもしれない。
22佐野 航大や山田 恭平といった岡山に縁のある選手が増えることで、岡山はもっと強くなれる。
ファジアーノ岡山が、プロサッカークラブとして、こういった活動を続けていくことで、より岡山という地にサッカーが根付いていく。
1梅田 透吾のこうした想いは、キックオフ前の一番のユニフォームと、試合後の一番のユニフォームに繋がっている。
岡山の地で、今季はもうユニフォームを着て、公式戦のピッチでプレーすることは、難しいかもしれないが、この苦しい経験が将来の活躍に繋がるはずである。
清水に戻ることになっても、岡山に残ることになっても一日でも早く、ピッチで元気な姿をみたいと心より願うばかりである。
文章・図=杉野 雅昭
text・picture=Masaaki Sugino
ファジ造語
チアゴタイム
7チアゴ・アウベスのプレーの一つ一つにサッカーを楽しむという遊び心があり、そこに技術が伴った左足の凄さを称えて「悪魔の左足」と、呼ばれている。その左足を活かして、何処からでも何時でも狙っていて、7チアゴ・アウベスが出場している時間帯は、岡山の大きな得点源と言える。
本山丸(イメージは真田丸)
大阪の陣で、大阪城に迫る徳川の軍勢に対して、真田丸は、大阪城の弱点を補う出城として築かれた。23ヨルディ・バイスと5柳 育崇の弱点は、釣り出されたときや、スピードであるが、26本山 遥かが主に、そういった守備対応をすることで、3選手の良さをお互い引き出すことで、守備が安定して、堅守を構築に繋がっている。
参考
2022ファジにデータでフォーカス2
「中盤の真田丸(本山丸)」
2022 J2第2節 岡山 1-1 徳島 レビュー
は、こちら(別サイト:SPORTERIA)。
URL:https://sporteria.jp/blog/sugi8823/6905499896963403777
ヤバス要塞
語呂を意識して、5柳 育崇の「ヤ」と、23ヨルディ・バイスの「バとス」の二文字を抽出して、「ヤバス要塞」と、表現した。防衛において重要な地点の砦。砲台もある砦のことも指す。高い対人守備だけではなく、ロングパスの精度やセットプレーの得点力があり、まさしく要塞と言える。攻守で強みを発揮できる「ヤバス要塞」として、難攻不落を目指す。
梅田アウォール
ファジの最後の壁。ファイアウォールに比喩した表現。戦術や個の力、連動性といった攻撃で、ゴールを狙ってくる様々な攻撃をシャットアウトする。そして、バックパスの受け手として、フィードや組み立てる一人として、パス交換(情報通信)。後方からの冷静なコーチング(情報の発信)。多くの情報を整理し、最的確な決断ができるGKである1梅田 透吾の良さを表現したファジ造語。
0バックシステム
攻撃的で積極的なオーバーラップや得点力のあるCBである5柳 育崇や23ヨルディ・バイスのCBの2選手と、SBが本職である26本山 遥といった流動性のあるDFラインを形成することで、攻守において、自由に動くことで、攻守での手厚い状態を作り、数的不利になりがちな局面で、数的有利の攻撃シーンを演出し、守備でも積極的なアクションで、事前にピンチの芽を摘み、流動性から生じる集中力と緊張感から、カバー&フォローで、リズムを作り出す戦術システムのファジ造語。
筆者紹介
某ゲームから野球派からサッカー派へと移籍。当時チーム名が、ジェフユナイテッド市原であった現ジェフユナイテッド千葉に興味を持つ。オシム(監督)と阿部 勇樹(選手)を中心にJリーグと代表をチェックしてきた。2008年より地元クラブであるファジアーノ岡山のサポーターデビュー。そこから、多くのファジの試合を見てきた。忘れることのできないエピソードが年々増え、シーズンを重ねる毎に想いは強く深くなり、2021シーズンは、初めて号泣。心からサッカー好きで、戦術の奥深さや、プレーの凄さなど、サッカーの本質での攻防にフォーカスを当てて、客観性と冷静さを意識した文章を投稿している。そのレビューへと突き動かす原動力は、サッカーへの情熱。熱さと冷静さを兼ね備えたフォーカスを今後も目指して、投稿を目指していくことで、サッカーの魅力の発信と、サッカーを通じた交流による、感動の共有と縁の繋がりが、楽しみ。ただ、たまに調子に乗り過ぎて失敗する悪癖もあるので、治したいとは思っている。そんな私ですが、noteやSNS、スタジアム等で、交流できたら嬉しく思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
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