2023ファジアーノ岡山にフォーカス17『 指針(理想)と勝ち点(現実)の狭間〜深海(心開)〜 』J2 第7節(H)vsいわきFC
ここまでを戦ってきた中で、ある程度は、自分達のスタイルを体現してきた岡山。その中で、チームとしての成長を多くの試合の中で、感じてきた。
しかし、この数試合で、どこか閉塞感のようなものも同時に感じた試合で、この試合後のコメントを見ても、監督や選手が強く自覚した試合になったのではないか。
試合終了後に、内容に昇格に向けて、不安な気持ちになったが、このタイミングで、この試合後コメントを見て、苦しい状況だが、するべきことをしっかりやっていくそういった強い意志を感じられた。
試合後コメント引用元紹介
ファジアーノ岡山公式HP
2023 J2 第7節 いわきFC戦 監督・選手コメント
は、こちら(別サイト)。
URL:https://www.fagiano-okayama.com/news/202304021800/
J.LEAGUE.jp (Jリーグ公式HP)
J2 第5節 岡山 vs いわき(23/04/02)試合後コメント(監督)
は、こちら(別サイト)。
URL:https://www.jleague.jp/match/j2/2023/040206/coach/
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J2 第5節 岡山 vs いわき(23/04/02)試合後コメント(選手)
は、こちら(別サイト)。
URL:https://www.jleague.jp/match/j2/2023/040206/player/
1、私達が苦しいのはファジだからだ~試練(志迷)~
岡山は、この試合から試合前の予想通り、4-3-1-2を放棄(転換)して、3-4-2-1にトライした。筆者は、4-3-1-2で戦って欲しい気持ちもあり、予想では、4-3-1-2としていた。
やはり、いわきに対して、サイドをしっかり固める意味と、15本山 遥の初スタメンを最高の試合にして欲しかったからだ。
右サイドにおいて、16河野 諒祐の時は、攻撃で活躍すること。15本山 遥の時は、守備で活躍すること。これが、チームとして理想であったが、前半から、15本山 遥の守備ではなく、攻撃に関するプレーが多かった。
前半は、フリーとなっていた15本山 遥へ多くのパスが通り、その度にいわき囲い込む守備や待ち構えるSBの壁を越える事ができず、バックパス。後で回して、再び15本山 遥。といった流れを繰り返し、後で回している内に、奪われてカウンタ―という何度も目にした。
結果的に、16河野 諒祐であればという試合になったが、いわきがもし、そういった状況を意図的に作っていたたとしたらチームとして、もう少し何かできなかったと感じる所である。
右サイドで打開できていなかった以上、スピードやパワーで機能していたいた18櫻川 ソロモンや9ハン・イングォンをシンプルに活用していく。これで良かった筈である。
結果的に、修正するまで前半のほとんど。被カウンタ―に繋がる可能性の高い攻撃に終始することとなってしまった。
岡山と町田と違いをはっきりと言ってしまえば、戦術的な割り切りだ。町田は、開幕から勝利に徹した戦いを行っている。試合をチェックしている訳では無いが、エリキやデュークといった選手を効果的に使うロングパスを最大限活かしている。
かといって、秋田やこの試合のいわきの様に直ぐにロングパスを蹴る訳では無い。後で繋ぐことができる。
岡山のDFラインのGKを見ると、町田に対して、見劣りはしていない筈だ。この試合でも後でもある程度繋ぐことも効果的なロングパスを入れることができていた。
ただ、成果がでていなかったサイドの攻撃からシンプルに前線を使って行くという攻撃ができていれば、違った結果になったかもしれない。
1シーズンの42試合で、同じ考え方と同じ戦い方で、”頂“へと辿り着けるほど、簡単なリーグではない。優勝候補筆頭であった清水のゼ・リカルド監督の解任。主軸が抜けたとはいえ、POを戦ったライバルである山形のクラモフスキー監督の解任。
清水に関しては、長くJ1で、残留争いしてきたことで、勝者のサッカーへの転換(負けない手堅いサッカーからの転換)が間に合わなかった。山形は、シンプルにエースと10番の抜けた穴が大きすぎたことであり、個人的には勇み足ではないかと感じる。
清水は、チームとしての力は疑いの余地は無く、モチベーターで、J2の知っている秋葉 忠宏 監督ということもあり、試合を重ねる毎に猛烈に追い上げてくることは間違いない。
一方で、心配なのは、山形である。山形のサッカーは、特殊で後任の方は大変であり、チームとしてどう戦って行くのかという指針を示すのが難しく、率直に言うと立て直すのは簡単ではないはずだ。
監督を交代するのであれば、開幕からであり、私は、クラモフスキーの山形をまだ観たかった。後任の監督の方の実績が優れていて、タイミングが良ければ、支持したいところであるが、渡邉 晋 監督が実績があってもどこまで戦えるか、正直不安である。
両チームとも序盤戦ということもあり、チームとしての継続性により立て直す時間があり、浮上の可能性も十分あるが、置かれている状況や今後の展望は、大きく違う様に感じる。ただ、あくまで私の予想であり、サッカーには正解がなく、山形がここから怒涛の巻き返しで、J1昇格する可能性ももちろんあり、見守っていきたいところである。
どうしてこういった話をするかというと、岡山ももしかすると、両チームの強化部であれば、解任されても不思議ではない内容であったからだ。清水と山形は、後任としてある程度考えていて、もしかすると、解任された前任の両監督にも後任の両コーチに伝えていた可能性すらある。
岡山として、やりたいサッカーがある程度できていた。言い換えると、良い入りが出来た中で、非効率的というか非合理的な攻撃が顕著に現れる前に失点したことで、印象が悪い物となった。
つまり、0-0で推移していれば、多少の粗い点も攻撃と守備のバランスの中で、試合を見る事ができるが、ビハインドの状況で、どう追いつくかという状況になったことで、新システムの船出としては、非常に不味いものとなってしまった。
それこそ、15本山 遥の攻撃面での悪い面が、非常に目についた試合にもなり、あまり触れなかった2高木 友也が高いポジションであまり受けれなかったのに対して、ハーフポジションで受けてボールを触れていて、攻めていた15本山 遥の方が、印象が悪くなった。実際に、2高木 友也の縦に行く攻め(武器)を見る事ができ、ゴールに迫っていた。一方で、本山 遥の守備や運動量といった武器はあまりみることができなかった。
2、戦術や勝敗より重い(想い)~自覚(軸固)~
チームの状態とチームの状況。まだシーズンの序盤だが、例年以上に危機感を感じた試合となったことは間違いない。
言葉で表現できないが、試合後にここまで6試合と何か違う不安や不満を感じた方は、多かったのではないだろうか?
「こんな筈では…」、「このままでは…」。そういったマイナス要素の多い試合であったのだ。
このままもし負けていれば、それだけ怖い負の感情の起こる内容と結果だったのである。
15本山 遥としても悔しかった東京V戦の悪夢を思い出すような悔しい出来だった筈である。
そうした試合展開の中、27河井 陽介の今季初出場となるが、中盤を落ち着かせてより攻撃的に、22佐野 航大を右WBに回す事で右サイドをより攻撃的にという形に変えた。
この結果、右サイドの攻撃は劇的に改善したが、状況打破から同点にするには、まだ足りない。そこで、19木村 太哉と99ルカオを投入した。
18櫻川 ソロモンと99ルカオの高さと強さを兼ね備えた2トップ。
左SHには、2高木 友也(後で2高橋 諒に交代)、IHに22佐野 航大と14田中 雄大、右SH19木村 太哉、アンカーに27河井 陽介の3-1-4-2の原点回帰が観られた。
ここまで、悲観するような内容であったが、この形を観た時に、嬉しさのような感情が沸き起こった。
試合展開も盛り返し、微妙な判定ではあったもののPKを得て、同点に追いつくことができた。逆転できそうなシーンこそあったが、逆転に至らなかった。
確かに勝利することができなかったが、昇格を考えた時には、ある意味、好転する可能性のある結果であったように筆者は捉えたい。
ここで、木山 隆之 監督の試合後コメントのこの部分をみていただきたい。
サッカーの勝敗を分けるポイントとして、メンタルは大きく左右される。戦える気持ちがあって、初めて戦える。そういったスポーツであると筆者は、考えている。
再び町田の話をするが、割り切っているという表現だったが、言い換えると、自分達のすべことを理解して、自分達のサッカーに自信を持って、迷わずプレーできている。
今の岡山は、負けていないが、自分達のサッカーで、勝ち点3を取れていない。逆を言えば、勝ち方が分からなくなってきている。そういった領域に入りかけている。ここまでの結果や内容に不安や焦り、そういったものが少しずつ、岡山のサッカーを蝕みつつある。
そこで、そういった感情を感じ取った木山 隆之 監督が、その重圧から解き放つために、ある程度自由に戦った。そういった側面もあった試合であり、そういった試合にしたかった。
色々苦しみながらも3-1-4-2を苦心しながらも引き出して、同点に持ち込んだ。そういった試合であった。
だからこそ次の一言に繋がっている。
ただ、全ての選手が、そういった感情の選手だけではない。
1年間通して心身共にベストの状態を目指す。出場できている選手もできていない選手も、それぞれその状態を維持するベストをし、試合の準備をしている。
大きなメンバー変更を含めて、チームで、総力戦で、共に勝利を目指す。
この木山 隆之 監督と、守護神である1堀田 大暉 選手のコメントを読んで、チームとして1年間を戦って行く。そういった難しさと同時に、強さや繋がりのようなものを感じた。
1堀田 大暉を起用した意味。22シーズンの3-1-4-2で、試合を終えた意味。それは、今後の試合で戦って行く中で、分かってくるだろう。頂を目指す上では、かなり危機的な状況である事を試合内容や順位からも伝わって来た試合でもあったが、試合後のコメントを見て、このタイミングで、このミーティングをやっていたのか。だからこそ、こういった内容になった面を否定できなくても、深い思慮の上の決断であった。
まさに木山マジックと言える試合後コメントであった。
3、原点(現点)回帰(会機)~明暗(明光)~
よくできた試合という評価だが、戦術的には、意外にも策が当たった試合であった。それだけにチーム状態が良ければ、勝つことも可能であったかもしれない。だからこそ、色々と考えてしまう試合であった。
シンプルにいわき側からすれば、対策できていない試合で、難しくなる試合であった。
相手の対策を無力化できる。ここの隙を的確に突く戦い方ができていれば、もしくは、そういった展開になればと感じる試合であったと改めて感じる。
押し込めるパワーがある。ここを試合終盤の強さに、岡山としては繋げたい。
>守備でも攻撃でも、自分たちが優位に立てることを理解して戦うことができている
こういった気持ちで、どう戦えるか。こういったコメントを、対戦チームであるいわきに言われてしまう印象や結果。これもまた事実。ただ、前半部分を見ると、やはりもっと隙を突けるチームに、岡山はなっていかないといけないと感じる。
>試合の展開を戻すこと、もっと自分たちが優位に立つことができたシーンもあった
いわきの選手とは、対称的に優位に立つことが”もっと“できたという表現を使った18櫻川 ソロモン。良い状態であれば、いわきの選手のようなコメントであったと思います。
しかしながら、冷静に局面を狭めて観ていくと、良くなる要素や浮上する要素というのは、多くある。つまり可能性のあるチームであると感じる。
割り切って、勝ちに徹することで、確かに勝ち点を伸ばせるチームもあるが、岡山は昨季の徳島のように理想を求めいく中で、終盤の勢いを作り出したい。特に終盤の失速により、あと一歩届かなかった岡山は、そういった気持ちが強い。
22シーズンの経験を活かすためにも、ここからどう戦って行くのか。繰り返しになるが、原点回帰の3-1-4-2に追いついた現地点において浮上の機会に巡り会えた。運命を感じる様な試合になるかもしれない。
明暗くっきりという言葉があるが、明らかに暗い未来なのか。明らかに光のある未来なのか。
現地点では誰にも分からない。ファジアーノ岡山ファミリーの1人1人が、その答えを知るために、スタジアムでプレー(指揮・応援・観戦・運営・補助・準備etc…)することで、答えを求める。
100年続くDNA。僕達私達は、日々、結果や気持ちで、一進一退を繰り返しつつ、物事を前進させている。正解はない。喜怒哀楽の先に何が待っているのか。やはり、次の試合が藤枝戦が、気になる。そういった試合でした。
いわきの秋田と似ている様で違うサッカー。評するならが秋田は終始速さと強さを追い求めたサッカーだが、いわきは、柔も取り入れた柔道の様なサッカーであった。
このように各チームのサッカーには、カラーがる。
今一度、岡山も自分達のサッカーのカラーは何か、原点に返って考える必要がある。
今はまだ、深海の底に沈んでいるかもしれない。しかし、微かな海上(会場)の上の光を目指す事は可能なはずだ。
今一度、自分達のサッカーを認め直して、信じて、勝ち点3という結果を手にして欲しい。
そして、自分達のサッカーを心に問い、道筋を開くことで、心開の先の正解に近づいて欲しい。
文章=杉野 雅昭
text=Masaaki Sugino
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