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2021ファジアーノ岡山にフォーカス11 J2:第8節:岡山vs水戸(Home) 「裏ではなくスペースを突けた前半・28疋田 優人の評価・24下口 稚葉の致命的に低い危機察知能力」

1、 前置き

愛媛戦の28疋田 優人のゴールの余韻を残しながら迎えたホームでの試合。シティライトスタジアムとしては、珍しく雨のピッチコンディション。この時期にしては、少し肌寒く、14:00時ごろであれば、まだ温かったかもしれないが、雨が降り続けていたかもしれない。試合開始時間になると、雨が上がるというシティライトスタジアムでは、良くある事である。降水確率が高くても、同じように試合時間に雨が止む事は、岡山では定説だが、地域によっては、降水確率が低くても雨が降る事は少なくない。

屋根が狭いスタジアムではあるが、雨が少ないというのは、サッカー観戦に足を運びやすくしてくれる1つの要因となる。そういったシティライトスタジアムの試合で、TV中継と、コロナ下で制限されていて、降雨が予想された試合とはいえ、3,000人の割ってしまったのはショッキングの数字とは言える。ただ、土曜日の試合という事で、仕事の方も多かったと思うので、そういった面では、まだ救いがありそうだ。

観客数と言えば、指定席に限る話であるが、毎年同じ場所をキープするために、席を購入していた方が、その席をキープできず、違う場所に追いやられてしまった方もいる。席数を制限する事で、予見できた事で、シーズンパス購入者を優遇する期間があっても良かったのではないかと思う。これで、来年、今季新規に席を購入できた方が、同じ席をキープしていた所の席で、観戦していたら、どう思うのか。そう考えると、どうにか出来なかったのかと思う。

同じ席をキープし続けていた方というのは、岡山に長く足を運んでいた方が、当然多いので、そういった方が、増えて行く中で、そういった方、1人1人を大事にすることで、岡山は、成長してきた。昨季の途中からシーズンパス購入者が、優先してチケットを購入する期間が設けられたが、こういった対応が遅くなるのは、クラブとしては、正直どうなのかなと思います。

今後も、岡山として上を目指す上で、サポーターを増やしていきたいのであれば、前年度シーズンパス優遇期間というのを2,3日でも短くても良いから設けても良いのではないかと思います。新規さんも大事ですが、岡山好き、ファジ好きといった、岡山を長く愛してくれる方も、もっと大事にして欲しいなと思います。シーズンパスも来季も購入したい。こういった気持ちを大事にできるクラブであって欲しいなと思います。

とはいえども、成長していくためには、新規のサポーターも大事しないといけないというのも事実。サポーターに対しては、平等であるべきという考えや、古参サポが、陣取っているという考え方もあるかもしれない。この辺り、全ての方が、納得する対応というのは難しいと言えるが、どうにかならなかったのか。

少し問題提起というか、重い話になってしまいましたが、こういった事を思う指摘席のシーズンパス購入者は、多いのではないかと思います。こういった事実。少しでも多くの方に知って貰う事で、クラブのスタッフさんには、何らかの対策というか、対応というか。難しいと思いますが、考えて欲しいなと思います。

それでは、悔しい逆転負けになってしまいましたが、アグレッシブな前半と、守備の隙を突かれて、2失点した後半。それぞれ振り返って行きたいと思います。本当に悔しくて仕方ないですが、できる限り冷静にと、平常通り、書いていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

メンバー:2021:J2:第8節vs水戸(Home)

2、 裏ではなくスペースを突けた前半

18斎藤 和樹と15山本 大貴が、精力的にサイドのスペースへの動き出しを繰り返した。そこに対して、この試合でも右サイドに入った14上門 知樹とCHに入った28疋田 優人を中心にミドルパスが何度も配給されていました。27木村 太哉もこの試合もドリブル突破で、相手陣地深くまでも侵入して、後は通すだけという状況を作るも一番危険な所へ最後まで、パスを通す事が出来ませんでした。

27木村 太哉のパスが弱いのか、それともタイミングが悪いかのか、もしくはコースが悪いのか、いやいや受け手のポジショニングが悪いのか。この辺りは、意識してみた上で、そのシーンを見返して、分析しないといけないので、正解は出すのは難しい。

私は、大局的な視点に立って書いていくという方針という事で、分析ではなく私見になりますが、27木村 太哉のドリブル突破で抉った後の中へのラストパスのコース自体は悪くないが、右利きではあるのに左足でラストパスを出しているので、パスが弱くタイミングもそれによって悪くなっており、パスの成功率が低くなっている可能性が高いのではないだろうか。

ではそうなる左サイドの起用意図は?という事になると思いますが、やはり視野が開けるというのが大きいと思います。右サイドの27木村 太哉は、縦に行く割合が多い印象を持っていますが、左サイドに入ってからは、中への侵入回数も増えて、シュートまで行くシーンも増え、逆サイドへのパスも増えてきました。そこが27木村 太哉の左SHでの起用の最大の理由。

14上門 知樹は、元々見える選手でしたが、右SHに入る事で、パスを積極的に配給していました。この試合では、水戸のサイドに比較的スペースがあった部分もありますが、パスを出す判断も良く、素晴らしい位置へスルーパスを何度も配給していました。シュート数は、いつもより少なかったですが、持ち味を存分に発揮したと思います。

愛媛の監督が代わった愛媛戦では、相手の布陣が予測できずに、対面を避けてスペースを突くという事が出来なかったですが、水戸戦では、似たような布陣ではあったが、中央を避けて、4-4-2でサイドを主体的に攻めた。これが、功を奏した前半で、水戸の個の対応が甘いので、ラストパスを出す所までは出来たが、一番危険な所へ通せない、打てないといういつもの展開が続いた。

結局、流れからの得点を奪う事は出来なかった。裏のスペースを突けたと思われたが、実は、危険な所では、ほぼ通せてなくて、水戸の様な奇麗な裏抜けは、ほぼ無かった。チームとして、前進があった前半と捉えるか、いつも通りで、水戸の守備が甘かったので、いつもよりスペースへのパスが良く通ったと判断するかによって、この試合の評価が変わってくる試合と言える。

何れにせよ、良い時間帯に、主体的に攻めているが崩し切れず、1点止まり。守備固めにいくか考える時間帯に失点し、攻めるか守るか中途半端な時間帯に逆転を許した。主軸が、負傷交代や運動量が落ちて来た事により下がったが、最後は、連動性も個の力も失ったチームでは、最後まで攻め手を欠いた。後半の最後の戦い方にも課題を多く残し、怪我人が多く出ている中で、どうチームを建て直すのか問われる事になる。

3、 28疋田 優人の評価

期待以上の内容であったと思います。キックモーションが、速く軽やかであったので、パス回しは、ボランチで一番だと思います。6喜山 康平や7白井 永地は、キックモーションが重めなので、瞬時のパスは難しい選手ですが、2選手とも高精度のキックと、比較的広めの視野を持っています。28疋田 優人は、精度と速さを兼ね備えているので、攻撃を加速させるという意味では、大いに期待できると思います。

6喜山 康平の場合は、主にスペースケアを主体としたポジショニングをしていますが、28疋田 優人は、それより前目にポジションを取って、2列目と近めの距離、27木村 太哉と14上門 知樹が、サイドでのチャンスメークする中で、中からの攻撃参加を7白井 永地と共に担える位置で、攻守で存在感を出せる選手。7白井 永地がいつもより守備的に回る事もありますが、巧くバランスが取れていたと思います。

前目のポジションという事もあり、前への守備も巧い選手で、良いボール奪取もありました。事前情報では、接触プレーは、苦手にしているかもおしれないという不安がありましたが、杞憂に終わりました。強くはないですが、弱くもない。J2でも十分デュエルでき戦える選手だと思います。

視野も広く、的確にスペースへ精度の高いボールを出せていた。判断も速いので、高いインテリジェンスを感じた。選手を使う事も選手に使われる事の出来る選手。岡山の選手は、近くにパスを出したがる傾向が強いので、長短のパスを瞬時に出せて、スペースに飛び込める攻撃センスは、得点力不足解消に貢献してくれるのではないかという期待を大いに抱いた。

チームの中での関係性というのは、すぐには良くならないので、辛抱強く起用していけば、持ち味をより発揮できると思います。普段の練習で一緒にやっていても公式戦となると勝手が違いますが、デビュー戦で劇的ゴールを決めた事もあり、自信を持ってプレー出来ていました。デビュー戦の再来かと思うシーンもありましたが、この試合は、トラップを選択する場面があったので、慎重かつ丁寧にプレーを心がけてプレーしている事を感じられた。

後は、6喜山 康平と7白井 永地というJ2でも高いレベルにあるボランチ2人と、故障で離脱している26パウリーニョ。長期離脱中の17関戸 健二は難しいが、復帰してきた時。今の所、出場機会はないが、29劉 龍賢も技術と強さのある選手も控えており、この辺りの選手をどう起用していくのかという状況でこそないが、28疋田 優人のパフォーマンスが良かったので、来季に向けても競争は激化しそうである。

ただ、水戸の守備を見ていると、15山本 大貴の18斎藤 和樹のスペースへの抜け出しに対して、巧く対応できていない守備の緩さがあったので、組織的に守って来るチームや、守備の重心が後ろにあるチーム、対人守備が強い選手を擁するチーム。こういったチームに対して、どこまで戦えるか。そこによって、評価は更新される事になると思うので、その辺りが、心配な点であり、楽しみな点です。

4、 24下口 稚葉の致命的に低い危機察知能力

愛媛戦に続き、24下口 稚葉のポジショニングによる失点に繋がった。この試合でもDFラインを高く設定している中で、1人だけ残り、オフサイドをかけかれなかったという見立ても出来る。果てして、そうだろうか。検証していきたい。画面全体が映っていないので、24下口 稚葉は、映ってからになるが、それでも分かる事がある。

公式動画を貼っておくので、皆さんも何度も見返しつつ、読み返して頂ければと思います。DAZNに加入している方は、大画面の高画質のフルタイムで該当シーンを、確認した方が分かり易いかと思います。

【公式】ハイライト:ファジアーノ岡山vs水戸ホーリーホック 明治安田生命J2リーグ 第8節 2021/4/17
URL:https://youtu.be/seS_WO25DKQ?t=129


まずは、1点目の流れ(攻撃側)を整理してみよう。9中山 仁斗がヒールで繋いで、15奥田 晃也のポストプレーを試みるもクリアされるが、毀れ球が8森 勇人に転がる。その8森 勇人は、転がってくる中で状況を整理し、狙いすましたスルーパス出す。そのスルーパスが、14松崎 快に見事に通り、GKとの1対1となる。その1対1でも冷静にGKの動きを見極めて14松崎 快が、決める事ができた。これが、攻撃側の流れでした。

これに対して、岡山がどういったDFをしたか整理してみよう。9中山 仁斗に入った時に、前を向かすプレーを防ぐ狙いと、ボール奪取を狙って4濱田 水輝が後ろから寄せに行く。しかし、9中山 仁斗のヒールで流されていなされてしまう。これで、まず4濱田 水輝が、最終ラインから離れる事になった。

次にヒールを受けた15奥田 晃也に対して、5井上 黎生人がスライディングタックルで、ボール奪取が狙いつつも、攻撃の芽を潰そうとして、実際にボールに触れたが、8森 勇人の下へと風にも転がってしまうという不運な状況になった。岡山のCB2人が、同点に追いつかれて焦っていて、意識が前に合った事もあるが、高い位置で、積極的に守備にいったが、失敗に終わった。これにより、本来CBの2人がケアすべき所が、見事なまでに奇麗に空いてしまった上に、8森 勇人の視野が前に開けてフリーという状況が、生まれてしまった。

そこに対して、8森 勇人が、前を向けていて、視野も開けているので、14松崎 快がフリーになる事も見えていた。そこに狙いすましたスルーパスを出した。しかし、24下口 稚葉は、出されて、初めて近くに14松崎 快が「危険な位置」にいる事に気づいて、横に19村田 航一がいる事も横を見て、その存在に初めて気付き、オフサイドが無い事もそこで確認。これは、CB2人が積極的にアクションを起こしたが、失敗した。この危機的状況をどう凌ぐかという守備的な思考が巡らせていなかった事を意味する。

14松崎 快の存在に気づいていれば、8森 勇人に入った段階で、高確率でそこへスルーパスが出る事は、守備が得意な選手であれば、思考を巡らせて対応をする。ここで、あれば、14松崎 快についていけるようなポジショニングをとるか、オフサイドトラップを仕掛けるか。このどちらかが有力であるが、駄目元でも高確率で行われるオフサイドのアピールもなかったので、前で行われるプレーを、自分とは、関係の無い事と認識しており、準備をしていなかった事を意味する。

せめて、オフサイドのアピールで、手をあげながら追いかける事をできていれば、その状況を察して、オフサイドの駆け引きをしているか、対応し易いポジショニングをとるなどの何かしらの守備的アクションを起こしていたのだと、フォローする事も出来るが、出されて初めて動いているので、守備時の危機察知能力は、残念ながら現状では、岡山のDF陣では一番低い事を示すプレーとなってしまった。

最低限、オフサイドの駆け引きをして欲しいポジションにいながら、ただ、空いた真ん中のスペースに立っていただけ。それが、このシーンの24下口 稚葉の守備である。愛媛戦でもそうだが、守備的な見地に立てば、出される前に如何に考えてプレーするかが、DFの選手に求められるが、24下口 稚葉は、出されてから動くという域のDF選手に留まっている。このプレーに改善が見られないのであれば、J1を目指す上では、残念ながらDFラインを任せられる選手ではない。

しかしながら、41徳元 悠平の体調不良。39増谷 幸祐と2廣木 雄磨が長期離脱中。コンバートで新境地を開き、伸び盛りであった23松木 駿之介も怪我で離脱中。その危機的状況で、スタメンとして頑張り、攻撃面での著しい成長が見られ、この試合でもリーグ戦における岡山での初ゴール。他のシーンでもアシストになる可能性のある惜しいプレーを見せていたが、一番大事な守備が、これでは目を当てられない。

キャリオンpresentsFAGIANO NEWS #003
URL:https://youtu.be/IrZqg4JOpZc?t=1140


こちらで5井上 黎生人選手が、色々と考えて、守備の対応をしている事をセルフ解説しています。こういった考えを持って守備をしていれば、1失点目も足の出し方を工夫していれば、外に弾けたかもしれない。巧くカバーしている様だが、一流の選手は、細かい工夫があるから、防げているのかもしれない。

こういった面を軽視して、攻撃面のみでの成長を手放しで褒めてしまったら、DFの巧い41徳元 悠平や39増谷 幸祐。元岡山の椋原 健太といったSB選手の評価も下がってしまう事を意味する。2試合連続での複数失点は、41徳元 悠平の欠場により、24下口 稚葉が、スタメンになってからなのは、偶然ではなく。守備意識というか危機察知能力の低さが、失点に繋がったために、起きた結果と言える。

前回もここに触れたが、2試合連続で、かつ、改善が見られなかったという事で、今回は、詳細に分析した上で、指摘させて頂いた。前回のフォーカスで良さも触れた通り、攻撃面では、岡山屈指のSBまで成長しつつある選手だと思うので、守備面での成長に期待したい。現状、プレーできる選手で、計算できるSBは、24下口 稚葉と16河野 諒祐の2人のみなので、持ち味である攻撃面に悪影響に及ばない範囲で、少しずつ意識してプレーして欲しい。

5、 総評(後書き)

前半は良かった。そして、先制点が獲れた。これは、確かな成長の証であると思います。セットプレーではあるものの今季のホーム初得点。厳しい指摘をしたが、24下口 稚葉という赤嶺 真吾の番号を引き継いだ若武者の得点であるので、より嬉しかった。複合的な理由が絡んだ中で、残念ながら敗戦こそしたが、まずは、ホーム初得点を喜びたい。

降格圏に1試合の結果次第では、J3に落ちてしまう順位まで来てしまったが、それは、半数のチームが当て嵌まる事で、まだ下を向く状況ではない。28疋田 優人の活躍を含め、若い力の台頭を感じたここ2試合である。18齊藤 和樹の怪我での離脱や14上門 知樹の足の違和感という岡山にとっては、痛すぎるニュースが入ってきたが、こういった時に若い選手が、2試合連続で、結果を残した。

これもまた事実で、下を向かず前進していって欲しい。ここまで出場機会の少なかった32福元 友哉の惜しいヘッディングシュートや25野口 竜彦も精力的に攻撃に絡むなど、若手の成長を24下口 稚葉のゴールの様に結果に残らないプレーでも見ることができた試合であった。厳しいチーム状況であるが、この苦境を乗り越えて、強い岡山になってくれると信じて、これからも応援していきたい。

文章・図版=杉野 雅昭
text・plate=Masaaki Sugino

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2021ファジにちょっとフォーカス3「2021 J2第8節 岡山 1-2 水戸 レビュー」
は、こちら(別サイト:SPORTERIA様)
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