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2023ファジアーノ岡山にフォーカス54『 凍てつく涙と共に〜再起〜 』J2 第42節(A)vsツエーゲン金沢


2023 J2 第42節 ツエーゲン金沢 vs ファジアーノ岡山
2023/11/19(13:03kick off) 石川県西部緑地公園陸上競技場

1、いつか決着を〜始発〜


最後までチームを後押しするため集結した金沢のサポーター。


 前日に金沢入りをした。この時は、曇でまだ暖かかった。しかし、試合当日は、42試合分の辛さが心に染みるように、気持ちと体を冷やす豪雨と風が、石川県西武緑地公園陸上競技場に容赦なく襲いかかった。

 この状況でもチームを応援するサポーターは、今日これなかったサポーターの想いを背負い、スタジアムにやってきた。

 選手は、その気持ちに応えるように戦った。両チームが、目指してきたものを失い、本来であれば、モチベーションを高く保つことは難しい試合であったが、金沢の選手は、感謝の気持ちと来季への気持ちを繋げるために、岡山もまた契約満了になった選手や怪我に苦しんだ選手が、来季を飛躍のシーズンにするために、高いモチベーションで、迎えた試合であった。

 結果は、1-1の引き分けであったが、金沢らしいボール奪取後の得点での先制点。岡山のミスかもしれないが、金沢の4-4-2は、こういったパスミスを誘発させる事を得意としているイメージがある。

 岡山も一本のパスで得点に繋げることを常に意識している岡山らしい6輪笠 祐士のアシストから38永井 龍が、今季初ゴールを決めた。

 両チームともより高い目標を持てるところで、そういったゴールを決めて、勝利を決めたかったと思うが、厳しい最後であった。

 しかし、最後でもあったが、新たな挑戦の始まりである。人は、生きている限り、挑戦、停滞、失敗、成功などにより、喜怒哀楽は、避けられないが、その度に止まっては進んでを繰り返して、生きている。

 だからこそ、この両チームの続きの勝負は、少しでも高いところでという前向きな気持ちで、この試合から視えた景色を語りたい。

2023 J2 第42節 ツエーゲン金沢 vs ファジアーノ岡山
2023/11/19(13:03kick off) 石川県西部緑地公園陸上競技場

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2、ヤンツーさん有難う〜信頼〜


先制ゴールを喜ぶ金沢。

 正直言うと、金沢というクラブが、ここまで長くJ2で戦えるとは思っていなかった。資金力という面で、潤沢なクラブではなく、金沢歴の長い選手が多いことからも多くのサポーターや選手の愛によって、強くなったクラブだ。

 前身?の金沢サッカークラブから、2006年に今のツエーゲン金沢に名称を変えて、北信越一部リーグを前身の2年と今の名称での4年の6年でJFLに昇格。そのJFLも4年で、J3に昇格。そのJ3を1年で優勝してJ2昇格。

 その勢いままに「つえーげん!」と言われるぐらい負けなしを継続し、どのチームが土をつけるのかと言われて、首位にたった時期もあった。

 その後は中位や下位のシーズンが多かったが、持ち前の安定感で長らくJ2で戦うことができた中で、2年目は21位と苦戦し、J3入れ替え戦に勝利してなんとか残留を決めたが、シーズン終了後に実に5年間指揮をとった上野 仁之 監督が退任した。

 後任には、今季まで指揮をとった柳下 正明 監督が就任して、見事にチームを立て直した。J2でのクラブ最高成績の11位を2019シーズンに残すなど、毎シーズン着実に二桁勝利を積み重ねて、J2のクラブとして、堂々と戦ってきた。

 しかし、2023年11月4日の大分戦の引き分けを受けて、金沢のJ3降格が決定した。そして、J2の一度目の挑戦の9年間の内、実に7年という期間を指揮を取ってきたが、翌日の5日に、契約満了が発表された。

 新スタジアムが、2024年からという所でのショッキングな降格であり、ツエーゲン金沢ファミリーにとって辛い意味で、忘れられないシーズンとなってしまった。

 しかしながら、クラブは次のようなメッセージから来季のJ3の戦いに挑戦する。

これからここで、何が生まれるだろうか。
勝利の雄叫びか、敗戦の苦悩か、歓喜か、嘆きが。
希望か、失望か、笑顔か、涙か、伝説か、挫折か。
あるいは、それらすべてか。
ここに立つあなたの目の前に、胸の中に。
何が生まれるのかをぜひ確かめてほしい。
そして一緒に大きな夢を思い描いてほしい。
金沢の夢を、このスタジアムから羽ばたかせよう。

ツエーゲン金沢公式HP
(来季に向けての広告の画像の文章)
から一部引用
URL:https://www.zweigen-kanazawa.jp

 この言葉の奥に想いを想像すると、言葉にできない想いがあるはずだ。筆者がその立場にあれば、泣きながら書いたかもしれない。

 しかしながら、クラブとして、前進しないといけない。J3に降格しても1年でJ2に帰るんだ。そういった強い気持ちが必要だ。今まで通りは無理かもしれないが、平静を装うように、金沢らしいサッカーで、2023シーズンのホーム最終節で、先制点を決めて、惜しくも勝利こそ手にできなかったが、私が応援する岡山に対して、引き分けという結果ではあるが、金沢の意地がそこにあった。

 この言葉通り、前向きな気持ちというのは、すぐには難しいかもしれない。しかし、降格に対して、チームだけに責を背負わせることなく、クラブと共にサポーターが涙し、逆に鼓舞する。こういった姿勢は、先日J2昇格を決めた愛媛にも通ずるものを感じた。

雨の中、岡山サポーター込みで3,300人のサポーターが、集結した。

 勝負の世界は、厳しい世界ではあるが、こういった想いの繋がりを感じる事ができるリーグでもある。そして、新スタジアムと共に新時代への挑戦、リスタートと感じて、J3でのスタートとなるが、その一歩一歩を噛みしめて、愛する選手や監督と共に、また、強い金沢となって、J2に帰って来る。そんな可能性や希望を信じる力を金沢から感じた。


3、惜別の得点~青天~


最終節、多くのファジアーノ岡山サポーターが、金沢の地にやってきた。

 この試合で、今季最高のパフォーマンスをみせた選手がいる。38永井 龍だ。何が凄かったのか。それは、言うまでもなくダイレクトプレーの安定感だ。前線での空中戦やポストプレーで、判断良く、パスを「繋ぐ」ではなく「落とす」という表現に近いパスで、ロングパスのターゲットとしても背負いながらプレーでも持続的な攻撃ができるポストプレーで、岡山が攻める時間を確保することができた。

 今季の岡山は、チーム全般としてボールを「保持」するプレーに強いチームが多い、同じFWのエースである7チアゴ・アウベスもゴールを持ったらシュートを打つことを第一の選択肢にしており、48坂本 一彩も細かいタッチからのドリブルからのシュートやチャンスメークが巧い、18櫻川 ソロモンもフィジカルを武器に向かって行くプレーが武器であり、9ハン・イグォンをスピードに乗った仕掛けが得意であった。

 そういった中で、38永井 龍が、年間通して、ほぼ試合に絡むことができなかったダメージの大きさを契約満了が発表された後のアウェイ最終戦で、内容と結果で痛感することになるとは思わなかった。

 18櫻川 ソロモンもそのプレーに試みていたが、読まれていてパスをカットされるシーンが多かった。その点、38永井 龍は、決断が早く、的確な判断ができていたことで、成功率は極めて高かった。同点ゴールのシーンもダイレクトプレーで、裏へ抜け出して身体能力を活かして、DFより先のポイントで合わせたもので、38永井 龍らしい得点であった。

 また、その38永井 龍のアシストをした6輪笠 祐士に代わって出場した20井川 空も今季の岡山にないタイプの選手であることがプレーで示して。空中戦で跳ね返す力もあり、フィジカルコンタクトを恐れない攻守でのプレー選択は、存在感を示した。

 そういったフィジカル面の強さだけではなく、裏へのスルーパスでも浮き球の長めのパスを見事に通すシーンもあった。怪我の影響で、リーグ戦にあまり出れていない事もあり、細かい連携の部分でのずれや、プレーの安定感の部分での試合感には、やや不安定な部分こそあったが、そこは、来季も岡山でプレーできるのであれば、試合をクローズする上で、頼りになる選手に感じた。

 そして、21山田 大樹のスローインの選択肢を含めて、一本のスルーやフィードで、一気にチャンスできるのはやはり魅力的であり、メンバー外になるには、非常にもったいない選手で、出場機会を積み重ねる事で、活躍してくれる選手であるように感じた。GKという特殊なポジションでなければ、もっともっと出場していた選手である。

ピッチに入っていく4濱田選手、この前には4バイス選手が4濱田に気持ちを託すシーンがあったが、撮影は間に合わなかった。

 ラストマッチである4濱田 水輝と23ヨルディ・バイスの交代のシーンでのやりとりには、込み上げてくるものがあったが、来季は、両選手とも岡山にはいない。その寂しさははかりしれないものがあるが、この様子を生で観れたことは、遠征した一番の喜びかもしれない。それだけ、岡山サポーターであれば、両選手の思い入れは、強いはずだ。

 岡山での挑戦を終えた選手は、もう1人いる、それは、32福元 友哉である。熊本戦のゴールは、32福元 友哉のファンやサポーターだけではなく、もしかすると、対戦チームにもインパクトを残した衝撃的で劇的であった。この試合でも、そこに期待した部分はあったが、岡山でのラストマッチでの得点は、記録できなかった。

 両チームの選手や監督、サポーター、スタッフの方の色々な想いが交錯する中で行われた一戦。私も実際に元岡山の選手で、現スタッフの澤口 雅彦さんの姿を見かけたが、単なる42試合の1試合ではなく、金沢だけではなく、岡山にとっても大きな意味を持つ一戦であるように感じた。

 岡山としては、岡山のスピリッツを受け継ぐ選手や経験豊富な多くの選手が、岡山を去る事となり、新時代の幕開け、そう予感してしまう部分もある。岡山歴の長い選手は、13金山 隼樹の6年間で、2018年から岡山に在籍するが、もし、来季を契約更新となれば、7年目の挑戦となり、言うまでもなく、現在所属している岡山に所属している選手の中で、最も長く在籍した選手となる。

 そういった来季に向けての試合となったが、青天の内容とは別に、雨が冷たい、ブルーが目立つ試合でもあった。しかし、青天のように、両チームは、来季に向けて、希望を膨らませるべく、次に向けて進む。この気持ちは揺るぎないものである。

 岡山にとっては、来季こそはJ1へ。

 金沢にとっては、来季でのJ2へ。

 青天(冷たい雨のように心の奥のブルーな気持ちの隠語)では晴天(終わった後に心から喜べる笑顔で終えたい)であるように、サポーターの1人として、気持ちを新たにしたい。


4、後書き~再会の日まで~


 シーズンオフに入った事で、今季を振り返りつつ、来季に向けての投稿していく予定であるので、また来季に向けてよろしくお願いします。

 また、今節に関しては、写真での振り返りも交えたいと思っていますので、そちらの方を合わせてよろしくお願いします。

 私自身、今季もレビューの内容が右往左往してしまった部分こそありましたが、自分らしく自分の言葉でをテーマに熱く冷静にサッカーについて、語っていくスタイルはある程度、体現できたと思っています。しかしながら、まだまだ未熟であることも強く感じました。

 皆さんの反応1つ1つが私のレビューの支えになっていました。今シーズンも有難うございました。

 来季もまた、皆さんと共に一喜一憂できることを心より楽しみにしています。

 そして、ツエーゲン金沢の皆さんと、またお会いできる日を楽しみにしています。2023シーズンは終わりましたが、来季もまたあります。共に、高みを目指すライバルとして、カテゴリーこそ違いますが、Jリーグがある日常を噛みしめて、共に楽しめたらと思っています。今季も有難うございました。また、会いましょう!


筆者紹介
 冷静さと熱さを両立した上で、自分の感じた事を自分の言葉で表現することを大事にしている。ハイライトやテキスト速報をレビューを書くために確認するが、極力SNSは、情報を遮断して、レビューを執筆している。流石に通知なので、軽く目にすることこそあるが、綿密に分析するというよりは、サッカーというスポーツの魅力を発信することを一番大事にしており、ファジアーノ岡山だけではなく、対戦クラブにも最大限のリスペクトの気持ちで、サポーターとの交流や魅力を語り合うことが好きで、レビューを書き始めて、中断期間や書けなかった試合もあるが、10年以上、ファジアーノ岡山を中心にサッカーのある生活をエンジョイしつつ、応援してきた。


5、アディショナルタイム~~


・岡山のMIPは?(アンケート結果)

・金沢フーズ


パイカ丼

 前来た時は、麻婆丼みたいに熱々の汁物であったので、辛さがより強調されるものになっていて、辛いの苦手な私には、少し苦手な味になっていた。それでも肉は美味しくて、煮卵も美味しかった。いつか昔のパイカ丼に復活して欲しい気持ちもあるけど、もしかすると、前回は、期間限定だったかもしれない。

・試合後公式コメント紹介

4濱田 水輝 選手(岡山)
「(チームには)ファジアーノらしく、ひたむきに、謙虚に、泥臭く、まっすぐにやり続けて欲しい。
みんな頑張っているし、自分も試合に出られなくてもやれることをやろうとしている中で、勝ちきれないのは、仲間のために戦う集団、その集団感がもう少し出ればと感じた。誰が悪いとかではない。
シーズンの最後の方は思い切りの良さもなくなってきてしまった。今日は少し吹っ切れた感じがあったが、キャンプや開幕してすぐの磐田戦の時のような躍動感みたいなものを見せることができなかった。その原因が何なのか、それが分かれば物事はうまくいくんだが、それぞれが頑張っているが、それがつながって、誰かがミスしても誰かがすぐカバーする、それの繰り返しで強くなっていく、そういうチーム、そういう集団になっていけたらと思う。」

ファジアーノ岡山公式HP
J2第42節 ツエーゲン金沢戦 監督・選手コメント
より一部引用
URL:https://www.fagiano-okayama.com/news/202311121630/

記者の補足
--セレモニーで感極まっていた。
柳下 正明 監督(金沢)
一番は申し訳ないというのはずっと、1カ月以上はその思いはある。終わってフラッシュインタビューをするときに米沢(寛)社長の顔を見たら、どうしても涙が止まらなくて。そこからですね。あと、自分が考えていたことが起こらなかったので、正直ビックリしたのと、申し訳ない気持ちが倍増した。あそこでブーイングをしてくれたほうが、自分としてはみんなのそういう気持ちを受け止めて謝ることができた。そういうことがなかったので、ちょっと耐えられなかった。
記者の補足
--今年就任した監督がこういう結果になったというのではなくて、長く率いてきた監督へのいろいろな思い、気持ちがあったのだと思う。
柳下 正明 監督(金沢)
長くやっていたら形を残していかないといけない。それはチームのスタイルであったり、結果ですよね。成績を残していって、初めて感謝されるんじゃないかなと思う。長くやって、最後の結果が降格だから、「お前、なにやっているんだよ」というのが普通だと思う。でもそういうことがなかったので。そして最後も泣けるような言葉をかけてくれるし。自分が考えていることが起こっていないので耐えられない。

J.LEAGUE jp(Jリーグ公式HP)
J2 第39節 山口 vs 岡山(23/11/22)試合後コメント(監督)
より一部引用。
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