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愚詩

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#駄文

とても脳だよ
それ、とても脳だよ
って
うるさいから
脳蓋を買った

脳蓋はどこにでも売っていた
インターネットでも売っていた
値段が高すぎても安すぎても不安になる私は
中くらいのを買った

ギュギュッと
ゴムとゴムが擦れあったような音と共に

脳蓋から汁が出る
脳蓋から汁が出る
土曜日の放課後の、水たまりのような
脳蓋から汁が出る

舐めてみると、鉄の味がした
君と一緒だったら、どんな味がしただ

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八十夢

いくつもの眠れぬ夜を越えて迎えた夢。
切り裂くような静寂で、目覚めた夢。

暗すぎる夜に僕は、
いつの間にか、真っ赤な嘘で対抗していた。
結果は見え見えだったが、
「12月の逃避行よりはマシだろう」なんて甘い考えのキツネに
3,000円払ったところで目が覚めた。

徒労。
徒労に次ぐ徒労。

見返りなんて求めていなかった。
少なくとも、布団に入った時はそのつもりだった。

気がつくとすごい汗で、

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息ができたら

息がしたい
ただ息がしたい、息がしたい

息ができたら、何がしたい?

えっ?
えーっと、、。

息ができたら、やっぱり息をするだろうね

スー、スー
結局君は、どんなときだって、息がしたいんだね

うん、まぁ、そうだろうね
そういうあなたは何がしたいの?

僕は息ができるからね
そうだな、カツ丼食べたいね

あぁ、カツ丼かぁ
しばらく食べてないなぁ
僕も、息ができたら、カツ丼を食べようか

君も

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膿、
膿を、
膿を出さなくてはいけない。

溜まる。
どんどん溜まる。
膿はどんどん溜まる。
いつの間にか、どんどん溜まっている。

溜まって、溜まって。
溜まって、溜まって。

瞬間で、
涙に変わる。

あきらめないで、
その涙に自信を持って。

それが私の、今の願いです。

て て

いろんなものを、てばなして
てばなして、てばなして

どんどん、どんどん
軽くなり

こんがらがった糸が
虹のような美しい曲線を描いて
フワリ
と、浮き上がったところで

手をみる

手元に残ったのは
手だった

  いや、ダメじゃん
  全然ダメじゃん
  だれがそんなの望んでるんだ
  つまんねぇよ、くだらねぇ

今日も誰も知らないところへ
隕石が落っこちる

filmlet

2階から声がした
たくさんの笑い声が聞こえる
僕もその中に入りたくて
入りたくて 入りたくて

恋をしていた
長い間恋をしていたので
恋をしたことも忘れていた

恋をしていたのかもしれない

走馬灯のように記憶は
果てしない
果てしない
星と星とを結んだ
デタラメな星座ができあがったあたりで
また声がした

今度は僕を呼んでいるような気がしたので
牛乳を飲み干し
よし
と重い腰を上げ
さよならし

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境界線

全てを投げ打ってできた境界線は
泣き止んですぐの、
涙の跡に似ていた

可能性ばかり信じていた僕の
みぞおちあたりがはみ出して
トクン、トクン、と
立ち入り禁止を知らせていた。

あした天気になぁれ

蹴り出した足は
まだ空の中にあって
少しつりそうになって
バランスを崩した瞬間
その瞬間に
誰もいないことに気づいた

少しだけ笑ったところに
新しい境界線がひかれた

気配

ザクッ、ヒュッ
ザクッ、ザクッ、ヒュッ
ザクッザクッ、ヒュッ
ザクッ、ザクッ、ザクッ、ヒュッ

これくらいかな?
まだだろう。

ザクッ、ザクッ、ヒュッ
ザクッ、ヒュッ
ザクッ、ザクッ、ヒュッ
ザクッザクッ、ザクッ、ヒュッヒュッ

もういいかな?
うん、もういいだろう。

ザザー。
ザッサー。
ガサガサー。

ありゃあ、頭が出ているよ
え、もう一回出すの?
うーん、折り曲げる?
曲がるかなぁ

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糸宿

口がすべって
世界が変わった
後ろの世界が
夕陽に変わった

すべった言葉を
舌舐めずり
ズリズリズリ

離れ離れの意味たちは
宇宙を超えて

時は西暦、何年か
世紀の質問にも
「ビショビショですね」
「えぇ、ビショビショです」

6時には
風呂に入って、寝ているだろうか
いつもの
冷たい布団で

225度回転して、目が覚めた。
昔よりも、目覚めがよくなった。

いつも通り、歯を磨いて、
いつも通り、トーストを焼く。



でも今日は、いつもの「いつも」じゃなかった。
いきなり急に、全部った。(造語として)

目指すのは、大空のその先。
飛び立つというよりは、
羽ばたくというイメージ。

6月9日
45回転の音楽を聴きながら。

キツツキ

ずっとここに居るのに
キツツキは
遠くへ行ってしまった

いつも僕のそばで
一心不乱に、リズミカルに
木をつついていた。

 飼ったことはないし
 見たこともない

しかしキツツキは
確実に
遠くへ行ってしまった
木屑さえ残さずに。

理由

そこに居ますか?

入ります。
ここ、座りますね。
少し暑いですね。
窓開けますね。
いい風ですね。
風、好きです。(ハート)

 まっさらな部屋に、
 いくつかの目。
何かやりたいけれど、
何もできない人への子守唄を。

あ、
手紙だけ書いてもいいですか?

良い知らせを持ってきました。
きっと喜んでくれると思います。

この詩はこれで終わりです。

夏の雲

左足の親指の側面にイボがある。

痛みは全く無いが、妙に気になる。
気になるので、月に一度程度、自ら剃刀で削っている。
削りすぎると、少し痛い。
皮膚が薄く柔らかくなり、少し赤みがかったところで削るのを止める。
数日後、気がつくとまた固くなっている。

今日もまた、イボを削っている。
深夜のコンビニ店員のように慣れた手つきで、
ちょうどいいところで削るのを終える。

僕は、削り取ったイボのカスと、

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