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変かなわたし

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#宮沢賢治

お日さん

遠くから祭囃子の太鼓の音が聞こえてきます。
目の前を子供らが歓声上げて走って横切ります。

「今年は近年に無く 温っかで お陰で豊作で
皆 誰もが安堵の様子で 笑顔で
祭りを楽しむことが出来て 良かったべ」

「これでさみぃいふゆも無事に越せるべ」

「お日様がぽかぽかと温ったけえなあ」

「わたくしは満足だ。こんな優しい両親に恵まれ、
心を分かち合うことの出来た姉妹も居た。

思いの果てを言葉に

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心象の

「心象のはひいろはがねから
 あけびのつるはくもにからまり
 のばらのやぶや腐植の湿地
 いちめんの
 いちめんの 諂曲模様
 
「正午の管楽よりもしげく
琥珀のかけらがそそぐとき」(宮沢賢治・春と修羅)   
「正午の管楽よりも大きな
 黄色のかけらが降るとき」(花もて語れ)

 いかりのにがさ また青さ
 
 「四月の気層のひかりの底を     
 唾し はぎしり ゆききする」(宮沢賢治・春と

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「個」「独り」

賢治さんの言う「慢」は、自分が神秘の世界、異界を見透している、「心象」の超越的な力がいささか身についたものであるかのように
思い上がった・・・。と言うのです。   *宮沢賢治の謎をめぐって 栗谷川虹

自分は「特別」だと言う感覚。自分は選ばれたのだと言う意識。妙な使命感や確信など、
安易に持たないほうが良いのです。
私のようにミーハーで、煽てられ易く乗せられ易い、単純で御めでたい人は危険です。

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賢治さんの「慢」、私の「慢」

宮沢賢治さんから柳原昌悦氏宛ての書簡の中に、
「私の買う異父惨めな失敗はただもう今日の時代一般の巨きな病、
「慢」といふものの一支流の過って身を加へたことに原因します。
僅かばかりの才能とか、器量とか、身分とか財産とかいふものが
何かじぶんのからだについたものででもあるかと思ひ、
じぶんの仕事を卑しみ、同輩を嘲り、いまにどこからかじぶんを
所謂社会の高みへ引き上げに来るものがあるやうに思ひ、
空想

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