「エンジニア9割」のスタートアップのカルチャーが素敵すぎて感動した
「エンジニアの採用で困ってるねんけど、手伝ってくれん?」
そんな一言がきっかけで、いま友人が起業したBoostDraftというスタートアップをお手伝いしています。
この会社はCEOである友人をはじめ社員の9割がエンジニア。超ド文系の私からすると「すごい異世界にきてしまった……」という感じです。
少しずつお手伝いをさせてもらう中で、この会社が「カルチャー」としてまとめている文章がめちゃくちゃいいなと思ったので、今日は私が感動したポイントについて書いてみたいと思います。
4つのカルチャー
この会社では「4つのカルチャー」を言語化しています。
4つともすごくいいことを言っているのですが、中でも1番目の「ダイレクトコミュニケーション」と2番目の「ポジティブ前提」は、働く上での大前提としてすごく大切にしているそうです。
なぜなら、この会社では異言語・異文化の人たちが一緒に働いているから。
チームには日本語が話せない人もいますし、子育てをしながら働いている人もいます。さらに世界各地からリモートで働いているので各自の状況がわかりづらく、時差の問題もあります。
ようするに、バックグラウンドがバラバラすぎる。そういうチームがうまく協業するために、上記のようなことをていねいに言語化しているわけです。
「察して」禁止
まず「ダイレクトコミュニケーション」について。
社内では「こういうのはダメだよ」という例を明確に示しています。
x「ここまで言わなくても通じるだろう」と思う。
x「あえて言いませんでした」と言う。
x「忙しそうだから……」と遠慮して確認しない。
ようするに「察し合い」はNG。伝える人は、誤解がないようにはっきり伝える。言われた人は、わかるまでしつこく確認する。それがお互いの責任ということです。
傘を言わない日本人
ロジカルシンキングの有名なフレームワークに「空・雨・傘」というものがあります。
「空を見たら雨雲が出ていた(事実認識)」→「雨が降りそうだ(解釈)」→「傘を持って行こう(結論・解決策)」のように整理するとわかりやすくなるよ、というフレームワークですね。
海外で働いた経験がある人からすると日本人は「傘」を言わない傾向があるそうなのです。
上司が「雨降りそうだな〜」と言ったら、部下は傘を持っていくもの。そこで傘を持ってこない人は「察しが悪い」「空気が読めない」と評価が下がったりする。しかもそのことすらダイレクトに言われなかったりする……。
かなり単純化した例えではありますが、そういうことって頻繁に起きている気がしませんか?(私は過去を振り返ってめっちゃ反省しました。。)
もちろん相手の意図を察して先回りできる人や、1を言って10理解できる人は優秀です。できればみんなそういう人と働きたいでしょう。
だけど「言わなくてもわかってね」を前提にしていると、同じようなバックグラウンドの人たちとしか働けなくなると思うのです。
「傘」まで言うのは面倒なこともあるけれど、ビジネスの場面では言わないデメリットの方がずっと大きい。特に異文化の人と働くときはそうだと思います。
勝手にネガティブに解釈しない
ダイレクトコミュニケーションを意識していると、どうしても相手の発言がきつく聞こえる場面が出てきます。
そこで大切になるのが、2番目の「ポジティブ前提」。これは「相手はいい意味で言っているはずだ」「悪意はないはずだ」という前提に立つということです。
ここでもダメな例が出てきます。
x 自信の能力を否定されたように感じる
x「ひどい言い方をされた」と感じる
x「早くしろよと思っているかもしれない」と感じる
「言われてもいないのに勝手にネガティブな意図を察してしまう」という感じでしょうか。これも日本人あるあるのような気がします。。
「この人はわかってくれない」禁止
「ポジティブ前提」は、意見がぶつかったときにもすごく役に立つそうです。
上司に意見を一蹴されたり、クライアントから理解しがたい要求をされたり……。
そういうときに「ああ、この人はどうやってもわかってくれないな」とあきらめてしまうことってありませんか?(私はすごいあります、、ここでも猛反省)
だけどそこであきらめたら、わかり合う道は一生閉ざされてしまうんですよね。
そんなときは「ポジティブ前提」に立って、「相手は自分なりに最善の意見を言っているはずだ」「自分には見えていない判断基準があるのかもしれない」と考えてみる。
こんなふうにちょっと俯瞰してみるだけで、けっこう違うはず。反論するときの言い方も変わってくると思うんです。
もちろんそれでもダメなときもありますが、一歩立ち止まって「ポジティブ前提に立つ」ってすごく大切なことだと思いました。
ダイレクトと思いやりは両立する
「意見をダイレクトに伝えてばかりいると、ギスギスするんじゃないの?」と思った人もいるかもしれません。
ここで大切なのは、ダイレクトコミュニケーションと思いやりは両立するということ。
いくら「ダイレクトコミュニケーション奨励」「みんなポジティブ前提に立っている」からと言って、なんでもかんでも単刀直入に言っていいわけじゃありません。
たとえば意見が対立しているときは、どこまで合意していてどこからすり合わせが必要なのかはっきり伝える。
あるいは単純に「忙しいのにありがとうございます」とか「ここまでやってくれたことに感謝しています」など、ちょっとした枕詞をつけてみる。
海外で働いた経験がある人からすると、日本人は「ぼかして言う=敬意」と考える傾向があるそうです。たしかに日本語の敬語なんかはそうなっていますよね。
だけど少なくともビジネスの場面では「ダイレクトに伝える」と「思いやり」は両立できるはずなんです。
相手がネガティブに受け止めないようにきちんと配慮する。それも含めて「ポジティブ前提」だし、そうしてはじめてダイレクトコミュニケーションが成り立つのです。
異文化はいつも身近にある
この会社では課題図書として全員がこちらの本を読んでいます。
この本がもうめちゃくちゃよくて。国や地域を横断するチームがうまく協業するための方法について、さまざまな「文化の違い」の観点から解説しています。
この本がすごいのは、海外経験がほとんどない超ドメスティックな私にもすごく学びがあることです。
過去の自分を振り返ると、わりとずっとバックグラウンドが似ている人のコミュニティにいたような気がしていて。
そのコミュニティの中は居心地がいい分、業界だったり会社の規模だったり、普段みているメディアがちょっと違う人と接したときに「わかってもらえないな……」とあきらめてしまうことが増えていたように思います。
そういうときに「個人の能力」ではなく「文化の違い」の問題と考えてみる。そうすると一気に視界が開けるような気がしました。
同じ日本に住んでいても、業界やコミュニティがちょっと違うだけで「文化の違い」が存在する。この本で語られていることの縮図が身の回りのいろんな場面で起きているように思うのです。
先ほどのスタートアップの友人は、社内で異文化理解について話すとき 「We don’t want you to change your personalities」、つまりあなた自身のパーソナリティを変える必要はないよと説明します。
文化が違うからといって、パーソナリティを変えて合わせにいく必要はない。文化の違いを客観的に認識しさえすれば、コミュニケーションは自然に変わってくるということなのでしょう。
今回お伝えしたカルチャーの話、そして異文化理解の話は、わりとどの会社でも通じるエッセンスが詰まっているんじゃないかなと思ったのでした。コミュニケーションに悩んでいる人の参考になればうれしいです。
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