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【共通テストの物理攻略法】1.問題を解く→現象を視る思考回路へ

こんにちは、K.T.と申します。今回は前回に引き続き、物理の共通テスト対策に関する特集です。
本記事は、「二次試験・記述問題対策」をやってきた受験生の皆さんを中心に、「共通テスト独特の問題」にもきちんと対応できるようになることを目的としています。
高校ではある意味当たり前?すぎて教えていない見方も掲載していますので、ぜひご覧ください!
※本記事はH30年度試行調査の問題から抜粋してお伝えするので、是非大学入試センターのページよりダウンロードして見てください。
(難しいが良問なので、事前に一度は解いてから見ることをお勧めします)

H30試行調査 第一問 問2から見る共通テスト 

まさに「共通テスト」を体現している問題です。現象を定量的に落とし込む。まさに物理の見方・考え方が問われています。

<解答の導き方>

 さて。まずここで、この問題を解くためにどのような公式を使えば良いのか、と考えませんでしたか?そうではないんです。
この問題は、公式で計算すれば答えが出ると言う問題ではないのです。
まずは物資の軌道を選ぶ問題(解答欄2)。
解答の選択肢を見てください。違いはなんでしょう。
左方向・下方向の初速度、加速度の有無
が違います。そこから、
左方向は慣性の法則より等速直線運動
下方向は重力の影響で擬似的な等加速度運動

(落下に伴い地上との距離が近くなり万有引力は大きくなるため、厳密には等加速度ではない)
であるので、解答欄2は物資が二次関数的で縦に並ぶ1が正解となります。
では、解答欄3はどうでしょうか。これも、いつもと少し異なる形式です。
自信を持って3以外を選んで、間違ってしまった方もいるかもしれません。
しかし、先ほどと形式は変わりません。

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おそらくですが、この図を見ればだいたいわかると思います。もちろん正解は3番の、鉛直下向き噴射ですね。(噴射方向なので、向きは力と逆。)
(細かいですがgは地球上ではなく、この惑星上の重力加速度です)

<問いから見る共通テスト対策>

さてここまで解説を見て、理解が全くできなかったことはないと思います。
(できなかった方はコメントください。個別対応できたらします)
しかし、解けるかは別問題です。そして、共通テストは特に理解と自力解答の乖離が大きいのです。なぜなら、共通テストの訓練をしていないから。
多くの受験生は普段、問題集やテストで「左方向の初速度がVx m/s、下方向の加速度がAy m/s^2の時(しばしば重力加速度で与えられる)、どのような軌道を描くか。」という問題は解いていますが、逆にグラフや現象から初速度や加速度を求める練習はしていないので困ってしまいます。
つまり、「値を代入する」という発想から、「運動が決まるために必要な条件」は何かと言う発想へ、一歩前進する必要があるのです。
これは慣れれば簡単で、
力学なら
t=0 の時の変位(x)、速度(v=Δx/Δt)、加速度(a=Δv/Δt→力の図示から)
電磁気学なら
t=0の時の電気量(q)、電流(I=Δq/Δt)、電流変化(ΔI/Δt)
と、そのあとの運動・振動(直線、円、単振動、抵抗の有無)
にさえ気をつければ良いわけです。
普段の問題も改めて見てみると、大抵の問題はこのうちの幾つかの値が決まっていて、そこから残りの値を求める形式になっていることがわかります。
問題と解答を1対1対応で覚えることも入試ではある程度重要ではありますが、例えば力学では常に力の図示→運動方程式→等加速度運動 or 保存則というような大まかな流れが常に存在することを意識するだけでも、こういったタイプの問題の正答率はグッと上がること間違いなしです!

以上が今回の内容となります。まとめると、

1.問題を解く際は、常に運動の条件(力学なら最初の変位、速度、加速度)を意識すること!
2.問題を一対一対応で解くのではなく、常に同じ分野の背景に存在する流れ(力学なら力の図示→運動方程式→等加速度運動 or 保存則)を意識!

の2点です。
簡単なことですが、それが専門家(≒作問者)の視点と多くの受験生の視点の大きな違いであり、またこの事実はほとんどの高校では教わりません。
しかしこのちょっとした違いが、最終的な点数の大きな差異につながることを意識して、今後は問題演習をしてみてくださいね!

次回は、【共通テストの物理攻略法】2.厳密に解く→大まかに解く思考回路へを投稿予定です。(物理以外の記事を挟むかもしれませんが…)
平日なので少々時間が空くと思いますが、土日に投稿できたらと思いますので、今回の記事を復習しながら気軽にお待ちください!

(今回のトップ画:小樽運河です。小樽は街並みもオシャレですが、ガラス細工なども非常に綺麗で、いくらでも時間が潰せます。お昼に海鮮を食べれば、もう優勝です。)


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