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ネガティブ思考になれてしまうと、それが心地よくなるんです

宇宙一外食産業が好きな須田です。
 
先日、少し残念な経験をしました。
 
今年の春から進めていたプロジェクトがありました。
 
沢山のテーマがあり、コロナの影響もあり非常に苦労している状態でした。
 
扱っている素材は超一流のものだったんですが、それを活かしきる厨房スタッフがいなく、商品クオリティを上げることが出来ないことで集客力がないことが苦労の原因でした。
 
いくつかの要因が複雑に絡み合って、優秀なスタッフを獲得できずにいました。
 
その結果、売上を獲得するために集客力を上げる必要がありましたが、商品力があまりにも脆弱で、お客様に喜んで頂けるような状況ではありませんでした。
 
やっと秋の始まりのころに新しい厨房スタッフを雇用する事ができ、新商品を開発し新しい船出を切りました。
 
何度も試食を重ねて、商品を磨き込み、商品価値を高めるためにホールでの商品オペレーションも新たにし、商品の付加価値を高めていきました。
 
その結果、今までとは比較のしようがないほどの、素晴らしい価値の高い商品が完成しました。
 
原価も計算し、しっかりと価値がありながらもコストパフォーマンスの高い売価を設定しました。
 
メニューブックも新たに作成し、商品写真も撮影し、万端の準備でリニューアルオープンを向かえることとなっていました。
 
 
リニューアルオープンの夜、ワクワクしてお店を訪問し新商品をオーダーして、楽しい時間を過ごすことが出来ました。
 
と、ここまでは最高の経験と感じていました。
 
これから徐々に繁盛店へと階段を一歩ずつ昇っていくなぁと、感じていました。
 
しかし、いざ会計となり金額を見ると、思っていたよりも随分と安く感じました。
 
想定客単価は8,000円ですが、実際には6,000でした。
これでは、リニューアル前の客単価のままです。
 
もしかして気を使っていただいて、何かをサービスしていただいたのかなと一瞬思い、店長に確認したところ、驚愕の事実が判明しました。
 
 

なんと、あれほど情熱を傾けて開発した新商品の価格を、経営幹部の一存で約40%も下げた売価設定となっていました。


 
これでは、収支計画も全く狂ってしまいます。
 
売っても売っても、利益が残りません。
儲けられるものも、全く利益確保が出来ません。
 
それ以上に大問題なのが、スタッフのモチベーションがダダ下がりとなってしまっています。
 
案の定、リニューアルオープンの数日後に新たに参入してくれた厨房スタッフが、11月いっぱいで退職することとなってしまいました。
 
折角ここまで価値の高い商品を開発する為に、新たな厨房スタッフともいい関係を構築し、商品開発を行ってきました。
 
売価を40%も下げられてしまったことに対する、彼の落胆が痛いほど感じられます。
 
これからという段階で、なぜ自ら価値を下げてしまう売価設定にしてしまったのか、理解に苦しみます。
 
理解には苦しみますが、でも売価設定を下げてしまった原因は、簡単に想像は出来ます。
 
その原因は、この経営幹部の恐怖心と自己価値の低さです。
 

本来は、4,800円で販売する予定の商品でした。


 
同じカテゴリーには5,800円の商品もあり、この2品が集客商品となり利益獲得商品となる目論見でした。
 
5,800円の商品はこれまでの販売実績があるので、すんなりと売価アップの件は納得が出来ましたが、しかし、新商品の売価設定に大きな不安があったままのようです。
 
大丈夫とみんなを偽り、自分自身の感情も偽り、最後の最後に裏切りました。
 

何度も売価設定に関して確認を取り合意の基、決めたことですが、経営幹部の一存で2,980円に下げられてしまいました。


 

 この売価設定だと、原価率はなんと56%です。



 
この原価率ですと実質赤字です、真っ赤かの大赤字です。
 
まだ月商が伸びていませんから、実質的に人件費も、光熱費も、固定費も計上できない売価設定です。
 
利益なんてもってのほかです。
 
店長の落胆もそれは酷いもので、「反対しなかったの? 先日までは4,800円で行くってことになっていたのに、なんでこうなったの?」と、聞いてももう時すでに遅く、彼のモチベーションは地の底に落ち込んでいました。
 
「だから何度もこういう経験をしているので、モチベーションがなくなってしまったんですよ」と、店長は苦笑いを浮かべていました。
 
私自身はというと、これもこの会社の、この経営幹部の必要な経験として捉えているので、残念には感じますがそこまでガッカリはしていません。
 
こうやって成長をして行くんだなと見ていますが、でも残念な感情はあります。
 
さて、ここから今日の本題です。
 
大事なことは、この経験から彼らは何を学ぶかです。
 
全ての経験は、成長のために存在しています。
 
今回は売価を不当に下げられた、という経験です。
 
でも、これは高い売価設定が当然と感じている視点からの判断です。
 
逆にこの売価設定では、売れるわけがない、お客さまに嫌われてしまう、そもそも売れる価格まで下げないと、お客さまは試してみよう感じないという視点から考えると、2,980円も間違ってはいないということになります。
 
 
4,800円で設定したことの結果も、2,980円にしたことの結果も、何れにせよこの会社とこの担当経営幹部が引き寄せた結果です。
 

そこから何を学び取るのかが、一番大事なことです。


 
一向に学び取ることが出来ずに、この結果を真摯に受け止めることができなく、責任を自分以外の外部要因に見ているうちは、同等の現象が繰り返されます。
 
向き合って克服しなければならない経験として、繰り返し繰り返しやってきてくれます。
 
学びなさいよ~と、優しく困難がやってきてくれます。
 
 
この構図を変えるためにやらなければならない事は、一つだけです。
 
考え方の癖を治すこと。
 
これは、間違った考え方の癖です。
ただそれだけです。
 
 
先ほどお伝えしたように、ある視点から考えると4,800円の売価を下げたことはとんでもないことですが、別の視点から考えると4,800円の売価設定などありえないことなんです。
 
そんな売価にして、お客さまに嫌われようものなら、大変な取り返しのつかないことと感じてしまい、2,980円にすることこそが正義と感じています。
 
この状況を好ましい状況に進化させるためには、自分自身の恐怖心と自信に対する感情を感じきる必要があります。
 
こればっかりは、ご自分で向き合う以外方法がありません。
 
勿論サポートは出来ますが、心底感情と思考を変化させるためには、孤独な作業をする必要があります。
 
いつもの慣れた心地よいネガティブな創造から、不慣れな心地の悪いポジティブな創造へシフトする必要があります。
 
ネガティブな創造を心地よく感じるなんておかしいと思われるかもしれませんが、慣れ親しんだ考え方はとてもとても心地がいいんです。
 
ネガティブに考えることで、危険を回避できている、周りのみんなは脳天気で楽天的に考えているが、自分だけが危機管理能力にたけているから、最悪の状況を回避出来ていると感じています。
 
 
実際には、大赤字の業態が少し赤字額を軽減できた程度の変化ですが、でもこの段階で売価を下げなければもっと深刻な状況になっていたと考えています。
 
このストーリーがこの経営幹部の正義の物語ですから、非常に心地いいんです。
 
自分自身が作りだした心地よい負の感情を、心地悪いプラスの感情と思考に変換しない限り、この現象は継続します。
 
 

この状況を続けていく先に待っている現実は、強制終了です。


 
 
そうです、経営の継続が出来なくなることです。
 
そこにたどり着く前に気づいて、自らマイナスの感情と向き合えるか、それが大きなテーマです。
 
私はこれまで通りにサポートも行いますが、おそらく抵抗してくると思います。
 
過去の事例からいうと、ほぼそうなります。
 
でも、明るい未来を信じて、変わらずサポートするだけですね、私は。
 
 
今日の記事で皆さんにお伝えしたいことは、ネガティブな感情のポジティブな活用方法を学ぶ大切さです。
 
細かいことは、次回お伝えします。

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