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「Foster」by Clair Keegan / レビュー


Foster by Clair Keegan

Foster

by Clair Keegan

【作品情報】

ジャンル:フィクション、短編小説
出版:初版2010年。改編版2022年(Faber & Faber)
ISBN:9780571379149
受賞:Davy Byrnes Award

キーワード:アイルランド、育児、子どもへの愛情

【あらすじ】

アイルランドの田舎町。子だくさんの貧しい夫婦のもとに育った女の子が、母方の親戚にあたる農家に預けられることになる。突然、なじみのない親戚夫婦(最後に会ったのは赤ちゃんの頃)との暮らしが始まったのだが、彼女は今まで親からは与えてもらったことのない優しさに触れ、初めて愛されて育つということを知る。

【感想】

作者はアイルランドの作家さんでOrwell「Small Things Like These」というオーウェル賞の受賞作品でも知られている方です。「Small Things Like These」を読んでみたいなと思いましたが、こっちの「Foster」のほうがあらすじ的に面白そうだったので、とりあえずこっちを読んでみようと手に取りました(GoodReadsでも現時点で3万5000レーティング数で★4.3とかなり高かったのもあり)。ほんの88ページの短編小説ですがすごく心が温まる作品でした。あまり文章で情報を与えるのではなく、何というか「状況で理解してね」(?)みたいなあまり多くを書かない書き方なので、俯瞰しているのではなくて自分で体験しながら物語を進めているような感覚で面白かったです。おねしょをしてしまっても責めるどころか湿気のせいだといってマットレスを洗ってくれたり、新しい服を買ってもらったり、手を引いて歩いてもらったり、ひざの上に乗せてもらったり…、そんな実の親からは与えてもらったことのない小さな優しさを受けて、彼女が感じるものというのがすごく切なかったです。恐らく私はまたまた親目線で読んでしまったので、また1つ、子を愛すること愛情を与えることについて勉強になりました。

ちなみに英語はちょっと難しめかもしれません。アイルランド特有なのか?慣れない表現がたくさんありました。1ページ目でまずつまずいたのは、a game of fourty-five(通称 Forty-Fives)というアイルランドが起源らしいトランプゲーム。知らなかったので「ん?45…って?」となりました。そして、お父さんがa game of fourty-fiveで負けてred Shorthornを失ったと…。red Shorthornも「?」とつまずきましたが(答えは牛の一種でした)、ちょいちょい調べながらでも一旦物語に入ってしまえば最後まで読めました。田舎の貧しい家のお父さんってなんで賭け事するんだろう。しかも大体負けてる。笑


ちなみにこっちも読んでみようかと気になっています↓
こちらはKindle版がある(「Foster」はない…)。
しかし、積読が増えすぎなのでまずは本棚にあるものから…です。


【訳書情報】

日本語版なし(2023年現在)

#洋書
#短編小説

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