映画『夜が明けたら、いちばんに君に会いに行く』
めちゃくちゃ泣きました。とても丁寧で、色鮮やかな愛しい世界でした。
お涙頂戴な展開にもっていかなかったのもよかった。
わたしは深川青磁役の白岩瑠姫くんが所属するJO1のファンで、それでこの作品を知りました。
原作が携帯小説ということで、中学生の時読み漁っていたな~、と懐かしさもありつつ、「高校生の恋愛ものか」という鷹をくくったような気持ちが正直あってのですが、覆されて二回目を見に行ってしまったし、なんならもう一回見たい!
なんだかすごく癒される映画だったんですよ。
仕事で疲れた日に、あぁ夜きみ見たいな、って思うんです。
ここからはネタバレありますので、ご注意を。
冒頭
まず儚い色味の画面から始まって、桜とともにひらひらと舞う茜。
青磁は「おれ、、、お前のこと、だいっきらい」と衝撃の一言を放ちます。
ここは予告でも使用されていたので、この言葉があるのは知ってたんですが、こっから始まるんだ、とびっくりしました。
二回目を見たときは、茜が昔と違う在り方をしているうえに自分のことを覚えていないショックや喪失感、失望から言っちゃったのか、と理解。
しかし極端だし正直すぎる~。
大嫌いといったわりに、茜に構いまくるし、茜の具合が悪そうだったら「茜?具合悪い?吐きそう????」って。
めっちゃ心配するやん~~~~~かわいい~~~~~。
茜の叫び
茜が自傷する痛ましいシーン。
見ているのが辛かったですね。青磁はその姿を見たとき、もっともっと心が痛かっただろうな。
わたしが最初に泣いたのがこの教室でのシーンでした。
手を傷つけるのは茜の悲鳴だったと思うんです。誰にも知られず耐えたい、でも誰かに助けてほしい、矛盾があって、それを青磁に見られて咎められる羞恥。
これがすごく表れていて、久間田さんすごい、、、と感嘆した。
ただただ深川青磁なだけ
屋上で茜が「ちゃんと愛情をもって世界をみているから、青磁くんの絵はあんなにきれいなんだね」と言いますが、その時の青磁の嬉しそうなにやっとした笑み。
正直すぎてとっつきにくさがあったけれど、嬉しいこと好きなことにも正直で真っすぐだから、意外と表情豊かな人物なのが青磁の人を引き付ける魅力に繋がっているのかもしれない。
青磁はクラスの人気者って感じだったから、とっつきにくさを感じているのは茜視点で映画を見ていたからかもしれないけど。
文化祭の準備で青磁が茜を連れて放送室に押し入ったシーンで悪さをする顔もよかったし、茜の妹に「お姉ちゃんの彼氏かっこいい、はなまる!」と勘違いされたのが嬉しくてまんざらではない顔をしていたり。
大人っぽく見えるけど、それはこちらが勝手にかけているフィルターにすぎなくて、等身大の男の子な部分ももちろんあるし、なにより彼はただただ深川青磁なだけなんだ、と思った。
時が止まった場所
茜が仲良しのさやかを突き飛ばしてしまったシーン。
青磁が茜を教室から連れ出すの、きゅんきゅんしました。
茜の「このまま時間が止まって欲しい、明日が来ないでほしい」に対して青磁は言うんですね。
「あるけど。永遠に時間が止まった場所。ここからちょっと遠いけど、、、行く?」
これで廃れた遊園地に連れていくのめちゃくちゃ素敵。
リアルではできないけど、こういう提案をできる人って惹かれますし、茜が素直な気持ちを言葉に出せば「なんだそれ」と一蹴するのではなく、それを守ろうとするのが青磁らしいです。
それで遊園地でふたりは遊ぶわけですが、ゴンドラ?に乗って夕焼けを見るシーンは、あまりにも優しすぎて泣けてきました。
ピュアな気持ちで朝まで一緒にいれるの、いいな、ピュアな恋したいな、と焦がれてしまいます。
恋を自覚する
少女漫画テイストの作品って「わたし、彼のことが好きなんだ、、、」みたいなシーンがお決まりだと思うんですけど、それが一切なくて、バスの窓に浮かび上がるハートに驚いたり、いつもは塗らないリップを唇に重ねたり。
うん、そういう小さなところに色が付くんだよね。
青磁の秘密
個人的に青磁の秘密が病気だということは、ありがちな設定だったので期待していたほどの衝撃性はなくてがっかりした気持ちが湧いた。
実際自分が茜の立場だったらめっちゃ心配するとは思うけど。
予告で「勝手に歩み寄ってくんな」って突き放そうとするシーンを使ってもらったら、ここのがっかりは生まれなかったかもしれない。
実写化への嫌悪
わたしはもともと小説やアニメ、漫画が好きなんですが、実写化はあまり好きではありませんでした。
『夜が明けたら、いちばんに君に会いに行く』を通してその考えが変わり始めた気がします。
わたしとしては小説や漫画などで十分成り立っていて、楽しんでいるのに、そこに実写化という他人の解釈がもろに加わったものが介入してきて、世界を壊されるのが許せなかった。
(ちなみに夜きみ原作は未読で鑑賞)
わたしが夜きみを楽しめたのは、瑠姫くんが主演という縁があったこと、インタビュー記事を読んでいたこと、JO1のメンバーが映画をすごく楽しみにしていたことのおかげで作品に対する愛着が生まれたから。
役や作品を、役者さんや監督、スタッフさんたちと作り上げていく瑠姫くんの姿を見ていたから。
自分の世界を汚されたような気持ちになるんじゃなくて、役者や制作側が作り上げる人物像を楽しむ、ということが可能なのだと教えてもらった。
夜きみを見たことで、確実にわたしの世界は色づいた。
夜きみありがとう。
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