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春宵十話


暖かな日差しに土ぼこりまじりの風を感じると、岡潔さんの『春宵十話』を思い出します。

noteで『春宵十話』のことを書いている方も見かけ、さっそく本棚からとり出してきました。

なぜか側にあるとうれしい、お守りのような本。


人の中心は情緒である。情緒には民族の違いによっていろいろな色調のものがある。たとえば春の野にさまざまな色どりの草花があるようなものである。  岡潔『春宵十話』

いつよんでも名文です!


はじめ、裏表紙にある岡さんの厳しい顔をみたときはびっくりしましたが、いまは全幅の信頼をおく岡先生です。

岡さんは数学者である一方、文学や芸術、歴史にも通じていて、ほんとうの学者さんてこういう方なんだろうな、と尊敬の念を抱きます。

理想はおそろしくひきつける力を持っており、見たことがないのに知っているような気持になる。 ~ これは違うとすぐ気がつくのは理想の目によって見るから見えるのである。そして理想の高さが気品の高さになるのである。  岡潔『春宵十話』

すてき…。


わたしは、どっしりとして、素朴でおおらかな香りのする奈良が大好きなのですが(柿の葉寿司も最高です)、岡先生も奈良を愛しておられ、ますます親近感が湧きます。

そして、岡先生の文をよんでいると、そのどっしりした大地の上にいるような、なつかしい感覚をおぼえるのです。

春がくるたび、岡先生の本をよむよろこび。この春は、万葉集もよんでみたい。



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