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#05「本当の美」(第3話:「笑みの本質」は美醜を超えて)

WONDER ORDER(あるいはORDER WONDER)では、マンガ・リフレクションを通して、なぜか気になる対象(ワンダー:不思議)について考え、そこにある本質(オーダー:秩序)を少しでも理解しようと思索を進めていきます。どこに向かうかわからない漫(そぞ)ろな足取りになりがちですが、The Sense of Wow!der の心持ちで、学習と創造のプロセスを楽しみ、記録していきます。

第5回は、第4回に引き続き「本当の美」をテーマに、クリストファー・アレグザンダーが理想とする「笑みの本質を備えた建物」がもつ「美しさ」について考えます。一緒に面白がっていただけたら、嬉しいです。

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お読みいただき、ありがとうございます。

第3回の制作におけるゴールは、「本当の美とは何か?」という問いに対して、アレグザンダーの視点から「本当の美」を探究する入口を示すこと

特に第3話では、ぜひとも多くの人に伝えたい、アレグザンダーの「世界観」を、ぎゅっと詰め込もうと考えました。「笑みの本質」を手はじめに、「無名の質(The Quality without a Name)」の存在を知ることで、社会的・慣習的に生み出されてきた美醜の次元を超えた視点を持って、あらためて世界に出会い直すことができるようになる。さらに、その質は、誰もが共通に感じ取ることができる客観的な存在だというのです。とてもインパクトがある視点だと思います。この視点こそが、アレグザンダーの仕事の代名詞でもある「パターン・ランゲージ」の考え方と深く結びついています。

ただ、このマンガで描いたことは、「本当の美」にアプローチするための入口を紹介したに過ぎません。アレグザンダーは、実際にここから思索と実践を進めていき、この質を生み出す秩序について大著にまとめています。それが、『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー』です(英語版は全4巻セットですが、日本語訳は第1巻のみです)。

このマンガは、自分自身がアレグザンダーの考え方を理解するために描いている側面が大きいですが、アレグザンダーの思想に、美学に、興味を持ってもらえるマンガにしたいと思い制作しました。なぜなら、アレグザンダーが素晴らしい「ものの見方」を提示してくれているにもかかわらず、デザインや建築思想関連のまとめ本にほとんど出てこないなど、思ったより目立っていないようだからです。

最後になりますが、マンガの内容に興味を持った方には、『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー』や『時を超えた建設の道』がおすすめです。



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