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深呼吸のし過ぎは健康に悪い!?90%の人が知らない呼吸の真実③呼吸機能のチェック方法

 みなさんこんにちは!パーソナルトレーナーの吉田です。

 「深呼吸のし過ぎは健康に悪い!?90%の人が知らない呼吸の真実」と題し、私たちが普段行っている「呼吸」について、詳しく見てきています。

 今回は「自宅でできる呼吸機能のチェック方法」をご紹介していきます。

■前回のおさらい

◾️呼吸にはリラックス時のゆっくり静かな「安静呼吸」と運動時や緊張している時の速くて荒い「努力呼吸」がある。

◾️「正しい呼吸」とは「身体の状態や状況に合わせて安静呼吸と努力呼吸を適切に選択できること」。

◾️現代人は普段の安静呼吸が努力呼吸のように「多く吸って、多く吐く」荒い呼吸になってしまっている=呼吸過多の人が多い。

◾️慢性的な呼吸過多が続くと、血液中の二酸化炭素が少なくなり、ヘモグロビンから酸素が細胞に渡らなくなる。その結果、脳や身体は酸素不足に陥ってしまう。

◾️血中酸素飽和度の数値が正常でも呼吸過多になっている人は多い。

◾️1気圧の平地では酸素スプレーや酸素カプセルの使用は意味がない。

(肺機能に問題がある場合を除く)

詳しくは、ぜひ前回の記事もご参照ください。


■正しい呼吸ができているかのチェック

 前回の記事でご紹介したように、現代人は呼吸が荒く、それにより身体が酸素不足に陥ってしまっている方が多く見受けられます。

とはいえ、実際に「自分の呼吸が正常かどうか」はなかなか実感しにくいもの。

(逆に何らかの自覚症状がある場合、かなり呼吸の機能が低下している可能性が高いと思われます)

 そこで、「正しい呼吸ができているかのチェック方法」を4つご紹介していきます。

ご自宅で簡単に行えるものですので、ぜひやってみましょう!

●チェック1:自覚症状の有無のチェック

 まず、自覚症状の有無をチェックしていきます。以下の項目にYESかNOで答えましょう。あまり深く考えずに、直感的に答えましょう。

①     呼吸が苦しいことがある、またはすぐに呼吸が乱れる

②     口が開いていることが多く、口呼吸をしている

③     いびきをかく、または起床時に口の中が乾いていることが多い

④     手足が冷たい、または痺れることがある

⑤     疲れがたまりやすいと感じることが多い

⑥     集中力がないと感じることが多い

⑦     首こり、肩こり、腰痛を感じる

◾️評価基準

これらは、いずれも呼吸機能の低下と非常に関連が強い項目です。①~⑦の中でどれか1つでもYESがあった場合には、呼吸を改善する必要があると考えられます。

 

●チェック2:呼吸の量が適切かどうかのチェック「コントロール・ポーズテスト」

  
 つづいて、「呼吸の量が適切かどうか(呼吸のし過ぎの有無)」をチェックする「コントロール・ポーズテスト」をご紹介します。

◾️チェック手順

①   あらかじめストップウォッチ(スマホのストップウォッチ機能でも可)などの秒数を測れるものを用意しておきます。

②   普段通りの呼吸で息を吸って吐き、鼻をつまんで息を止めましょう。

普段通りの呼吸で息を吸って吐き、鼻をつまんで息を
止め、「息を吸いたい」と明確に感じるまでの時間を測定

③  鼻をつまんだまま、「息を吸いたい」と明確に感じるまでの時間を測ります。

◾️注意点

・無理に息を吐ききろうとするのではなく、通常の呼吸で息を吐いた状態で鼻をつまみましょう。

・何秒間息を止められるかを測るのではなく、明確に「息を吸いたい」と感じるまでの時間を測ります。

※我慢できると感じる場合でも、「息を吸いたい」と感じたところでストップウォッチを止めましょう。

・唾を飲み込みたくなった場合や、首、肩、お腹などに力みが入った場合でもそこでストップしましょう。

・途中で気分が悪く感じた場合はすぐに中断しましょう。

◾️評価基準

・10秒未満の場合:呼吸量が非常に多く、脳や体に適切な酸素供給ができていない可能性が高い状態です。

 ※10秒未満の場合、頭痛や倦怠感、いびき、手足の冷えや痺れなどの自覚症状を訴える方が多くいらっしゃいます。

 ・10秒~20秒未満の場合:呼吸量が多く、運動をしたり、精神的なストレスがかかると息切れやぜんそく、疲労が見られる可能性が高い状態です。

 ※20秒未満の場合、「少し体を動かすとすぐに疲れる」「息苦しく感じる」といった自覚症状があるケースも見受けられます。

 ・20秒から30秒未満の場合:運動を行うには支障はありませんが、呼吸量は多く、改善の必要がある状態です。

 ※この段階の方でも、背中や腰の筋肉の緊張や猫背姿勢が見られる方が多くいらっしゃいます。

 ・30秒~40秒未満の場合:呼吸量の問題はほとんどありませんが、まだ改善の余地はある状態です。

 ・40秒以上の場合:理想的な呼吸量です。脳と体に適切な酸素供給ができていて、呼吸も楽に行えます。

脳や体の各機能が活発に働くことで、集中力や思考力が高まります。また体は疲労回復しやすく、免疫力やストレス耐性も高い状態にあると考えられます。

●チェック3:横隔膜と体感のインナーマッスルの機能チェック


 つづいて、呼吸で使われる筋肉である「横隔膜」、および体幹のインナーマッスルが正常に働いているかどうかのチェック方法をご紹介します。

◾️チェック手順

① 仰向けになり、両膝を立てます。

② 片手を胸の上、もう片方の手をお腹の上に置きます。

息を吸ったときに、胸とお腹のどちらが先に動くかをチェック。

③ ゆっくり3呼吸行います。この時、「息を吸った時に胸とお腹がどのように動くか」を確認しましょう。

④     次に、両手をお腹の横に当てます(横からウエストに手を当てるイメージ)。

息を吸ったときに、お腹全体がどのように動くかをチェック。

⑤ この状態でゆっくり3呼吸行います。この時、「お腹全体がどのように動くか」をチェックしましょう。

◾️チェック基準

・チェック手順③で、息を吸った時に「お腹→胸」の順に動き、チェック手順⑤で息を吸った時に「お腹が前後左右に均等に膨らむように動く」場合:横隔膜と体幹のインナーマッスルが正常に働き、安静呼吸が正しく行えている可能性が高いです。

・チェック手順③で、息を吸った時に「胸→お腹」の順に動いた場合:横隔膜の機能が低下し、呼吸が乱れている可能性が高いです。

・チェック手順⑤でお腹の前方しか膨らまない、または横や後ろ側がわずかしか膨らまない場合:体幹のインナーマッスルの機能が低下、または腹筋が弱くなっている可能性が高いです。

・チェック手順⑤で息を吸った時に、お腹が膨らまずに凹んでしまう場合:横隔膜および体幹のインナーマッスルの機能が著しく低下している可能性が高いです。

◾️補足

「お腹が膨らむ」とはお腹が前後左右360度方向に広がるように動く、という意味です。

 息を吸った時にお腹が全方向に膨らめば、体幹のインナーマッスルが適切に働いていることになります。

逆に、お腹が凹んでしまう場合は同時に肋骨が大きく開くように持ち上がっているはずです。これは横隔膜と体幹のインナーマッスル全体(横隔膜もインナーマッスルに含まれる)の機能が著しく低下した状態です。

 このような呼吸状態では、首や肩の筋肉を強く使って息を吸ってしまっているので、慢性的な肩こり、首こりの原因になってしまいます。

●チェック4:呼吸に必要な関節の可動性チェック「ロールアップ&ダウンテスト」


 最後に、適切な呼吸を行うために必要な背骨や肋骨の可動性が備わっているかどうかのチェックをご紹介していきます。

◾️チェック手順

①     タオルを肩幅で持ち、仰向けになります。

②     両膝を立てて、腰は床のつけた姿勢から両手両足を床から上げます。

③ 息を吐きながら、両膝を胸に近づけていきます。同時に上半身を起こし、タオルが足を乗り越えるように両手を下げていきます。

(頭、首、肩が床から持ち上がる状態)


④ タオルが両足を乗り越えたら、③の動作をさかのぼって行い、②の姿勢に戻ります。

●注意点

・勢いはつけず、ゆっくりと行いましょう。

・上半身を起こした時に、首に痛みなどを感じる場合は無理はせずに中断しましょう。

◾️チェック基準

・一連の動作がスムーズに行える場合:呼吸に必要な背骨や肋骨の可動性が備わっていると考えられます。

・タオルが足に当たってしまう場合:呼吸に必要な背骨や肋骨の可動性が低下していると考えられます。

◾️補足

 動作がスムーズに行えない主な原因は、

・息を吐くために必要な腹筋が弱くなっていること

・背中の筋肉が過剰に緊張していて、背骨や肋骨の関節がうまく動いていないこと

などが考えられます。

●総合的なチェック


 ここまで「正しい安静呼吸が行えているかどうかのチェック」を4つご紹介してきました。

最後に、チェック1~4の全ての結果を見直し、ご自身の呼吸の状態をトータルでチェックしてみましょう。

◾️チェック1:「自覚症状の有無のチェック」で1つ以上YESがあった 

◾️チェック2:「コントロール・ポーズテスト」が40秒未満だった

◾️チェック3:「横隔膜と体幹のインナーマッスルの機能チェック」で、息を吸った時に「胸→お腹の順に動く」、または「お腹が360度全方向に均等に膨らまない」

◾️チェック4:「ロールアップ&ダウンテスト」でタオルが足に当たってしまう

以上のうち、1つでも当てはまる場合は「正常な安静呼吸(リラックス時の静かな呼吸)が行えず、呼吸機能が低下した状態」であると考えられます。

■まとめ

今回は「呼吸機能のチェック方法」と題して、4つのチェック方法をご紹介してきました。

呼吸というのは本来、生まれてから誰に教わるわけでもなく行ってきているものであり、当たり前のように行っています。

そして、呼吸器官の疾患を抱えてる場合を除き、「自分の呼吸に異常がある」と自覚している方はほとんどいらっしゃいません。

正確には、「何らかの体調不良を抱えてる人は多いけれど、その原因が呼吸にあるとはほとんど知られていない」のが現状です。

 それだけに呼吸機能が低下している方は非常に多く、「正常な呼吸」が行えている人は世の中に1割もいないとも言われています。

しかし、呼吸は「脳や体に酸素を供給する」という、いわば「生命活動の根源」とも言える運動の1つです。

そのため、呼吸機能の低下は心身ともに大きな悪影響を及ぼします。

 同時に呼吸は「全ての運動の基礎」とも言われています。本来なら、スポーツやダイエット、ボディメイクなどあらゆる目的のトレーニングを考える上でも呼吸機能は考慮するべき存在なのです。

 次回は、「呼吸機能が低下する原因」についてご紹介していきます。 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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