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【絵本感想】『 わすれていいから 』



「 少年との楽しい思い出、君がいない部屋にそっと残る 」




👑優しい猫と少年の物語👑

作:大森 裕子
出版社:KADOKAWA



《 読書感想 》


この絵本は、ある家に拾われた猫が「おれ」として語る、少年の成長と別れを描いた物語です。

猫が家にやってきたとき、そこには生まれたばかりの「おまえ」(少年)がいました。

猫と「おまえ」はいつも一緒に過ごし、猫はすぐに大きくなりますが、「おまえ」はゆっくりと成長していきます。

二人は家の中で遊んだり、お気に入りの場所でくつろいだりして、まるで家全体が二人の「縄張り」のように感じられる日々を送ります。



けれど、「おまえ」が成長するにつれて、だんだんと猫と過ごす時間が少なくなっていきます。

学校や友だちとの時間が増え、猫は家で一人待っていることが多くなります。

そして、ついに「おまえ」が家を出ていく日が訪れます。

猫はその時、「おまえが新しい縄張りを見つけたんだな」と理解し、少しさびしそうにしながらも、「忘れていいから」と声をかけます。

この言葉に込められた猫の気持ちは、深い愛情と応援の気持ちが感じられ、物語は静かに終わります。

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この絵本を読んで、心の奥に温かさと切なさが残りました。

猫と「おまえ」はいつも一緒にいて、楽しく過ごしていた時間は何ものにも代えがたいものだったと思います。

猫にとって、「おまえ」との毎日は大切な時間でした。

けれど、「おまえ」が大きくなり、家を出る時が来た時、猫はその別れを受け入れます。

「忘れていいから」という猫の言葉には、「おまえ」の未来を応援する思いがこめられていて、そこに猫の優しさと深い愛情を感じました。



特に印象的だったのは、猫が自分の気持ちを抑えてまで「おまえ」を送り出す場面です。

猫はきっと「おまえ」が家を出ていくことがさびしかったはずです。

それでも、「おまえ」が新しい生活を始めることを理解し、応援しようとする猫の姿は、とても大人びていて感動的でした。

誰かを大切に思うということは、その人の成長や幸せを願うことでもあり、猫がその気持ちを表現しているのがとても心に響きました。



僕自身も、いつかは家族や友だちと離れて、新しい生活を始める時が来るのだろうと思います。

今は当たり前のように一緒にいる家族や友だちとも、成長とともに別れる瞬間が来るかもしれません。

その時、僕も猫のように優しい気持ちで送り出されるのかもしれないと思うと、少し切なくなりましたが、同時にその成長を祝福してくれる存在がいることに安心感も覚えました。



この絵本は、成長や別れ、そして相手を思いやる気持ちの大切さを教えてくれます。

猫と「おまえ」の関係は、読んでいる僕にとっても身近に感じられ、自分の大切な人たちとの時間をもっと大事にしなければならないと強く思いました。

別れは悲しいこともあるけれど、その中にある愛情と応援の気持ちが、この物語を通して心にしみ込んでくるようでした。

この絵本を読んで、今ある時間をもっと大切にしようと思いました。


この絵本のタイトルを見ただけで、すでに胸が締め付けられる思いでした。

子どもが成長し、いつか家を離れる日、

  その時あなたはどう感じるでしょうか?

  この猫のように「大丈夫だよ」と静かに背中を押せるでしょうか?

ラストシーンの絵に溶け込んだ、やさしい猫の「一言」は、ジワリと胸に染み込んで、ずっと余韻が続いていく…。

今一緒に過ごしているこの時間がいかに貴重なのか…そのことを気づかせてくれた、とても素敵な絵本でした。




最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



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