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ビットコインの価値を裏付けるもの

ビットコイン・デベロッパー Jimmy Song氏の記事を日本語訳しました。

ビットコインが法定通貨や他のアルトコインと、どう違うのか?

価値とは具体的に何かを知りたい人。

ビットコインは詐欺だと思っている人。

よくわからないアルトコインに騙されたくない人。

通貨を超えて価値とは何か?本質が理解できます。

以下、本文。

Part 1

言葉で何度も聞いたからといって、あなたがそれを理解していると信じるのは簡単です。表面レベルではその通りです。誰だって聴診器を見たことがあり、それが使われているのを見たことがあるので、聴診器とは何かを知っています。

しかし、より深いレベルで理解しようとすると。聴診器が、何のためにあるのかの知識が必要です。つまり、聴診器を使用すると、身体から発せられた音を聞きながら、どのように機能しているのかを、知らなければいけません。子供は聴診器を見たことがあり、それを識別することさえできますが、それがどう機能しているか?は理解できません。

ほとんどの人はBitcoinを、表層レベルでは知っています。彼らはそれが、1つのお金の形態であることも知っていて、多分いくらか買ったことさえあります。この記事は、Bitcoinを表層レベルでは理解しているが、より深いレベルで理解したい人のためのものです。

希少性

不足しているリソースは貴重なものです。特に有り余るお金は、他のすべての物価を上昇させ、日常生活で使用するには、非実用的になるため、希少である必要があります。

希少性には、大別すると2種類あります。人工的で、誰かに管理された希少性。一方で、分散化された、自然発生的で、誰にも管理されていない希少性。

中央集権型の希少性は、中央当局が、ある品目を製造または発行した結果になります。シリアル番号付きの印刷物から、タクシーのトークンまで、あらゆるものが、このカテゴリに分類されます。このタイプの希少性にとっては、偽造されることが、ものすごいダメージになります。なぜなら、商品を買うよりも偽造した方が低コストであるからです。

一方で、分散型の希少性は、自然界に見られるものです。例えば、塩、ガラス玉、貝殻、金などの多様なものは、ほとんど自然界では希少です。これらは調達するのに多大な労力を要し、一般に生産するのにも、多大な費用がかかるものです。しかも、これらは偽造するのが大変難しいのです。上記のモノ、すべてがある時点でお金として使われてきたのは偶然ではありません。これらの商品の生産コストが下がったり、他のもの方が、より便利になったときに初めて、お金でとして使われなくなります。

この2つの希少性の違い決定的です。中央集権型の希少性は、分散型の希少性とは、そもそも質的に異なります。管理された希少なモノは、管理当局の意志によって、価値を失う可能性があります。一方で、管理されていない希少性は、容易に価値を失うことはできず、失うには、通常は何らかの重大な技術的進歩、または誰かによる強制的な没収が必要です。

デジタル

Bitcoinが登場するまで、デジタルの世界の希少性と言えば、集中型/人工/管理型の1種類しかありませんでした。これはデジタルの世界を、人類の手によって作り上げてきてから続いていきたことであり、分散されたもの、自然なもの、または管理できないモノがデジタル世界に存在するとは、全くと言っていいほど信じられてきませんでした。

デジタル・データとは「1」と「0」で出来ているのでコピーは簡単です。デジタル・アイテムは、無限にコピー可能なアイテムと、その希少性が誰かに管理されたアイテムの、二種類に分類できます。例えば、mp3は無限に何度も何度も複製することができます。一方で1企業に管理されている、ソシャゲ・アイテムのようなものもあります。

ビットコインへようこそ

Bitcoinの革新は、デジタルの世界に分散型の希少性をもたらしたことです。2008年のナカモト・サトシの発明以前には、そんなことは不可能だと、誰もが思っていました。一体、これはどうして可能なのでしょうか?デジタルの世界で、自然で、分散化され、管理できないものが存在しうるのでしょうか?

答えはプルーフ・オブ・ワーク(Pow)です。プルーフ・オブ・ワーク(Pow)は「困難な数学問題」または「合意形成アルゴリズム」としてよく言われますが、端的に表すと、Powの発見プロセス、つまりマイニング(採掘)です。

金採掘では、土と岩石が金を見つけるために処理されます。一般的に、1トンの金を得るために、およそ45トンの土と岩石が粉砕され、処理され、ふるいにかけられます。これを、行うための全体的なコストは、金の1オンスの価格をほんの少し下回るだけです。それでも、金のオンスが本当に金であることを、確認するためのコストは、金を生産することと比べてわずかです。言い換えれば、金を生産するためのコストは高いですが、金であることを確認するためのコストは低いです。

プルーフ・オブ・ワーク(Pow)は、デジタルの世界での採掘です。ある特定の方程式を満たすために、見つけるのがとてつもなく難しいnonce(一度だけ使用される数字)と呼ばれるものがあります。金鉱採掘のように、これを、行うための全体的なコストは、Bitcoinのブロック報酬と手数料の価格より、わずかに低くなります。しかし、検証はすごく簡単で安価です。金のように、プルーフ・オブ・ワーク(Pow)は作業するのに高コストですが、検証するのはとても安価です。

ある意味では、Bitcoinは数学の力を使って、分散化された、自然で管理されていない、希少性を生み出します。それが健全なお金を可能にします。

結論

ビットコインは、自然で、分散化され、管理されていない、デジタル媒体です。これは、サトシが2008年に発明する以前には存在しなかったことであり、しかも、他のいかなる暗号通貨にも存在しない特徴です。これがBitcoinのお金としての有用性への鍵です。希少性は最初に必要とされるものであり、それがなければ金としてのその命題は崩れます。

Part 2

前回の記事では、Bitcoinは、誰もが許可なく採掘、譲渡、保管することが、できるように、いかなる者にもコントロールされていない、分散型の希少性を持つことを明らかにしました。これは、人工的な集中管理された希少性とはまったく対照的です。あなたが誰かに管理された希少性のあるアイテムに対して、何かを実行したい場合は管理者の許可が必要です。

この記事では、ビットコインを、分散した、自然な、管理されていないお金として、特に過去の分散型のお金と比較して説明します。

お金の望ましい性質

お金を便利に、そして保有価値のあるものにする理想的な特性とは?お金に利便性と有用性を与える特性は、分割性、安全性、認識性、可搬性、耐久性および代替性です。これらの特性は、お金の取引を容易にし、その取引コストを減らします。それぞれの特性を見て、良いものと悪いものを定義し、Bitcoinにどのように当てはまるか見てきましょう。

分割可能

単位が分割できるお金は、取引を正確にします。分割できないお金は不便です。なぜなら、一方の側では、わずかに受け取り額が少なくなるからです。このように、単位を分割できることは、お金にとって大きな利点です。

分割できない価値の具体例は、高価なベースボールカードのようなものです。カードには端数という概念がないので、他カードとの取引が不便になります。分割可能で代表的なのは米ドルです。現金を使用する場合、1centまで分割可能です。

Bitcoinは、1 / 100,000,000分の1、つまりオンチェーン上の最小単位として約0.000035ドルまで割り切れます。 Lightningチャンネルでは、さらに1/1000、$ 0.000000035まで、分割が可能です。これはもう砂の粒のコストです。これは、オンチェーンだと米ドルの約300倍、Lightning Channelでは、米ドルの約300,000倍の除数です。

セキュリティ性

セキュリティ性とは、他人からお金を没収されるたり、資産を凍結するのが難しいということです。良いお金の条件は、没収するのが難しくなければなりません。物理的な金は、実際に物理的に奪う必要があるため、没収するのはかなりコストがかかりますが、米国の銀行口座にあるお金を没収することは難しくありません。実際に、政府は自分たちとって都合の悪い行動を抑止する方法として、常に銀行口座に凍結することがあります。

当たり前ですが、所有権が第三者に依存しているものは、自分で預かっているよりも没収されやすいのです。 Bitcoinは無記名証券であり(つまり、実際には所有している人に所有権があり、第三者には依存しません)、没収される可能性は低くなります。

さらに、Bitcoinは秘密鍵で保護できるため、m-of-nマルチシグやタイムロックなど、さまざまな方法で所有権を保護できます。金のような物的資産よりも、Bitcoinを保護するための選択肢は多様です。

他のスマートコントラクト言語は、所有メカニズムに関しては、より多くのオプションを提供するかもしれませんが、そのような機能は本当の分散化なしには役に立たないことに注意してください。 EthereumのDAOはさまざまな方法で保護されていましたが、ある者がETHを特別な方法で引き出す方法を見つけたとき、チェーン全体がそのトランザクションを無効にするように変更されました(DAOハック事件)。つまり第三者が、誰にお金の所有権があるか決定したのです。これは、米国の銀行口座と同じです。

さらに、コードが安全だということが証明可能でなければならないです。これはDAOハック事件のもう1つの問題でした。スマートコントラクトはチューリング完全なため、コードが複雑になり、作成者が意図しない方法でコードが実行されてしまいました。複雑さによって検証コストが上がり、その安全性が失われたよい事例です。

認識可能性

認識可能性とは、お金が本物だと検証しやすく、偽造しにくいということです。「金」であることを確認するための、優れた化学チェックがあるため、「金」は比較的簡単に真正性を確認できます。一方で、コンサートのチケットのようなものは、真正性の確認が困難で偽造が容易であることで有名です。

認識可能性は、財を生産するコストと密接に関係しています。お金を生産するのに、多大な費用がかかるならば、それを偽造しようと試みることには経済的な利得が発生しません。一方でお金が生産するために、ほとんど費用をかけなければ、偽造することを試みる経済的な動機が発生します。したがって、「金」は製造するのが非常に困難であるため、非常に良質な認識性を有します。コンサートのチケットは紙片であり、偽造は簡単であり、それ故に、その認識性は低いです。

とは言っても、大きな金の延べ棒でも、棒を金のように見せる方法はありますが、100%の金ではありません。Bitcoinは認識可能性はプルーフ・オブ・ワーク(Pow)に基づいているため、その問題に悩まされることはありません。

プルーフ・オブ・ワーク(Pow)で解を見つけるのは非常に難しいため、Bitcoinを生成するのは非常に困難です。 Bitcoinを偽造するとは、ノードを隔離し、メインチェーンとは異なる方法で、安価な作業証明でブロックを生成することを意味します。これは、さまざまな理由でやってのけるのが非常に難しい攻撃であり、利益になりません。Bitcoinは、ブロック・エクスプローラーまたはフルノードを見れば正当性が確認できます。プルーフ・オブ・ワーク(Pow)は非常に高コストであるため、データを偽造することは非常に困難ですが、Bitcoinが本物であるかどうかはの検証は容易にできます。

可搬性(ポータビリティ)

可搬性とは、お金が運びやすいということです。例えば、歴史を見ると、香辛料は高い価値が小さく凝縮されていたため、貿易に使用するのには最適でした。これはスパイスが本当に良い可搬性を持っていたことを意味します。一方で、土地は移動させるのが不可能なため、お金として使うには、ひどいモノになります。

可搬性は高い値密度と相関しています。これは物理的なアイテムの分割性と反対の傾向があります。金は非常に価値が高密度に凝縮されていますが、分割するのは難しいです。

非常に価値があっても、極端な量はその可搬性を妨げます。 100ドル紙幣ほどの価値があるもの(重さはおよそ1グラム)でも、量が増えれば可搬性は失います。 100ドル札で500万ドルは、100ポンド以上の重量があります!これは、誰もが機械の助けを借りずに運ぶことができません。

ビットコインには重量がないので、無限の価値密度を持ちます。物理的なハードウェア・ウォレットのようなものを使用する場合でも、秘密鍵には、いくらでもビットコインを含めることができるため、値と重みは相関関係にありません。 Bitcoinをデジタルで送信できるということは、秘密鍵を物理的に転送する必要がないことも意味します。ビットコインは、世界中に電子メールの速度で送信することができます。これは他のどんな交換媒体よりも優れています。

耐久性

耐久性は、通貨媒体が劣化しない能力です。金は他の化学物質とは実際に反応しないため、高いレベルの耐久性があります。一方、サバ缶のようなもの(喫煙が禁止されて以来ずっと刑務所で使われていたもの)は、賞味期限があるので、あまり耐久性がありません。

耐久性は、伝統的には物理的耐久性を意味してきました、それはもちろん、銀と金を、お金と同じくらい価値があるものにしてきました。残念ながら、金の延べ棒は、時間とともに金がはげ落ちるので、重量が減ります。

ビットコインの耐久性は、物理的な耐久性ではなく、ブロックチェーンの耐久性です。 Bitcoinは集中管理されていないため、Bitcoinの耐久性は、ほぼ無限大です。一元管理されているようなCoinの台帳は、それほど耐久性があるとは言えません。結局、中央で管理している第三者が、いつでもあなたのコインを「削除」または「盗む」ことができます。ビットコインは、分散化されている限り耐久性があります。

代替可能性(ファンジビリティ)

代替可能性は、アイテムが2つあるとすると、どちらも本質的に区別がつかないという特徴です。ドルと金は代替可能ですが、ダイヤモンドは他の石ころの代替にはなりません。

完全な代替性を実現するのは非常に困難です。 1オンスがどこでも1オンスと同じであるはずの金の場合でも、微妙な違いがあります。 99%純粋な金の延べ棒は、99.99%純粋な金の延べ棒にわずかな割引で取引されます。このプレミアムは、金1原子あたりでも存在します。目に見える理由は、99.99%の純金を金の延べ棒の形で入手するのは難しいことで、そのような金の延べ棒は稀です。

ドル紙幣でさえ、擦りたての100ドル紙幣は、年老いたしわくちゃのものに比べプレミアムで取引されます。多くの第三世界の国々で、これらの紙幣は贈り物として使用され、可能ならば贈り物として、より美しい紙幣をあげたいと思うからです。

Bitcoinには、コインベースのアウトプットのような特定のBitcoinがあります。一方で、犯罪活動に使われた可能性のあるアウトプットは、ディスカウントで取引することもできます。プロトコル自体は、コインを区別しませんが、人々はこれを区別します。各コインのプライバシーが完全に隠されていない限り、完全な代替性は不可能です。

とは言っても、Bitcoinは代替可能であり、市場はこれまでのところ、コインの過去の使用用途によって区別したことはありません。

結論

Bitcoinが、過去のいかなる形態のお金より優れている理由はたくさんあります。アルゴリズムによって管理される発行スケジュール、分割可能性、安全性、認識可能性、可搬性、耐久性、および代替性は、これまで存在してきた他のあらゆる形態の通貨と同等かそれ以上です。

一方で、アルトコインには、ここまでの特性は完全に備わっていません。特にセキュリティの確保と耐久性は、特定の開発チーム依存しています。 第三者を信頼する必要があるのです。Bitcoinは真に分散化された価値であり、他の追随を許しません。

song氏の著作はオライリーから出てます。

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