うつになってしまった④【自分のこと#9】
30代前半にうつと診断され、現在50代。
40代入ったあたりから、一応無事に生きている高校教員です。
「自分のこと」を、たまにお話しさせていただきます。お時間あればお付き合いください。
前回は、初めてカウンセリングに行った時のことをお話しさせていただきました。
初めてのカウンセリングの後、当時は1〜2週間に1回のペースで通いました。
その時、私がよく言っていたことは「専任を辞めたい」でした。
以前、この「自分のこと」でも書きましたが「専任」は企業でいう正社員のことです。
それまでは「非常勤講師」をしていて、収入面では不安定でした。
演劇の世界を志したり、有名予備校講師になりたかったり、いろいろと夢見ていたのですが、結局どれもモノにならず、勤めていた学校から声をかけてもらったこともあり「専任」の道を選んだのです。
うつになった一番の原因は、この「専任」になったことだと当時思っていたのです。
それまでは、なんだかんだ言って自由な身でした。
それが「学校」(私が勤めているのは私立校)という組織に属することになり、その自由はなくなりました。
それに加えて、専任としての責任の重さが想像していた以上に重く、とてもやっていけないと感じていました。
そんなこんなで「専任を辞めたい」とカウンセリングの先生には吐露していたのです。
しかし、先生は、いつもこう言ってました。
『辞めるのは、いつでも辞められるよ』
当たり前のことなんでしょうが、その時の私にはハッとさせられる言葉でした。
辞めたいと思ってはいましたが、同時に、辞めたら生活はどうなってしまうんだろうという不安が、必ずセットで出てきて私を足踏みさせていました。だから「そうか…いつでも辞められるか…それよりもこの状況をどうするかまだ考えられる余地はあるか…」と思うようになれたのです。そもそも辞めることで今の苦しみは解決するのか!?というのが実は真っ先に頭の中に出てきていたのです。もちろん、辞める選択もアリだったと思います。でも辞めたらどうする…。教員なんていうツブしの効かない職業…。
カウンセリングの先生は、この時なんでこんなことを言ったのか。
うつに少しでも詳しい方ならわかると思いますが、うつになった場合「大きな判断をしてはいけない」ということがよく言われています。おそらく先生は、私にまずはじっくり考えさせて、軽率な判断をさせないようにしてくださったのではないかと、20年以上経った今、思うのです。
先生が本当のところ、どう思ってらっしゃったかは、わかりません。
ただ思うのは、私が、自分の頭で、無理のないペースで、自分のこれからを決めていくよう、導いてくださった、ということです。
うつになったり、なりかけの方ならわかっていただけると思うんですが、うつから抜け出す、克服する万人向けの方法なるものは、ありません。悩みに悩んだ末に、苦しみを乗り越える、自分なりの方法みたいなものが見えてくるんだと思うんです。
「苦しみを乗り越える」と言うと大袈裟に聞こえるかもしれません。
噛み砕くと私の場合は、その方法は以下の通りです。
①自分の苦しみとは何かハッキリさせ細かく分ける
②細かく分けた苦しみを重いものから順番に並べる
③軽いものから自分のペースで向き合い無くしていく
私は「うつを克服した」と公言していますが、「実は今でもうつっぽくなって、苦しい時があるけど、なんとか自分なりの方法で乗り越えています」というのが正確です。
上記の①、②、③を身に付けてからは、なんとか今も無事に生きています。
カウンセリングの先生との付き合いが3〜4年とお伝えしていますが、要はこの年数で①、②、③を身に付けたということなのです。
20年以上経って今思うのは、専任を辞めることで解決はおそらくしなかった、ということです。
人生に「たら・れば」はありませんが、演劇をやっていようが、予備校講師になっていようが、どの道、遅かれ早かれ自分はうつになっていたんではないか、そう感じています。
この方法を見つけるために生き延びてきたんだと、思っています。
当初は1〜2週間に1回のペースでカウンセリングに通いましたが、1年、2年と経つごとに、ペースを緩めていくことができました。月1回、2ヶ月に1回…といった感じで…。
最後に伺った時は、半年ぶりだったと思います。
「また来ていいですか?」と先生に言いました。
先生は「いつでもどうぞ。大丈夫ですよ。」と言ってくださいました。
それ以来約20年、お会いしていません。
本当はお礼も言いたいですし、時々、辛くなってお会いしたい時もあります。
でも、いつも先生のあの言葉を思い出すんです。
『辞めるのは、いつでも辞められるよ』
辞めなくても、辞めても、どっちでもいい。今の自分を落ち着いて冷静に見るマインドがあればいいと思うと、フッと、先生に会う気持ちではなく、自分は次にどうするか、という気持ちが出てきます。
今回で「うつになってしまった」は終わりです。次回から、教員をしていて具体的にどんな「苦しみ」があったのか、そして、③にあったように、どう「無くして」いったのかをお話しできればと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
教員を辞めることで解決できるかどうか、ぜひ、お聞かせください。辞めない、辞めるの判断は、そこからでも、きっと遅くはないと思います。お待ちしています。
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