【カメオの共鳴】シリーズ 第2篇 「耳で逢いましょう」(No.0252)







ポーン!


1時になりました
こんばんはパーソナリティーのOribeです
今晩も始まりました「耳で逢いましょう」
みなさん、今週1週間はいかがお過ごしでしたでしょうか
私の周りですと、最近は風が強くて困っちゃいますね
空っ風が吹き荒れるものですから砂が巻き上がってしまうもので、歩くだけで
息苦しくなってしまいます
私なんか自転車乗って近所に買い物行ったりするんですが、風で飛ばされそうに
なってしまうほどです
買い物袋を乗せたママチャリでも向かい風だったときなんか立ち漕ぎでないと
進まないくらいです
なるべく細い道に入って風から逃げようとするんですが、そんな住宅街の道でも
風でプランタなんか転がってしまったり自転車が倒れてたりしています
住んでいるところは小さい駅なんですがね、駅前にある楽器屋の看板が倒れて
割れてしまっていました
これはちょっと残念でしたね
そこの看板はちょっと珍しくてですね、薬局前のゾウさんの置物みたいに
看板というか置物のようなやつなんですね
ギターの置物をプラスチックだかセルロイドだかで作って置いてあったんです
それが風で倒されてしまって、ネックのところが割れてしまっていました
とっても哀しい気分になってしまいましたね
店主も風が強い時はなるたけ店内にしまっていたんですがどうもタイミングが
悪かったんでしょう
直るといいなぁと思っています

そういうわけなので、本日の一曲目はですね、あのギターの看板が早く直ることを祈って少し明るい曲をかけたいと思います
カロ・エメラルドで 「Thatman」

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カロ・エメラルドで 「Thatman」でした

以前にこんな話を聞きました


香辛料を扱った会社の倉庫で働いている人の話でした。
彼は日々の入荷や出荷の肉体作業をする現場の人で、長く勤めていたので一応
そこの責任者になっていました。
真面目な人なのでしっかりと日々作業をこなしていたのですが、ある時に経営者が亡くなったのです。

小さい会社でしたので、すぐにその息子が代を継ぎましたが、急なことだったので新しい経営者は忙しくなりしばらく現場の方へ顔を出さず、彼に任せきりになってしまったそうです。
彼も現場を回すことに掛かりきりだったし油断したのでしょう。
人手を増やすのを優先するために、雑な人間を雇い入れてしまったようなのです。

派遣のアルバイトだったのですが、ガラが悪い、というかパッと見は普通だそう
ですが、何だか雰囲気が悪い。
手に数珠なんか付けて居たそうです。
そして性格が悪質な人間で先輩でも誰でも人を値踏みしてくるそうなんです。
それで相手が穏やかな人だと判断すると付け上がり、ドンドンと自分のワガママを押し通して行くのだそうです。

先輩のやり方やその職場の業務の流れというのがありますが、それを壊して自分のやり方にしてしまうのです。
それで彼は、一緒に長く働いてきたアルバイトの人から相談を受けて、彼なりに
やんわりと注意をしたのですが、これがまた上手くいかず騒いだり喚いたりと
暴れまわったそうです。

彼もその態度に驚き、その場を収めるためにナァナァで済ましてしまったよう
なのですが、どうにもこれが不味かったようで、これ以来ドンドンと付け上がってしまい、結局みんなは彼の言いなりになってしまったのです。

だから仕事のやり方も彼が仕切るようになり、ただの派遣にも関わらず現場を仕切るようになってしまったのです。
もちろん全てを仕切るのでは無く、業務のあくまで一部ではあるのですが、おかげで仕事の流れが彼の部分で断ち切られるようになり、職場の風通しが非常に悪くなり、仕事もやりづらくなってしまったそうです。

また、彼の性格から小競り合いもあり、退職者も出る始末でした。
彼も派遣の営業に意見をしたりもしたのですが、効果は薄く、結局在庫の管理などの一部を彼に任せるという形で収めるようになったそうです。

日々の入荷や出荷などは人手が必要ですし作業者同士の協力関係が必要です。また残業や早出などのお願いも必要になりますから、こう言った部分には厄介な派遣を関わらせないようにし、その代わり在庫の管理や現場の整頓などをお願いするようにしたそうです。
これらは一人で出来るものですし、他の人と接触が少ないので皆んなも安心できる訳です。

こういうイビツではありますが何とか丸く収まるような方法で落ち着き、日々作業をこなしていったそうです。
この方法は上手くいき、以後はトラブルも無く順調にやっていけたそうなのですが、ところが厄介なことにそうやって彼の存在を認めてしまったせいで問題が出てしまうんです。

彼の個人的なスペースというものが作業場に出来てしまったんですね。
これはなし崩し的にそうなった訳です。

彼は周りと関わらないでいれば問題無いので、他の作業員も関わろうとしない。
ですから彼は食事もいつの間にか休憩室では無く作業場で取るようになったん
です。
勿論他の休憩も全てです。15分休憩とかそういうのもですね。ですから段々と彼のいるスペースというものが作業場に生まれ、そして作業場を圧迫し始めた訳です。

そうすると日々掃除だとか、荷物の出し入れだとかで皆んなが作業場を移動するんですが、その彼のスペースに近づくと噛み付いてくるんですね。ですからその彼のスペースに入れる物や、スペース周りの掃除などは全部彼に一任するしか無いん
です。
結局、在庫の一部については、彼を通して受け取ったり、出してもらったりという許可が必要になってしまったんです。

これは、非常に作業がしづらいですね。
いつの間にか、こうしてただの派遣が大きな権力を持ってしまいました。

その後、厄介な派遣は他の新人が入ってくると、値踏みを繰り返し、気にいると
自分の子分にするようになったんです。
名目上は自分の役割に人手が必要だから、ということを宣ったようなのですが、
要はそうやって派閥が生まれたんですね。
そしてその派閥が大きくなり、職場がますますやりづらいものになってしまったんです。

その彼も、私に話してくれた彼も言ったんですが、つまり、反省していたんです
がね、こう、なし崩し的にナァナァでやってしまったせいで、こうなって
しまった、ということをですね、彼自身とても反省していたんです。

私もこの話を聞いた時にですね、もっと何とかするべきだっただろう、と小言を
言ったんです。それこそ経営者にすぐ報告するべきだったんでは無いの?と。
彼も、まぁ当然解決した後ですからそりゃそうですがね、彼自身も、そうするべきだった、と言って反省していましたね。

で、そのあとそんな感じでドンドンと職場が悪くなっていったようなんです。
特にそのスペースですね、彼のスペースのところを中心に作業場がとても汚く
なったそうです。
全然整理整頓出来ていないんです。で、その事を指摘しても、この方が使い
やすい、だとか、これで分かるようになっている、だとか色々と言い訳して全然
整頓する様子は無いそうです。

そんな時ですね、やっと新しい経営者が顔を出してきたそうです。
まだ若い方でとても優しい雰囲気の方だそうですが、その話してくれた彼が
ですね、経営者の方に付いて現場の紹介や説明をして回ったんだそうです。

その時、やっぱり一番問題になったのが、例のスペースだったんです。
経営者の方はすぐに、何であそこだけ汚いのか?と尋ねられたそうです。

彼も何だかバツが悪いんで、ゴニョゴニョとしながらも、何とか色々と説明した
そうです。

なかなか言う事を聞いてもらえない、だとか、一応彼に在庫管理やらはお任せしている、だとか。

その話を聞いた経営者の方は、その時一人で歩み寄り、その例の派遣に直接話を
したそうです。
大変物腰の柔らかい丁寧な物言いだったそうです。

しかし、その例の派遣はと言うと、その経営者の態度から、コイツはイケる、と
勘繰ったようで、整理整頓の事を少々突っつかれた時に、また何時ものように、
これはこれで良いんだ、とか、私が管理監督するように指示されているしここは
全部任されているから余計な事を言われる覚えは無い、というような強気な態度を取ったそうです。

彼はそのやりとりを遠巻きにヒヤヒヤしながら見ていたそうですが、それを
言われた経営者の方はと言うと、顔色を変える事なく聞き入れ、その後グルリと
そのスペースを見回るなりそのまま彼の元を離れて戻って来たそうです。
その後も他の部分を見て回り、事務所へ戻られたそうです。

彼としてはホッとしたやら、ガッカリしたやらという気分だったようです。
彼としては、本当はこの問題を解決して欲しいという気持ちだったのですが、何も問い詰めたり正したりする様子が無かったので、何だか肩透かしを食らったような気分だったそうです。

ですが、その週の土日が明けた月曜日に、いきなり変化があったそうです。

彼がいつも通りに出勤すると、作業場前にあるトラックが止まるスペース部分に
ですね、大量の荷物が並べられていたそうです。
そして、すでに出勤している作業員や、例の派遣などがザワザワと騒いでいるん
です。
彼はビックリして向かっていくとですね、その例の派遣が喚きながら彼に
突っかかってきたんです。


何勝手にやってんだ!
私の作業場を滅茶苦茶にしやがって!


って、凄い剣幕で掴みかかってきたんで、彼ももう驚いて、

いや知らない、何のことだか分からない

って、首を横に振るばかりだったそうです。
実際彼も何も知らないわけですから、そう言うしか無いんですね。

そして、そこに小型バスが入ってきたんです。
そこから出てきたのが、あの経営者だったんです。
そしてそのバスから次々に知らない人たちがゾロゾロと出てきて、更にそこに
トラックまでやって来ました。

彼はビックリして、すぐに経営者の方に近づいてこの状況を尋ねました。
経営者の方は周りを見回すなり、だいたいの人が出勤して集まっているのを
確認してから説明してくれたそうです。


この職場はおかしなことになっている。
このあいだの見学で分かった。

なので週末を使ってここの整理整頓を行いました。
バスから出てきたのは臨時雇いの作業員です。
週末も彼らが協力してやってくれました。

あとは、外に出ている荷物をみんなで中に仕舞えば終了です。
作業場のロケーションが変わっていますので、後でお渡しするマップを確認しながらしまう様にして下さい。

経営者の方は、何と土日を使って大胆にも職場を大掃除していたんですね。
彼が作業場の中を覗くと、それはもう綺麗に整頓されていたそうです。
そしてもちろん、例のスペースは綺麗さっぱり無くなっていました。

その説明を聞いた後、例の派遣は経営者に突っかかっていったそうです。


自分のスペースが無くなっている。
どうしてくれる?在庫の管理がメチャクチャになってしまったぞ!
これで在庫数に問題があったらアンタの責任だぞ!


ってな事をまくし立てたらしいんですが、経営者の方はですね、



在庫数はこの週末で彼らと一緒に全てを棚卸して確認済みだ。
問題はない。
ただ、明らかに君に任せていた部分の在庫には大きい数字の狂いがあるのは問題だ。


と、言ったそうです。

それを聞くなり、例の派遣は目を丸くして押し黙ったようです。

そして、経営者さんはバスから降りたスタッフの中で、背広を着た人を呼び寄せたんです。
その人は、例の派遣が所属している派遣会社の責任者でした。

そして彼のいる前で、彼のやっていた横暴な振る舞いと、そして担当している商品の在庫数が合わない事を言及し、命令に背いた上に業務上の横領の可能性がある、と言い放ったそうです。

その責任者は平身低頭で押し黙り、苦虫を嚙みつぶしたような顔をしていたそう
です。

経営者の方は書類を取り出して、そこに書かれている棚卸しによって炙り出された在庫の誤差による損害を説明したそうです。
その金額は100万を超えていたそうです。
責任者の方の脂汗に塗れた顔は益々渋くなり、眉間のシワの刻みが深まったそう
です。

そして、責任者の方は、その損害についての責任を認めて謝罪したそうです。
経営者の方もその態度に納得し、警察や法的な手段については納めると話したそうですが、しかし、例の派遣、その目の前で責任者とのやりとりを一部始終見ていたその派遣に関しては今すぐに引き取れ、そして同時にあなた達との契約は終わりにすると言ったそうです。

責任者の方は、改めて深々と頭を下げるなり、その例の派遣を連れて帰ったそう
です。
彼はその、責任者の方が例の派遣を連れて行くときの目が、本当に印象的だったと言っています。
まさに鬼の形相だった、とのことでした。

そしてその後、残っている例の派遣会社から来ている作業員に封筒を渡して、
今所属している派遣とはもう契約を切るので、もしここで勤務を続けたい人が
いれば私と面接後、うちで直接雇用したいのでその書類に目を通して欲しい、と
説明したそうです。

そのあと皆んなで片付けを終えたあと、全員を集めて経営者の方はこんな事を
言ったそうです。


私がこちらへ挨拶に来るのが遅れてしまい申し訳ありませんでした。
その間に、どうにも色々とあったようで、ご負担を掛けました。
これからはそのようなことがないようにします。

しかし、出来ればですね、こういうことはまず私へ報告をして欲しいです。
何かあった時は、何よりもその責任者である私への報告があるべきだと思います。

まぁしかし挨拶が遅れた私にも非がある訳ですから仕方ありませんが、今後はすぐに報告をお願いしますね。


と、お話しされてそうです。
彼はその話を大変恐縮して聞いていたそうです。
そりゃそうですね、これは彼に言っているようなものですからね。

そしてその後は経営者の方も自分の事務所を現場に移し、しっかりと現場の管理の目が行き届くようになり、真面目に働く人たちはとても過ごし易くなったそう
です。
改めて契約し直した人たちも、直接雇用になったおかげで時給も上がり出退勤の
報告の必要も無いので働き易くなり喜んだそうです。
もちろんですが、例の派遣の派閥に居た連中は全員契約を切られたそうです。



こういう話を聞きましてね、つくづく思いましたね
やっぱりですね、ちょっとでもおかしな奴を身内に入れたり、仲良くしてしまうとロクなことにならないな、って
そういう輩はですね、本当にどこにでも居るんですね
そして変に優しくするとすぐに付け上がって調子に乗るんです
軒先貸して母屋取られる、って奴です
人の優しさとか、親切というものに一切の感謝をしない連中です
嫌なもんですが、本当にどこにでも居ます
本当にイヤですね
こういう連中はですね、親切とか優しさというものを、単に自分の損得としか
考えないんですね
自分に得になるぜ、やったぜ、としか考えないんですよ
これは本当にイヤですね。ていうか殆どのただのガキ、いや言葉通り餓鬼です
よね。本当に人として扱うのは難しいですよね
動物、獣です
こういう奴を、普通の人のように扱う事は非常に危険なんですね
残念ながら、この話を聞かせてくれた彼にはそこを見抜いて対処する能力が
無かったんですね
良い人なんですが
それで食い物にされてしまったんです

ですからね、優しいだけではダメなんですよ
正しい気持ちとか、正しい事をキチンと成す力が必要なんですね
正しい知恵ですね、これが必要なんですね

あぁ、時間になっちゃいましたね
では最後に、曲を聴きながらお別れしましょう

マハラージャンで『くらえ!テレパシー』

それではまた、来週もこのお時間に、みなさんの

【カメオの共鳴】シリーズ 第2篇

「耳で逢いましょう」


終わり



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