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短編小説 「20年前から、大好きだった君へ」


 二十年前から、大好きだった君へ。


 二十年前、小学生だった君はとても小学生とは思えないくらい背が高く、容姿端麗だった君は学校の注目の的でしたね。今でも君が街を歩けば、みんなが二度見をするような注目の的です。


 僕は君に出会った頃から君の事が好きで、君に会うために学校に行って、君によく思われたいがために必死に勉強をして、六年間学校で成績一位を取り続けました。


 小学生というのはテストの成績が一位ってなだけで女の子からもてはやされるものです。君もその一人で僕はいつも楽しく、優越感に満たされていました。


 だけど、中学生になると成績が良いというだけでは、女の子は僕をもてはやさなくなりました、君もその一人です。君の事が大好きなのに、君は成績が悪い、ガラの悪そうなサッカー部の男の子と付き合うようになって、僕の方を見向きもしなくなりました。


 僕は君に振り向いてもらおうと必死に勉強して、中学校でも成績一位を取り続けましたが、それでも君は振り向いてはくれませんでした。振り向いてくれたのは僕を妬む、生徒達でした。


 僕は中学校を卒業する頃にようやく、女の子はテストの成績だけで男を見てるんじゃないと気づきいて、絶望しました。今まで僕は君に振り向いてもらおうと必死に勉強してきたのに、それが全て無意味だった。


 僕は君と同じ高校へ入学しましたが、そこでは勉強はろくにせずに、ずっと友達と麻雀ばかりやっていました。中学校では優等生だったのに、高校では劣等生でした。ですが、高校二年生を終える頃、君にぶたれ、言われた言葉があります。


「どうして、勉強しないの?勉強してるあなたが好きなのに。」



 僕はぶたれて、言われ、ようやく目が覚めました。君は僕をずっと見ていてくれたのに、僕が気づかずにいて、勝手に不貞腐れていたんだと。僕はそれから猛勉強を始めて、日本一の大学に入学しました。


 大学を卒業して、お互い就職をしたタイミングで君に告白をして、君と付き合う事になってからは僕は幸せです。


 二十七になった君は少し太って、小学生だったあの頃の面影は薄くなりましたが、僕は変わらず君が大好きです。


 二十年前から今も君が大好きです。


 終わり。

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