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恋愛短編小説 「告白はいかがですか」


タクトはいつものように、ミヤコの姿を遠くから見ていた。彼女の明るい笑顔、友達と楽しそうに話している様子に、タクトはただ見惚れているだけだった。好きになってから、もう何ヶ月が経とうとしているが、彼の恥ずかしさはまったく薄れることがない。いつも通り、彼女の近くに行くと、言葉が出てこなくなってしまう。

「タクト、おはよう!」突然、明るい声が彼の背後から聞こえた。振り向くと、そこには黒髪ロングの前髪ぱっつんのミヤコが立っていた。

「お、おはよう…」タクトは声を出すのがやっとだった。彼の心臓はまるでドラムのように激しく鳴っていた。

「今日もいい天気だね。勉強は進んでる?」ミヤコは気になる彼に話しかけようと、常に努力していた。

「いや、特に……」タクトはさらに言葉を失ってしまった。このままではいけないと思いつつも、彼はなかなかうまく話せない。

そんな中、放課後がやってきた。タクトはずっと考えていた。今日こそは、ミヤコに自分から話しかけてみようと。しかし、勇気を出して彼女のもとへ行くと、ミヤコは既に友達と話し込んでいた。

「あの……ミヤコ?」タクトは一歩踏み出そうとしたが、声は小さすぎて彼女には届かなかった。

その日の夜、タクトは自分自身と格闘していた。「どうして僕はこんなにも臆病なんだろう……」彼は悔やんだ。そして、彼は決心した。「明日こそは、ちゃんと話しかけるんだ」

翌日、タクトは少し早めに学校へと向かった。今日こそはと、自分に言い聞かせる。そして、ミヤコが現れた時、彼は深呼吸をして、一歩を踏み出した。

「ミヤコ!今日、放課後……ちょっといい?」彼の声はいつもより少し大きかった。

ミヤコは少し驚いた顔をしたが、すぐに笑顔に変わった。「うん、いいよ。どうしたの?」

その日の放課後、二人は学校の裏庭にいた。少し緊張しているタクトと、彼の話を待つミヤコ。

タクトは勇気を出して、彼女に自分の気持ちを伝えた。「実は……ずっと前から、ミヤコのことが好きだったんだ。」

ミヤコは少し驚いていたが、すぐに優しい表情を見せ、「ありがとう、タクト君。私も、実は……」

その瞬間、二人の間にあった距離は縮まり、新たな始まりが生まれた。

タクトは自分の無口な性格を乗り越え、ついに心を開いた。そして、ミヤコもまた、彼の真剣な想いに応えた。

恥ずかしさを乗り越えたその瞬間、二人の関係は一歩前へと進んだのだった。




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