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時間を楽しむフィルムカメラライフ

ミラーレスカメラが主流になってきたカメラ業界で、いまだにフィルムカメラを使っている人が聞かれる質問が「フィルムカメラの何が楽しいの?」ってことだと思う。
ボク自身も通常の35mmフィルムやもっと大きな中判フィルムを使っているから、他の人にそんな質問をされる以上に自分自身で考え悩むことが多い。

CONTAX Aria + Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4 + Kodac colorplus200

写真が撮れているのかすぐに確認できないし、写真が出来上がるまで時間がかかる。さらに最近はフィルム代が高くなったし種類も少なくなってしまった。現像代も値上がりする一方。
それでも僕がフィルムカメラを撮り続けるのかを一回整理してみた。


CONTAX Aria + Carl Zeiss Plana T*50mm F1.4 + Kodac Ultramax

きれいに撮ろうと思ったらデジタルカメラの方が撮れるかもしれない。撮ってすぐにSNSにアップすることができるしRAWデータで撮れば夜を昼の景色にすることもできる。
それでもボクは今でもフィルムカメラを手放すことはできないし、デジタルカメラとフィルムカメラの2台持ちで京都とかに出かけてしまう。非効率なことはよくわかっているんだけどデジタルカメラ一台で出かけることがちょっと寂しいと思ってしまう自分がいる。


VSCOのフィルターのような

Hasselblad 500CM + Carl Zeiss Planar 80mm F2.8 C + FUJIFILM Pro 160 NS

フィルム特有の描写があるのは間違いなくて、でも大概それは露出ミスのシーンが多いんじゃないかな。暗すぎたり明るすぎたり。もしくはレンズに逆光が入って盛大にフレアやゴーストが出ていたり。
デジカメだといわゆる「失敗」って言われるような写真がなぜかフィルムカメラで撮影すると「味」に変化してしまう。

Hasselblad 500CM + Carl Zeiss Planar 80mm F2.8 C + FUJIFILM Pro400H

ボクはそれは例えばVSCOやインスタのフィルターのようなものだと思ってる。スマホで撮った写真にフィルターをかけてSNSにアップするような感覚でフィルムカメラで撮った時の雰囲気を楽しんでいる自分がいる。
特にデジタルカメラと併用して撮った時はデジタル写真の味気のないこと。

フィルムカメラはもっとライトに楽しめばいいし、フィルムっぽいフィルターをフィルムカメラを使うことで一発で手に入れることができるんだから使わない手はない。


記憶をカタチに

Olympus OM10 + ZUIKO 75-200mm F4 + Kodac Ektar100

ボクは普通の人よりはたくさん写真を撮る方だけど、ボクのデスク周りにあるのは低い唸り声を上げつつブルーのLEDが常時チカチカしているブラックボックスだけ。そうデジタルカメラで撮影したデータが保存されているHDDが無造作に置かれて、その低周波振動が存在感を主張してる。

27インチのディスプレイはAmazonPhotoがおすすめしてくれるボクが撮った写真をスライドショーで映してくれるけどボクの手元には何も残らない。どれだけ撮ったのか、どれだけの没写真があったのか、失敗作の向こうで彼女はどんな顔をしていたのか。

CONTAX Aria + Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4 + FUJIFILM 業務用100

フィルムカメラはネガとして物質が残る。プリントしなかったりデータ化しなかったりで必ずしもカタチにならないカットもあるかもしれないけど、ネガとしてボクのフィルム収納の中で存在している。
プリントするのはデジタルもフィルムも一緒でしょ?って思う人はいるかもしれないけど、圧倒的にフィルムの方がプリントのハードルが低いんだよ。
まず撮った枚数がデジタルに比べて圧倒的にフィルムは少ない。35mmフィルムだと1本で36枚、ブローニーだと10枚から12枚くらいかな。枚数が少ないということはプリントする写真を選別するフローがなくなる。つまりこの世に出てくる確率が圧倒的に高くなるんだな。


宝くじのような楽しみ方

Hasselblad 500CM + Carl Zeiss Planar 80mm F2.8 C + FUJIFILM Pro400H

フィルムカメラはシャッターを押したからといってすぐに写真を見ることができない。
36枚の写真を全て撮り終えて、後日現像所へ写真の現像とプリント(もしくはデータ化)をお願いしないとどんなものが撮れているのか確認できない。ボクは費用を抑えるためにフィルムを郵送して現像してもらってるんだけど、送料を抑えるために10本以上まとめて現像に出しているから、撮った写真を確認するまでさらに時間がかかってしまう。

それはデジタルに比べたらフィルムのデメリットではあるんだけど、ボクは同時にフィルムのメリットでもあると思ってる。
現像が出来上がるまでのワクワク感まで含めてフィルムの撮影の醍醐味じゃないかな。

CONTAX Aria + Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4 + FUJIFILM 業務用100 

こんなことを言うと強がっているんじゃないの?とかカッコつけてるんじゃないの?とか言う人もいるかもしれないけど、その楽しみ方は宝くじを想像してもらえればわかりやすいかな?

ジャンボ宝くじはその当選金額の大きさもあって大人気の宝くじだけど、フィルムカメラで撮影するのは宝くじを買って当選しているかワクワクしながら発表を待つ気持ちと似た部分がある。
デジタルカメラはスクラッチくじみたいなものかな?ハズレくじはすぐにゴミ箱に捨ててしまうけど、ジャンボ宝くじって300円が当選してたとしても換金せずに外れくじと合わせて持ってたりしない?もしくはちょっと捨てにくい感覚っていうのかな?数週間から数ヶ月、自分の財布の中で一緒な時間を過ごしたくじを簡単に手放せないような、そんな感覚がフィルムにあるような気がする。
そんなフィルムカメラは、まさに時間を楽しむ道具なんじゃないかな。

Olympus OM10 + ZUIKO 50mm F1.4 + Kodac colorplus200

よく考えてみるとフィルムカメラは、撮影する時からその時間を楽しむような道具。
一本のフィルムでシャッターは36回しかきれない。その後は裏ふたを開けてフィルム交換しないといけない。一枚に36枚しか撮影できないSDカードを使うことを想像してみると手間がかかるのがよくわかるよね。
(確か GRの内蔵メモリを使うとフィルムと同じくらいの写真枚数しか撮れないんだっけ?)

ちょっと古いフィルムカメラになるとAFが付いてなくて、マニュアルでフォーカスも合わさないといけないからより手間がかかるよね。さらにたくさん撮れないから構図もじっくり決めてから慎重にシャッターボタンを押すからものすごく時間がかかる。
シャッターボタンを押した後に「よしっ」て声が出ちゃうくらい時間がかかっちゃう。

ボクがおすすめするのはやっぱりフィルムカメラとデジタルカメラを両方使うこと。どちらのメリットも享受しながら楽しめる。フィルム価格も高騰しているからフィルムカメラ2+デジタルカメラ8くらいで楽しむのが一番いいバランスなんじゃないかな。

人それぞれのフィルムライフを楽しんでもらいたけど、なんとなくでフィルムカメラを毛嫌いしている人は安い中古フィルムカメラを一台買って楽しんでみたらどうなかって思うよ。


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