〈残 寒〉
真っ青な切岸を降りてくる
星のもとに生まれた
巻き付く夏の身体(からだ)なのだ
その芯まで震えるような
冷気を吐き
南海の天頂から
放たれた稲妻を
かわし
塩辛い銀の声で
快楽(けらく)の
来迎を謳う
ああ
愛するひとよ
夕べの
寒い
昏倒は
いかな
RIZINの
化身でも
予期はできまい
真っ青な切岸を降りてくる
星のもとに生まれたから
いまこの
汚れた
黒い
掌を返し
きみは
明日の儚い命運を
一つの
諧謔のように
やり過ごす
真っ青な切岸を
いま
いっさんに
降りてゆく
遠い日に
死んだ
愛
あの残寒を抱きしめて
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