〈11月のラブソング〉
やはり
ストームは
西から
やって来る
奏でる
譜面は
ニ短調
セクシーな
きみの
チェロの
腰が冷える
世界の
あらゆる
屈折した気持ちが
乱れたリズムを
刻み
むくわれなかった
恋人への
想いは
夜霧に霞む
月夜の猫の
暖かい毛の中に
隠すのだ
紅色に
焼ける空を
流れる
優しい
ピンク色の雲を
連れて
もうすぐ
今年の秋が
行ってしまう
愛しい気持ちを
薄刃の
鎌の
三日月にかけて
11月の空を
野太い声で鳴く
あの雁たちのように
優雅に
渡っていきたい
今日から明日へ
明日からさらに
その先の未来へ
砂を噛むような
此岸から
紅蓮の炎の
走る
彼岸まで
あなたに
ついて行きたかった
この
数千年の
懸想
その想いを
いまこそ
あなたに
告げて
潔白な
この冬に
入る
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