見出し画像

海外スタッフ教育の失敗談とその対策

海外ビジネスにおける重要な要素の一つに、現地スタッフの教育と巻き込み方があります。現地スタッフがビジネス展開の核となるため、ローカライズを行うには彼らを巻き込むことが不可欠です。
僕は、タイやフィリピンで東南アジア拠点立ち上げに参画した経験があり、当時の自分や今同じような環境の人に向けて今回いろいろと失敗談とその解決策と共有したいと思います。

海外ビジネスの経験

僕は、タイで東南アジア拠点立ち上げが初めてでしたが、それまでに外資系企業で勤めていたため、日本以外の国や地域の同僚とプロジェクトを進めたり、マネージメントの経験がありました。そのため、立ち上げ時にはある程度の自信がありましたが、すぐに不安になりました。
僕が接してきたのは、外資で働く人たちや海外で駐在員として働く人たちで、グローバルなマインドセットを持っている人たちばかりでした。しかし、現地スタッフは優秀ではあるものの、英語が不得意な人たちであることに気づきました。そのため、改めて現地スタッフのマネージメントに関して、経験者に相談してアドバイスを受けました。今回は、僕が失敗から学んだことを含めて、海外、特に東南アジアでの現地スタッフマネージメントのDo’s & Don’tsを紹介します。

同じスタートラインに立つ

販売戦略やブランディング戦略を考えるのは容易いですが、やはり現地の文化や習慣に合わせる必要があります。そのためにも現地スタッフとのコミュニケーションやディスカッションが必要不可欠です。しかし、商材や業界の理解度に差があり、また役割も異なるため、全員で席について議題に関して進めるのは効果的ではないと判断しました。
そこでまずはフレームワークを使い、全員が同じスタートラインに立てるようにし、そこから議論を始めることにしました。
なぜフレームワークを使うのかというと、今後のアップデートや新しい議題でもフレームワークを共通言語として使えば、話し合いを円滑に進められるからです。

■会社のミッション・ビジョンの確認

本社のミッション・ビジョンがすでにあったため、それを全員が「知っている」から「理解している」まで落とし込みました。

■SWOT分析

(S) Strength 強み (W) Weakness 弱み (O) Opportunity 機会 (T) Threat 脅威  自社の競争力を4つの要素から評価し、戦略を立てます。マーケティング基礎のキーですが、当時の現地スタッフは自分たちが働いている会社に関してそこまで考える機会がなく、ワークショップの最初の方では発言が少なかったですが、慣れてくると意見が飛び交い、白熱した議論ができました。これにより、自社に関してより深く理解を深めることができました。

■STP分析

(S) Segmentation 市場を細分化 (T) Targeting ターゲットを決定 (P) Positioning 自社の立ち位置を明確化

SWOT分析により、自社の強みや弱み、市場や競合についての理解を深め、自社が取るべきポジションについてじっくり話し合うことで、共通の理解を得ることができました。この基本的なフレームワークを実行することにより、全員が自社について同じ認識を持ち、今後の戦略を立てる際にも軸がブレることがありません。これにより、全員が同じスタートラインに立つことができます。

■グループディスカッション

このワークショップには総務チーム、セールス、マーケティングなど全部署で行い、最後に全員で各部署の取り組みについて話し合いました。会社を理解し、市場や競合を分析し、自社の目標を決め、各部署がそれに向けてどのように取り組むかを具体的に落とし込みました。

その後は定例会議で、各部署がどの程度目標を達成できたか、どのような課題があるかを共有し、それに関する解決策を話し合いました。

このフレームワークを経験することで、共通言語ができ、方向性も揃うため、マネジメントが円滑に進むと思います。

モチベーションの持続方法

国によってはマネジメントの方法が異なるため、東南アジアでのマネジメント経験豊富な方々にヒアリングを行ったところ、人前での注意はNGであるというアドバイスを得ました。近年は、国内の新卒スタッフマネジメントでも同様かもしれません。
注意が必要な場合は、1対1の環境を作り、そこで説明する必要があります。僕はよく、ランチに誘い、そこでスタッフの状況などをヒアリングした後でこちらの要望を伝えるようにしています。一方的にこちらの意見を述べるのではなく、なぜそのような状況になったのかを確認することで予防策を準備できるようにしています。
スタッフのモチベーションを上げるもう一つの方法は、褒め方です。褒め方には様々な種類がありますが、褒める時には以下の3つの点に注意しました。

■直接、当事者を褒める

人は褒められて嬉しいと思います。成果が出た時や、良い発言をした時などは意識して褒めるようにしました。もちろん、何でも褒めると価値が薄まるため、適切な時に褒めるように心がけました。

■人前で褒める

本人に直接褒めるのも重要ですが、会議などで功績を褒めることも意識しました。スタッフの承認欲求を満たし、次への活力となるように人前で褒めることも重要です。

■人づてに褒められて事を聞く

最後に人づてに聞く方法ですが、アンコントロールな部分もありますが、僕が褒めたことを他人から聞くことで、その対象のスタッフがいないところでもきちんと褒めることを意識しました。

この褒めることはスタッフにとっては喜ばしいことの反面、マネージメントする側には常にプレッシャーになります。常に褒められて嬉しい存在である必要があるからです。皆さんもそうだと思いますが、一目置いている存在の人に褒められるのと、そうでない人から褒められるのでは同じ言葉でも深みが違うと思います。常に前者でいられるよう、常に自分を律して先頭を引っ張る意識も養うことができるので良い習慣でした。

モチベーションを持続させる最後の方法としては成功体験です。当時僕が担当した東南アジアは、日本や諸外国より数年遅れていたため、タイムマシン経営でした。スタッフは今まで自分たちが経験したことがスタイルで、顧客へのアプローチはコンテンツ作りをするわけですが、不安もあり、半信半疑で進めているところもあると思います。

そこで、彼らに小さな成功体験をさせ不安を払拭させ、自信に変える必要があります。そのために、事前にお膳立てをし、簡単な至高体験をさせました。そして、その成功したことを上記に述べたように褒める。そのうちお膳立てなしでも自分たちでビジョンに向かって進んで行き、こちらも思いがけないアプローチやアイデアで自分たちで開拓していくようになりました。

小さなことで良いので成功体験をさせることで、未来に対する不安をワクワクに変えることができます。そのワクワクが彼らの次への探究心に変わるのを目の当たりするのがマネージャーとしては至福の時だと思います。

まとめ

フレームワークなどは、現地スタッフにとっては未来の仕方です。ですから、ただいきなり始めるのではなく、しっかりと説明をし、全員が議論できるレベルまで引き上げる必要があります。また、決定権は自分にあることを忘れずにおく必要があります。

以上、今となってみれば当たり前のことですが、当時の自分には知らなかったことです。

ここまで、読んでくださってありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?