ボールよ、くるな。

体育の授業が嫌いで、もちろんボールを使う球技などもあまり好きではなかった。
スポーツ観戦はそこまで嫌いではないが、集団行動を強制されることが好きではない。

だが、嫌いであっても授業には参加しないといけない。
特別な事情がない限り、授業を欠席されることは許されないし、せめて「授業、マジだるいわ〜」と言うぐらいしかできず、みんなの前で不良的な行動を行う勇気もない。
本当は体育の時間は苦痛で勝手に休んでやりたい気持ちだったが、やっぱりそこまで思い切った行動ができない。

人間1人では生きていけないし、どこかで世間と折り合いをつけて生きていけないことをすでに私は知っていたのか。

そんなわけで妥協して体育の授業に参加していたが、授業でチームをつくって試合する場合は、あまり動いたり活躍したりしなくても良さそうな地味なを選ぶようにしていた。

別に私はシュートを連発したり、みんなの前でキャーキャー騒がれたりするほど活躍したいわけではない。
誰かにカッコつけてアピールする必要性もないし、クラスのヒーローやヒロインになろうとなんて1ミリも考えていなかった。

大事なのは、この体育の授業の45〜50分ぐらいの時間をいかに苦労せずラクに乗り切れるかどうか。

バスケットボールの試合を授業でやった時、たまに何らかの間違いでテキトーにボールを上に投げたらシュートを入れてしまったことがあった。
そんなまぐれなことが一度あっただけで「おまえもやればできるじゃん!」と言われることがあり、私にパスが回ってくることがあったが、あれは本当にやめて欲しかった。。

基本的には試合中にボールを触りにいきたくない。

だから、仲間がパスをこちらにしてこないように影薄く動いたりしていた。

何らかの理由でこちらにパスが回ってきても、ほぼ8割がたはボールがきたことにパニックになってしまって身体が動かず敵にパスが回って敵の得点につながったりすることが多かった。
そんな時は体育の授業しか楽しみがないような人から
「おい、もっとちゃんと動けよ」
と、責められることも何度かあったわけで。。

小学校では勉強ができる人よりも運動ができる人の方が地位が高くイケてると思われている。

私は勉強はそこそこだったが、運動のセンスはなく体育の授業は本当に苦手だった。

ただ、後にフィットネスジムに通ったり山登りサークルに入ったりなどしていたので運動自体はそこまで嫌いではないことはわかったが、当時の体育の授業では集団行動を強制されることが多く本当に嫌いだった。集団の輪を乱す者や何かミスをする人がいれば責めたり笑い者にするような空気感があったから余計に嫌いだったのだろう。

それに、私は球技が全般的に得意ではない。
ボールがこちらに回ってきたらうまくパス回しができる確率は低いし、所詮体育の授業であってもミスをしたら責められることがあった。
小学校の体育の授業でこういう目にあったら、それ以降の体育の授業なんてトラウマで何も面白みが感じられない。

悔しいからと罵声を浴びせてきた奴等を見返すために練習してうまくなってやればいいかと思ったが、キツいトレーニングをして身体に負荷をかけるのは好きじゃない。

体育で球技をやる場合、チームに迷惑をかけることなくいかにラクに乗り切ってやろうかとばかり考えていたから、

「ボールよ、くるな」

「こっちにボールをまわしてくるなよ」

と、同じチームになったクラスメイトを思いっきり睨みつけていた。

これがテレビゲームでサッカーゲームをやった時も変わらない。何人かとゲームをした時に私にパスを回してくる人がいたが、「こっちにボールを回してくるなよ〜」と驚きとイライラと色んな感情が合わさるなか叫び、瞬時にBボタンを押して誰かに知らないがパスを回した。

「おい」と落胆したような声が聞こえたから、おそらくパスは敵に回った気がするが、私はその後は何も考えようとしなかったので知らない。

やっぱりテレビゲーム上でも球技をやるのは苦手で、できればやりたくない。

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