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読書note/生き方について

図書館で紹介するために、
本を借りることが多くなったなぁと思う。
提示されたテーマごとに借りてる本がたくさんある。
(個人的に読みたくて借りてる本もあるけど、仕事用の方が多い……)

そのなかで、
「働き方」について書かれた本を借りてみた。




『自分の仕事をつくる』を記した著者の第二弾。
今回は働き方というより、生き方についての本だった。1作目も読んでるけど、書かれていることはこっちの方が好きだな、と思った。

例えば、
自分の仕事の源がどこにあるのか、という話。


今はお客さんの立場でも、ずっとそのままでいられるかというとそんなことはない。というか、そうありたくない。
気持ちがザワザワする。落ち着かない。見たくない。悔しい。時にはその場から走り出したくさえなるような、本人にもわけのわからない持て余す感覚を感じている人は、そのことについて、ただお客さんではいられない人なんじゃないかと思う。
《略》
フライパンの上で弾けるポップコーンのように、次第に居ても立ってもいられなくなるのなら、その辺りには明らかになにか熱源があるのだろう。


なるほど、と唸りたくなる考察。
こういう「無視できないもの」って、
誰にでもあるんだろうな、と思う。
つまり〈夢〉と呼ばれるもの。

夢を追い続けるって、一見とても美しいけど、
自分自身に向き合うのはけっこう過酷だったりする。


わたしたちはつい思い通りにゆかない自分の現実や駄目っぷりにばかり注目して、情けなくなったり、滅入ったり、ヘコんだりするわけだが、まるで望ましくない自分のありさまにも価値はあって、それは自分の望みや求めの在処を示してくれることだと思う。
心の水面にさざ波が立つ時。それまで平坦だった気持ちに、プクッと微かな膨らみが生じる時。その下にはまだ現実化していないなにかがある。
それはほかでもない、自分だけの資産だ。


思い通りにいかないことも、
悩みも屈託もひっくるめて「自分だけの資産」だと断定する言葉に惹かれた。

好きだからこそ、自分のレベルに満足できないという気持ち。認められたいという葛藤。


そういうのって一方で苦しかったりするけれど、
「そう思える」ことが、その人らしさに繋がっていく。
悩んだり苦しんだり、うまくいかなかったりすることも、それ相応の価値があるんだって思えてくる。

それが自分の仕事に繋がっていくなら、
とても素敵だ。
自分の熱源が、そのまま「生きること」になっていくなら。


でも働くべきだとか、仕事の中に喜びを見いだすべきであるとは、まったく思わない。
人は、「より生きている」という実感に喜びをおぼえる。仕事はその感覚を得やすい媒体のひとつである、というだけのことだ。


学生の頃は、
大人になったら働くのが当たり前だと思ってた。
(今も、社会勉強として、一定期間働くのは大切な経験だと思う)

でも、
何十年も自分を殺して働くのは違う、と思う。


仕事って、
「やらなきゃいけないこと」だと思いがちだけど、きっとそうでもないんだろう。

早期退職とかFIREという言葉を最近よく聞くけれど、「自分を生かすやり方」が仕事じゃなくても良いんだと思う。
(たとえば他の何かでも)

仕事はそのひとつに過ぎない、
という考え方はあまりなくて新鮮だった。


僕は先に、お客さんでいられないこと、それだけではおさまらないようなことの足元に、一人ひとりの〈自分の仕事〉の鉱脈があるんじゃないかと書いた。他の人には任せたくないこと。思わず手がのびて、摑みにゆくような衝動が生じること。それは思考というより、存在から湧き上がってくる動きだ。


お金をもらわなくても、やりたいって思うこと。
時間を忘れられること。

そういう何かが、
その人をより「存在させる」んだと思う。

この本のなかにもあるけれど、
いわゆる天職というものは、
「好きなことと、得意なことと、大事だと思うこと」が重なるところにあるらしい。

仕事って、人生の大半を占めるものだから、
それが「自分を生かす」ものの方がいいんだろう。


転職を決めたときに見た、スティーブ・ジョブズの言葉がこの本にも載っていた。


「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定のことを私は本当にやりたいだろうか?」

それに対する答えがNoの日が続くなら、
変える必要がある、ということ。



本の冒頭にある、
「たぶん長い手紙のようなものになると思います」という著者の前書きも好きだった。


引用が長くなったけど、
自分の生き方や働き方を見直せる良書だと思う。


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