「何もしたくない」と、「何かしたい」は、同じかもしれない。
「何もしたくない」
そう呟いた言葉が、空を舞った。
「本当に何もしたくない」
別に言葉を吐いたって、誰かから返答が来ることもない。
この小さな部屋で、私は嘆いているだけだ。
何もしたくないと言いつつ、スマホを触り、どこか、何か、と探している。
何かをしていない自分に、落ち着かないのだ。
「ゲーム飽きてきたなぁ…」と呟いきながら切った電源ボタンを、翌日また押してみる。
そして何となく、またゲームをやる理由を探す。
なんとつまらない人間なんだろう。
・・・
ふと思い立った時に、何となく自撮りをする。
スマホに写る私はまるで別人のようだ。
顎のラインはシュッと引き締まり、目は大きく、肌は色白くきめ細かだ。
うん、まぁまぁ盛れたかな。
SNSにでもアップしよう。
「別にいいねがほしいわけじゃないけれど」
そっと心で保険をかけて送信する。
いいねを見て、少し胸をなで下ろす。
まだ必要とされているみたいだ。
まだ私はつまらない人間ではないらしい。
根拠のない言葉を繋いで、私はまた呟く。
「何もしたくないなぁ…」
お仕事中のドリンク代にさせていただきます。ちょっといい紅茶を買いたいです。