![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/9904355/rectangle_large_type_2_f9857960634fdd334135c30ea2e4c6ce.jpg?width=1200)
あの日、「私がいないとしたら」を繰り返した
ある日突然、思考が止まった。
動けない。眠れない。食べられない。
食べても味がわからない。
仕事に行きたくない。誰とも会いたくない。
幻聴・幻覚が止まらない。
そうなる数日前、私の中で1番長く活動していたコピーバンドが終わりを告げた。大成功で幕を閉じたと言っても過言ではないだろう。たくさんの人に囲まれて、とても楽しかった1日が終わって、フリーズしてしまった。
・人よりメンタルが弱い。
・すぐに情緒不安定になる。
・というか自分が世界一嫌い。
そんな3点セットが揃った私。いつ壊れてもおかしくなかったかもしれない。
通勤途中、横断歩道で信号待ちをしてると「あの車が突然突っ込んできて、私をひき殺してくれないかな」と思ってた。
そうなってしまうと、もう完全に思考が「死」だけに向かって働いていた。
職場にいても、家に帰っても地獄。街を歩けば人目が気になって心臓がバクバク音を立てて押しつぶされそうになる。元々自律神経失調症だから、まぁそんなこともあるだろうと思ってた。
流石に全く眠れなくなって、動悸を薬で抑える日々。とにかく助けて欲しくて、心療内科に駆け込んだ。
家庭のこと、仕事のこと、友人関係、恋人の話、色々したと思う。
「とりあえずたくさん眠ろうね。」
私がいかに辛いかを話して、担当医が放った言葉はそれだけだった。
短時間の睡眠薬も効かず、だんだん重い薬へと変わる。少しも良くなる気配がない。病院へ行っても、「最近どうですか?薬効いてますか?」とテンプレートのような言葉ばかり並べられて「あぁ、消えたい。」そんなことをずっと考えていた。その頃には、もうとっくに職場には行けなくなった。好きな音楽を聴くのも辛かった。とにかく誰にも会いたくなかった。
そんな私の転機になったのは、26歳の誕生日。たまたま連絡をした友達に言われた言葉で、会社もやめる準備をして、彼氏と別れ、ずっと住んでいた場所を離れることを決めた。
飛行機のチケットを1枚。
行き先だけが表示されたそれをお守りにした。
さよなら。さよなら。好きな人。
さよなら。さよなら。嫌いな街。
全部から解放される。
そう思った瞬間、ふと楽になった。
睡眠薬に頼らずとも眠れるようになっていった。ご飯も食べられるようになったし、閉ざされていた道が、再び輝きだした気がした。
ぐちゃぐちゃになった心をもう一度、自分でアイロンをかける。自分で自分に優しくできてなかった。逃げ道ふさいで、自分を追い込んでごめんね。そう思いながら、自分と向き合って時間をかけて大切にすることにした。
旅立つ日まで、毎日好きなことだけをすることにした。
・ライブに行く
・水族館に行く
・ピザ食べる
・たくさん友達に会う
周りの人のおかげで、全部達成できた。
悔いなく飛び立った。
・・・はずだった。
実は今日、5ヶ月ぶりに地元へ帰るから、大切な人に、あの時話せなかったこと、新しく住んでいるところを話そうと思う。
「何も言わずに出て行ってごめんね。」
ひとまず、大好きなバンドのライブを楽しもうか。大切な話はゆっくりするに限る。
もう少し、待っててね。
お仕事中のドリンク代にさせていただきます。ちょっといい紅茶を買いたいです。