「宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟」
こんばんは、東京は昨日の夜から冷たい雨が降っています。余りの疲労に仕事を一日休んだら、メンタル体力共にかなり浮上しまして、昨日BS12にて放送された「宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟」の録画を、のんびりと観ました。
「機動警察パトレイバー」のメカデザインなどで国際的アニメーターとして知られる出渕裕監督作品で、最近巷に溢れる「昭和のアニメを令和にリメイク」としては「銀河英雄伝説ジ・ノイエテーゼ」と並ぶ双璧ですかね。……ヒットせずという残念な面でも。
最初に「宇宙戦艦ヤマト」のアニメが、「ファイブスター物語」と同じく結城信輝キャラクターデザインで焼き直しされると知ったのが、多分10年前くらいだったと思います。それはもう、私達世代はリアルタイムでかつてのアニメ放送を知っていますから、特に主婦の友達が「古代進が小野大輔! 島大介が鈴村健一だと!?」と、結構Twitterにて盛り上がったりしたんですね。ちなみに大人気のデスラー総統は山寺宏一さん。
う〜ん、まあ正直言いますと「これ、私達昭和世代もお若い令和のアニメファンも、どっちにも人気出なさそう……」と、かなり微妙な仕上がりでして。
おそらく、若い青年メカアニメ好きにはこういう、萌え系の女の子を全面に出して製作したんだろうけど……、逆効果と言いますか、なんだかTwitterのフォロワーさんが「……知らねぇ女が一気に増えた……」「め、眼鏡女子?」と途端に引いちゃったんですね。
しかし、食べず嫌いなのは良くない! もしかしたら良作かもしれんじゃないか!と自分を奮い立たせて映画館に向かったんですけども。
「ダメだ……、もう私は二度とリメイク版には期待しない……」と、傷心のままに帰宅しました。もし同時期に「実写版銀魂、真選組動乱編」が公開されていなかったらメンタルは死んでたかも。
なるべくマイルドな表現でお伝えしたいんですけど、どうにもストーリーもキャラクターも古臭いんですね〜。物語も昭和からほぼ半世紀経過していて、私達視聴者も宇宙がかなり身近な存在になり、無重力空間での機械の限界やCGの安っぽい作画を知ってしまっている。
なので今回のBS12放送も「一応は、義務教育知識として観る」感覚でした。今回はデスラーもいなくて注目人物もいないし……、と思っていたら!
ガミラスの軍人、バーガー少佐の物語!
あ、あれっ!? この人前の映画で大口叩いていたけど呆気なくデスラー総統派閥に裏切られて消えちゃったじゃん!? 生きてたの!?
そう! 現在は吹き替えもアニメも仕事膨大でノリに乗っている声優、諏訪部順一さん演じるバーガーさん!! まさか彼を影の主役として表舞台に出してきて大成功するとは意外でした!!
「こんな結末、認められるかよ〜!」がすっかり座右の銘になってしまっているキャラクターで、てっきり噛ませ犬系とばかり。しかしこの人、諏訪部さんがTwitterにて結構出演告知をたくさん発しているんですね。きっと主演回が来るってご存知だったんでしょうけど。
「相変わらず、人間性完璧な古代進の主人公節炸裂なんだろうな」と想像していた「星巡る方舟」でしたが、軍人としてのキャリアも失い母星の上層部には裏切られ、愛する女性には先立たれて生きる気力を失ってる彼が、逆に非常に人間ドラマに厚みを持たせている!
既に軍人としての志を挫かれているバーガー少佐は、部下達と不思議な空間に引き摺り込まれて、同じく彷徨っていた古代進メンバーらと遭遇。謎のホテルにて、まるでポワロの推理小説の如く、彼ら異星人達は生物としての境目を超越し、いつしか友情を分かち合うように。
異次元空間を操る宇宙民族の能力に騙されて、古代進もバーガー少佐も違和感無く数日を同じ屋根の下で過ごします。しかしそれが幻影だと分かり、銃口を突きつけ合う。
でも、既にかつての上司達に見限られて戦争を放棄したバーガー少佐も、そして彼に友愛を感じる古代も撃てず、二人は襲いかかってきた艦隊とぶつかることに。お互いを信用して背中を任せ合う古代とバーガー。
いやはや、最近「機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ」のケネス役で、更に諏訪部順一さんに思い入れが深くなっている私としては、「バーガーさん、これは優しすぎてヤバいんじゃね?」とハラハラしっぱなし!
この人、本当に素晴らしい軍人なんですよ。かつて愛し合った女性と全く同じ顔と声を持つ美影にも優しく接するし。恋人の死ぬ過去の場面を夢で見せられて辛いのに……。
ヤマトの若い言語将校である美影が、何故かバーガーの亡き恋人に瓜二つという設定も謎のまま終わりましたが、「違う惑星の生命体が、種族を超えて理解しあえる」というなかなか味わい深い作品で、このレビューを書きながらまた繰り返し観ています。返って「宇宙戦艦ヤマトらしさ」を削ったからこその良作なのかもです。録画して本当に良かった! あんまりネタバレすると、作品の醍醐味が無くなってしまうんで控えますね。
しかしながら、「閃光のハサウェイ」や「fate/staynight unlimited brade works」のように、熱烈なファンが必死に限定版Blu-rayを予約する、というような勢いがあるわけではなくとても古風な、文芸的SFです。かつての竹宮惠子や萩尾望都の漫画に近いかな。配信やレンタル視聴で十分だと思います。「宇宙戦艦ヤマト」の令和テイストに興味ある方、Amazonプライムにてこの年末にいかがでしょう?
明日はもう勤労感謝の日ですね。今年もまた終わりが近づいてきました。寒くなる季節、皆様もお元気でお過ごし下さい!
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余りに豪華過ぎる声優陣がたくさんで、エンドロールを一時停止させながら観ました!