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フードデリバリーサービスのWolt(ウォルト)が強い理由

苦心惨憺(くしんさんたん)
→ 心をくだいて苦労を重ねること。

最近意識して使っているサービスがある。

フードデリバリーサービスのWolt(ウォルト)だ。

日本ではUber Eats(ウーバーイーツ)圧倒的な知名度が高いように思うが、Woltの文字が刻まれた青いバッグを背負ったドライバーを見かけたことがある人もいるだろう。

数々のフードデリバリーサービスが日本にやってきては撤退している中、しっかりとサービスを根づかせている。

その理由は自分たちがサービスを始めるにあたっても参考になるということで、Woltをよく使っている。

相次ぐフードデリバリーサービスの撤退

まずはピンクのパンダで知られる、foodpanda(フードパンダ)が2021年12月22日に日本からの撤退を発表した。

2020年9月にドイツから日本参入してから、わずか1年半での撤退が話題となった。

そして、DiDi Foodも2022年5月25日をもってサービスを終了することを発表している。

DiDi Foodは中国の滴滴出行のタクシー配車プラットフォームである、DiDi(ディディ)によるフードデリバリーサービスで、2020年5月から日本でサービスを展開してきた。

こちらもちょうど2年での撤退となったわけだ。

撤退理由は、いずれも日本市場での競合環境が著しく変化し、他社の参入増加したことや配達員の安定確保が困難になったことで、今後のビジネスに大きな影響を及ぼしたからだという。

そんな厳しい戦いの中で、Woltは着実にその地位を確立しつつある。

フードデリバリーサービスのWolt(ウォルト)ってなぁに?

Woltは、2015年にフィンランドのヘルシンキで10店舗の加盟レストランから、フードデリバリーサービスをスタートした。

その後、5年間でヨーロッパを中心に23ヶ国、129都市に拡大している。

日本では、2020年3月に広島での提供開始を皮切りに、10ヶ月で東京、札幌、仙台、岡山、福岡、盛岡、旭川、呉に展開。

2021年1月時点の発表では、日本国内の9都市、2,000レストランが加盟しており、今後数年でさらに数千店舗の新規加盟を目指しているという。

また2020年に、Woltはすでに世界で1,500以上の小売分野の店舗と提携している。

Wolt概要

  • 創業:2014年 フィンランド ヘルシンキ

  • サービス展開地域:23ヶ国129都市でフードデリバリー事業を展開

  • 登録ユーザ数:1,000万人以上

  • レストラン / 小売パートナー数:30,000以上

  • 従業員数:2,200名以上

  • 配達パートナー数:60,000名以上

  • アプリに対する評価:App Store 4.8 / 5, Google Play 4.7 / 5

  • 資金調達総額:8億5,600万ドル(約888億円)

受賞実績としては、2020年3月にFinancialTimes(イギリス)が選ぶ、Europe’s Fastest Growing Companies 2020で2位に選出された。

また、日経傘下メディアThe NextWebと国際的決済サービスAdyenが毎年開催する、ヨーロッパで最も熱いスタートアップ企業を選ぶショーケースTech5というのがある。

そのショーケースTech5で、2020年10月に最も有望なテクノロジースタートアップ企業の1位受賞している。

なぜWoltは着実にサービス展開ができているのか?

そもそも、Wolt(ウォルト)の創業の地であるフィンランドのヘルシンキは、低い人口密度や悪天候などによりフードデリバリーサービスにとって厳しい環境だ。

Woltはそんな環境下において効率的に配達を行うため、業界最高水準のアルゴリズムを持つ独自システムを採用している。

その結果、配達パートナーが効率的により多くの配達を行うことを実現しながら、平均30分程度と迅速な配達を行うということを徹底している。

それから、ユーザ、加盟レストラン、配達パートナーに対して、1分以内に返答を行うチャットサポートを提供している。

スピーディに問題解決を行うと同時に、集めたフィードバックによりサービスの改善を行うことによって、質の高い顧客体験を大切にしている。

加えて、Woltの配達パートナーは、交通安全ルール遵守などを含む適性テストに合格したパートナーのみで構成されていることで、ユーザやレストランが安心できるように設計されている。

レストランに北欧デザインのWoltオリジナル紙袋やお店がお客様への想いを綴れるThank you!カードを提供するという、幸せの国フィンランドのカルチャーも忘れていない。

Woltを使ってみるとわかるが、他のフードデリバリーサービスに比べて、サービスの質が高いと感じることが多い。

それは、質の高い顧客体験の提供という、Woltのミッションが反映されていることに他ならない。

Woltが日本で撤退していない理由

Woltの徹底している質の高い顧客体験の他に、Wolt(ウォルト)の優秀な点がある。

それは、日本のカルチャーをよく理解しているという点だ。

くり返すが、Woltは広島からサービスをスタートしている。

ビジネスマンなら聞いたことがある人も多いと思うが、日本でサービスを展開するなら広島と名古屋でテストマーケティングをするという法則がある。

実際、ここに根拠はないのだが、他にも静岡、金沢、札幌なども同様にいわれることがある。

その理由は、どの地域も人口や構成比率がうまい具合に全国の縮尺になっており、特殊な好みや志向が見られにくいことが挙げられる。

また、広告や流通などマーケティングに関連する事柄がその地域内である程度完結している、つまり、他の地域の影響をあまり受けていないことも理由の1つだ。

Woltの展開地域は、東京、札幌、仙台、岡山、福岡、盛岡、旭川、呉となっており、まさにこのあたりの進出の仕方が絶妙なのだ。

その根本には、創業の地であるフィンランドのヘルシンキというフードデリバリーを始めるには決して良いとはいえない環境でスタートしていることがあるだろう。

そこでの成功体験がなによりも大きいと個人的には感じている。

他のフードデリバリーサービスと比べても形だけでなく、なぜ他ではできないことができるのか、そのノウハウを持っているといえる。

それから、広島で飲食店をしている知人からの情報なのだが、その知人は日本では誰でも知っている飲食店をFCとして展開している。

感度の高い人なので、当然Woltにもレストラン側としての申請を出したそうだ。

ただ、その申請が通るまで約1年かかったという。

ここにWoltの気概を感じたのである。

日本でのサービスを展開するとなると、誰もが知っている飲食店であれば、是が非でも掲載して欲しいとなるのが、サービス運営側の本音だと思う。

ところが、そこに屈することなく、特別扱いすることなく通常の審査を行うあたりが、とても好感が持てた。

その後も、運営側からしばしば写真の載せ方やテキストの書き方等についての指導に近いコミュニケーションが続いているそうだ。

ユーザ側だけでなく、レストラン側のサポートの徹底をしているのが、Woltの最大の強みなのである。

まとめ

Woltから学ぶことは非常に多い。

それ故に最近のフードデリバリーは対応エリアでは、Woltを使うようにしているが、アプリのクオリティも高い。

待ち時間の表記やプッシュ通知のタイミングと表示のされ方など、細かいところのUIおよびUXにストレスがなく優れている。

また、待ち時間にはタップゲームができるようになっている遊び心もある。

新記録を出せば送料サービスがあるので、是非、Woltを使ったことがないという人は使ってみて欲しい。

このWoltは、stak, Inc.にとっても光となることを宣言しておこう。


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植田 振一郎 Twitter

株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。