ごちそうで、人々をより幸せに。事業を生み出し、新たな食のエコシステムと文化を創る開拓者の集団に―スターフェスティバル Interview #01 岸田祐介

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スターフェスティバルは、日本最大級のフードデリバリー総合モールを運営する会社です。掲げるビジョンは「新たな食文化を創造する」。フードデリバリーを通じてスターフェスティバルが創りたい食文化とは何なのか、その根底にある願いとは何なのかを、少しだけお話させてください。

インタビューシリーズ初回は、代表取締役CEO岸田祐介による創業から現在までのストーリー(前編)とスターフェスティバルが描く未来(後編)について語ります。

人々の食文化を豊かにする―10兆円規模の市場で挑むBtoBのフード・デリバリー

スターフェスティバルでは、飲食店が中食・デリバリーに参入するためのソリューション提供とオフィスで働く人々のための企業向けフード・デリバリーサービスの両軸で事業を展開しています。

すべての事業に関わるのは「飲食業者(レストラン)」、「運送業者(ドライバー)」、そして「労働者(オフィスワーカー)」。食事の選択肢が限られた勤務中のオフィスワーカーと店舗でしか商品を提供できていない食を提供するレストランをドライバーがつなぐことで、新たな食の価値を生み出すような仕組みを提供します。

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岸田 「食は人々の生活にとって必要不可欠なものです。人々がもっと健康的かつ効率的に『食』を楽しめないかと、私は日夜考えています。

さまざまなごちそうを楽しめる生活を当たり前にすることが、スターフェスティバルの目指す世界です。ITソリューションを活用しながら、日々の食の選択肢を増やすサービスを提供することで、人々をしあわせにしたいと願っています」

2020年現在、日本国内の飲食店は約80万店舗と言われています。そして、スターフェスティバルがターゲットとするオフィスで働く人々は約6,700万人。彼らが働く年間250日の営業日と、昼食の選択肢をすべて包括した市場規模は約10兆円です。海外にまで目を向ければ、その市場は広大に広がっています。

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UberEatsの成功をはじめ、デリバリー市場には近年注目が高まっています。スターフェスティバルは、このなかでまずBtoBの事業に集中して、サービスを幅広く展開することを選びました。世の中には多くのBtoCの成功事例もあるなかで、現在ではあえてBtoBの事業展開にこだわっています。

岸田 「新たな食文化を創造するためには、市場を取り巻く環境を抜本的に刷新する構造が必要です。また、それは関係者全てに利益を生み出し続け、仕組みとして継続していける『構造黒字』でなければなりません。そのため、私は事業展開に踏み切る時、必ず『構築したシステムに基づいて事業を展開していれば、必ず黒字になる状態を築けるか?』ということを自問します。

世の中には、BtoCの領域でも黒字を達成できている会社は確かにあります。しかしながら、そのほとんどはすでに自社で配送網を持っている飲食店をターゲットとして、その販路を広げる対価として手数料を得るようなビジネスモデルになっています。私たちは『配送網を自分たちで持っていないようなごく普通の町のレストランがデリバリーを始める』という世界観の実現を目指しています。そのためには、売上対配送コスト比率の低い、客単価の高いBtoBのビジネスとして展開することがこの事業の肝だと考えました。

どんな社会情勢にあっても食事へのニーズが途絶えることはありませんし、すべてのオフィスワーカーが仕事をできない状態も極めて考えづらいですよね。私たちは、あらゆる状況に対して常に食のソリューションを提供できるよう努めることで、どんな市場環境であっても、人々の食文化を豊かにし続けていける"企業としての強さ”を育ててきました」

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「今そこにないものを届けることが価値になる」と知った学生時代

今そこにないものを提供することで、人々のしあわせを創る。常に構造黒字にこだわった経営判断をする。岸田の経営スタイルは、過去の経験の積み重ねから紡がれたものです。経営の原体験は、大学時代に始めたアルバイト経験にありました。

岸田 「19歳の頃に大阪の宗右衛門町、道頓堀近くのカラオケボックスで歩合制の客引きバイトをしていました。団体客を引き入れようと街で声をかけたり、居酒屋に顔を出して飲み会の幹事と繋がったり自分なりの工夫を重ねていたんです。

夜の繁華街で働きアルバイトにも慣れてきた頃、どのお店もクローズする早朝に時間を持て余す人がたくさんいることに気がつきました。始発を待つ人や居酒屋のクローズ時間になっても飲み足りない人、夜のお仕事終わりで時間を持て余す人。そういう方々があともう少し楽しめる場を作れないかと考えるようになったのです。

『隙間となった時間をカラオケで過ごすという選択肢を提供できないか?』そう思った私は店長に営業時間の"延長"を提案し、自分で固定費の負担も含めた責任を持つことを条件に、今まで閉店時間だった朝5時から12時にもお店を稼働して、その時間帯の経営を任せてもらうことにしました。

『お客様に楽しんでいただける場を、非稼働時間を有効活用することで提供できれば、収益性の高いビジネスが実現できるのでは?』という仮説を元にした挑戦でしたが、結果、お店は大繁盛したんです。

お客様がオーダーしたお酒がない時は、近場の酒屋にその場で買いに行きました。急いで買ったドンペリを、『安く売ってくれてありがとう』と何倍もの金額で購入して喜ぶお客さんの姿を見て、衝撃が走りました。ニーズを理解して、適切なタイミングで必要とされているサービスを提供する。そこに付加価値がつく。これが商売なんだ、と実感した瞬間でした」

ビジネスの面白さを追求しようと大学を退学した矢先、次に岸田が出会ったのは、当時まだ社会に浸透していなかった“インターネット”でした。

岸田 「何か自らビジネスをはじめたい、という思いで百貨店で不要になったハイブランドのリボンや海外から輸入される時に使う高級ダンボールを入手して、それをインターネットで販売し始めました。結果は大成功で当時勤めていた本業の収入よりも売上を生み出すようになったんです。

ある場所では要らないと言われるものを、インターネットを通じて必要な人に届けられて、そこに価値が生まれる。その可能性を信じた私は、IT企業への就職を考えました」

大学を中退し、求められるPCスキルもない中で飛び込んだのは、まだ当時は名が知られていなかった楽天です。岸田はここで『30歳になったら起業する』という目標を立てました。

食×インターネット×黒字―楽天の経験がスターフェスティバルの原型へ

岸田 「私の楽天での経験は、スターフェスティバル誕生に深く関わっています。

就職後すぐ、私は出前店ショッピングモールの立ち上げを経験します。従来チラシなどを通じてしか頼めなかった出前を、インターネットで比較して注文できるようになったら便利だね、というサービスで、のちの『楽天デリバリー』です。このサービスの営業活動を進めるなかで知ったことは、そもそも出前ができる飲食店のリストが存在しないことです。

当時は各店舗がホームページを持っている時代ではなかったので、調べてリスト化することすら難しい状態でした。飲食店自体のリストは豊富なのに、デリバリー対応店に関しては誰もデータベースを作っていない。のちの自身のデリバリー事業のアイデアともつながる、非常に強く印象に残る発見でした。

そして、みずから手を挙げて楽天イーグルスの立ち上げに関わったことも、私に大きな影響を与えています。楽天イーグルスは、球場も監督も選手もいない状態でしたが、球団の経営陣は『初年度から黒字を出す』という非常に高い目標を掲げていました。

実は、球団のほとんどは構造赤字です。球団を持ち、球場を借りて練習や試合をするだけでどんどん赤字になってしまう。この構造を変えなければ、チームは黒字化のミッションをクリアできませんでした。

そこで、ミッションクリアのためにイーグルスが目をつけたのは球団でなく、球場でした。球団だけで構造黒字を作り出すことは難しいですが、球場と球団の一体経営をすることで、黒字化達成の道筋を立てました。

当時高校野球に使われていた球場を無料で譲渡してもらうところからはじめましたが、前例がないことでもあったので周囲には「無茶だ」「不可能だ」と言われる始末。しかし、チームとしてはあらゆる手段を検討した結果に導き出した答えだったので、構造黒字化の確信がありました。

チーム全員の『なんでもやってやる』という気概もあり、球場と球団の一体化経営は無事成功し、プロ野球界では真新しい仕組みで初年度からの黒字を達成しました。私が今でも構造黒字にこだわる理由は、この構造自体を変えることの重要性を感じた経験からです。さらにスターフェスティバルの『やってやれんことはない』というバリューも、ここから生まれています。

怒涛の数年間はあっという間に過ぎ、みずからが誓った起業の年が迫ってきました。楽天でのキャリアを続けたい気持ちを断ち切り、楽天時代の上司で、当時エンジェル投資家として歩み始めていた小澤隆生氏のもとで“丁稚奉公(でっちぼうこう)”をしながら、事業内容を模索する日々を始めます。


岸田 「色々な事業を検討しましたが、楽天デリバリーや楽天イーグルスの立ち上げ経験もあったので、飲食産業で何かやりたいと考えていました。しかし、レストランを経営するには初期投資が大きくかかります。シェフでもなく、経営の経験もない自分が借金をして始めるにはリスクが大きい。方向性を模索する中で、小澤さんの家の軒先を借りてお弁当屋をやってみる、という話が出たのです。

結果的にその話は途中でなくなってしまったのですが、実際に検討を進める過程で、お弁当を自分で作らず工場に依頼して、宅配も外注して、自分たちは商品の企画とネットを活用した集客に注力するほうがよいのではないかと考えるに至りました。今振り返れば、商売の中で感じたインターネットの可能性と、楽天デリバリーや楽天イーグルスの立ち上げ経験が掛け合わさって生まれた発想だったなと思います。
そこで、オンラインで受注して弁当を届ける実店舗なしの弁当屋「南青山惣助」をオープンしたのです。

ワンルームで始めた弁当屋でしたが、構造黒字化を模索する中でBtoBに特化したフードデリバリー事業へと進化し、数カ月で急速に売上が成長。今のスターフェスティバルの原型がこのとき作られました。

岸田 「私は市場分析の重要性も考えつつ、思い立ったらとにかく始めてみるようにしています。できる限りスモールスタートで、潜在的課題を解決するアイデアを形にしてみる。それを『構造黒字』にできるとわかれば、前に突き進みます」

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経験から築かれたビジネスは揺るぎない

インターネットで受注した弁当を飲食店から仕入れ、配達する。この事業モデルは、飲食店の空いたリソース、顧客のニーズ双方を満たすことができます。

この基盤から、会議やイベント向けの弁当宅配サービス「ごちクル」や、オフィス内まで日替わりの弁当を届けるサービス「シャショクル」などが生まれました。またそれに加え、飲食店が中食やデリバリーに参入するためのソリューションを提供する「スタートデリバリー」や流通網を生かした配送シェアサービス「スタロジ」など、事業を展開する中で派生して生まれた新しい事業も育ってきています。

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手を挙げ 挑戦せよ

最速で最高をめざせ

やってやれんことはない


これが、スターフェスティバルのバリューです。岸田の経験に基づいた価値観と経営指針からにじみ出たものを反映しています。

岸田 「私たちのビジョンは”新たな食文化を創造する”ことです。ITによって産業構造を変革し、新たな食文化を創造する。美味しい食事の機会を増やし、人々の生活をより豊かにする。そのビジョンを実現するために、一人一人が手を挙げ、挑戦し、今も進化し続けています。まだまだできることはある。やってやれんことはない。これまでの企業で働くワーカーたちへのBtoB領域における食の提供に関わらず、今後は人々の「ライフイベント」に寄り添うサービスの未来も描いています。

食に限らず、文化というものは長い時間と途方もない挑戦を経て浸透していくものです。それを変えていくビジネスに挑んでいるので、長く共に歩める仲間が必要不可欠です。

スケールの大きな夢を追うために、社員にはいつまでも目を輝かせて働いてほしいと願っています。だからこそ、自分の信じることややりたいことは率先して手を挙げ、挑戦してもらいたいです。かつて私が上司や先輩にしてもらったように、私も挑戦する人を全力で応援し、サポートしていきます」

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ごちそうで 人々を より 幸せに

この企業理念のもと、これからもスターフェスティバルは新しい事業を作り続けていきます。

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インタビュー後編では、スターフェスティバルの描く未来像についてお伝えしていきます。(近日アップ予定)

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