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「まずは会ってみる」ことから始めるユーザーインタビュー入門 〜SaaSプロダクトの場合〜

はじめまして、UIデザイナーのsugitomoです。AlphaDriveという会社でSaaSプロダクトのデザインとリサーチを務めています。

さて、この記事に目をとめてくださった方の中には「ユーザーインタビューをはじめたい!」でも「ユーザーインタビューってどうやるんだ?」「そもそも仮説も持てていない…」というところで悩み、立ち止まってしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ユーザーインタビューを始める前は、私たちのプロダクトチームも同じような状況でした。そんな中で、プロダクトチーム全員でのインタビューを習慣化し、現在ではインタビューをもとにした機能開発ができる体制も整いつつあります。

今回は「まずは会ってみる」ことにフォーカスして、知見のシェアを行いたいと思います!


インタビュー前夜 : ユーザーの顔が想像できない問題

ぼくが担当しているSaaSプロダクトであるIncubation Suiteは、外部の制作会社にデザイン・開発を委託する形でスタートしました。
リリースして1年ほど経過しサービス改善のスピードアップのため、社内メンバーによる開発体制へ移行することに。社内のデザイナーとエンジニアがアサインされ、内製でのプロダクト開発がスタートしました。

さて、満を持して(?)社内メンバーがプロダクトに直接関わる体制へと移行するも、ここで大きな問題が発生。デザイナーもエンジニアもプロダクトがどう使われているか、そもそもどんな人が使っているか全くわかりません。
プロダクトの対象が《公募型新規事業プログラムの管理》という複雑なサービスドメインであったこともあり、引き継ぎドキュメントはあれど取り組む課題や提供価値について実感もって理解できていない状態でした。

同タイミングでアサインされたBizDevメンバーから、顧客接点での体験をベースに情報共有を行ったものの「何を知るべきか?(=プロダクト開発のボトルネックになっている情報は何か?)」が不明瞭で、チームとして何をわかっていないかすらわからない状態に。
ドメインについてスペシャリストであるBizDevメンバーと、アサインされたばかりのデザイナー、エンジニアは同じ目線や基準を持てずにいました。

機能開発がスタートしても、この問題は解決できずにいました。ユーザー行動における「力学」が理解できていないので、BizDevメンバーから共有された以上のイメージができず、細かな確認や手戻りが多発。。。
開発の遅延に加えて、デザイナーやエンジニアからの改善提案も生まれにくいという課題に直面していました。

「まずはユーザーに会ってみる」

このままではどうにも開発が進まない……そこでイメージの起点として、まずはユーザーと会ってみることに。BizDevメンバーも情報共有の課題を感じていたため、この計画にはスムーズに合意できました。

この時点ではチームとしてのユーザーインタビュー経験はなく、また、ユーザーに対して明確な仮説を描ききれていませんでした。それでもまずは始めてみようということで「どんな人がどんなシーンでプロダクトを使っているのか」を知ることを目標にプロジェクトをスタートしました。

最初のユーザーインタビューは [①機能を一つずつ操作していただく] [②その機能をどんなシーンで利用しているか質問する] という進め方に。リサーチの設計としてはかなり粗いものでしたが、まずはユーザーと会い、プロダクト周辺の業務フローについて複数社から聞いていきました。

「まずはユーザーに会ってみる」ための仕組み

最初に設定したユーザーインタビュー後、ユーザー解像度が少しずつ上がっていく感覚が…!まずは数こなすことが重要だと判断し、継続的に機会を設けるべくチームで2つの取り組みを行いました。

(1) インタビュー日を先に抑える

チームメンバー全員の予定を都度確認し日程調整を行うことはかなり手間がかかるため、毎週木曜日11:00-12:00をインタビューの日と定めて時間を先に確保しました。
これによりインタビュー可能なユーザーに対して、BizDevやCSメンバーが内部の日程調整の手間なくインタビュー設定していくスタイルに変更することができました。

(2) まず会ってみる>精緻にインタビュー対象を選ぶ

インタビューを行ったことで、ユーザーの繁忙期やプロダクトの利用率が業務スケジュールに大きく影響されることがわかってきました。そのため、プロダクトを利用しフィードバックをもらいやすいタイミングを逃さないよう、まずはインタビューのセッティングを優先することにしました。
仮説に合わせてインタビュー対象を選定するのではなく、まずインタビューをセッティングし、相手にあわせて聞く項目をピックアップする形式で週一開催を習慣化しました。

ともにユーザーに向き合い、目線を揃える

インタビューを数回重ねた時点から、チーム内に徐々に変化が起きてきました。
アサインされた当初、ドメイン知識や職種のバラつきから目線を揃えてコミュニケーションすることができずにいました。しかし、インタビューを重ねる中で、ユーザーという向き合うべき共通の対象をもつことで、見据える先が揃いコミュニケーションがスムーズになりました。

また、チーム内の議論においても「前回のユーザーインタビューで『〇〇〇〇〇〇』という発言があったので、こっちの方がユーザーの認識に近いと思う」というように、実際のユーザーの声を活かしながらプロダクトの議論ができるようになりました。

おわりに

以上、Incubation Suiteにおける「まずは会ってみる」ことから始めるインタビューの幕開けについて書き連ねました。お時間をいただく相手に失礼にならないようには気を配りつつ、まずはチャレンジしてみるのが大事なのかなと思います。
ユーザーインタビューをはじめたい方々のお役に立てれば嬉しいです。また、快くインタビューに応じてくださったユーザーの皆さま本当にありがとうございます。

現在は、リサーチ計画のフォーマットについてもバージョンアップしているので、現在のインタビューについてはまた別の記事で〜〜👋


サムネイルデザイン:Yumiko Nakata
図版デザイン協力 : タカナユナ ( https://note.com/tktyn )

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