マガジンのカバー画像

読書感想文

61
読書感想文のまとめ
運営しているクリエイター

#読書

卍に吸い込まれし者たちの集い 〜谷崎潤一郎著「卍」のこと

――諸君、本日諸君にお集まりいただいたのは、他でもない、谷崎潤一郎の作品「卍」について語…

峰庭梟
4年前
11

謎の奥の謎を解け! ~ガストン・ルルー著「黄色い部屋の秘密」のこと

あらすじガストン・ルルーによるミステリの古典的名作の一つ、「黄色い部屋の秘密」。まずはこ…

峰庭梟
4年前
8

子どもたちの心に花のつぼみを 〜レイチェル・カーソン著「センス・オブ・ワンダー」…

数年前、桜が満開の頃の話です。 当時中学生だった甥っ子兄弟が帰省していたので、せっかくだ…

峰庭梟
4年前
3

人類史上最も人の悪口を言った男 ~ ラ・ロシュフコー著「運と気まぐれに支配される人…

「これほど、徹底して皮肉に、意地悪く、人間の悪口を言い続ける本は珍しい」 本書の訳者がは…

峰庭梟
4年前
15

絵空事でしかない「正しさ」 ~J.R.R.トールキン著「ホビットの冒険」のこと

あらすじ中つ国の辺境の村ホビット庄。そこには牧歌的な暮らしを好むホビットという身長120セ…

峰庭梟
4年前
11

雪のように冷たく、だけど雪のように美しい物語の話 ~佐々木丸美著「雪の断章」のこ…

札幌のとある公園。5歳の女の子、飛鳥は迷子になって途方に暮れていました。そこに現れたのが…

峰庭梟
4年前
5

僕の幸せとあなたの幸せは同じテーブルに着くことができる ~ジェラルド・ダレル著「虫とけものと家族たち」のこと

1930年代にイギリスからギリシャの小さな島であるコルフ島に移住した一家。おっとりした母に気難しい芸術家の長男ラリー、銃器マニアの次男レズリー、おませな姉マーゴ、そして語り手である10歳の少年と彼の飼い犬であり親友でもあるロジャー。 語り手である少年の家族たちも風変りながら、コルフ島の住民たちも長閑な人ばかり。しかも長男ラリーが家に少し変わった客人たちをひっきりなしに招待してくるのですから、家の中はなんだかいつも大賑わい。 そしてなによりも少年は虫や植物、動物たちを観察す

あなたに答えは贈らない。あなたにひとつの問いかけを贈る。 ~谷川俊太郎著「はるか…

これはとても有名な夏目漱石の「草枕」の冒頭の文章です。 そして漱石はそのあと、次のように…

峰庭梟
5年前
4

不条理さを目の前したら、そこに正解なんてものはない ~こうの史代著「夕凪の街 桜…

本書の内容を一言で言えば、原爆が投下された広島の人々の物語です。 本書は「夕凪の街」と「…

峰庭梟
6年前
4

私たちは3つの歴史の中で生きている。 ~内山節著「日本人はなぜキツネにだまされな…

キツネが人を化かす、という話は多くの人が聞いたことがあるでしょう。関西であればタヌキの方…

峰庭梟
6年前
1

テクノロジーが導く未来に別れを告げよう ~若林恵著「さよなら未来」のこと

WIREDという雑誌は元々1993年にアメリカで創刊された雑誌で、日本版も1994年から刊行されてい…

峰庭梟
6年前
5