地政学とは

地政学とは

地政学とは19世紀末の欧州で生まれた
地理と政治を掛け合わせた造語のゲオポリティク(Geppolitik)という
ドイツ語の翻訳語として導入された学問である
1899年にスウェーデンの国家学者/政治家である
ルドルフ・チェレーンにより提唱され
後に『政治地理学が人類の居住地としての地球を
他の性質との関係において研究するのに対して、
"地政学は国家の体躯として領土を扱うものである"』と規定した

つまり、”地理が国家を規定する”のである

地理によって気候が変わる
気候が変わると食糧生産力が左右され国力に直結する
更に気候によって民族の性質も変わってくる
寒冷な地域と温暖な地域では悲観的/楽観的どちらなのか
規律はどうなのか、勤勉なのかどうか
生まれる場所で宗教も信仰も変わる
地理的条件は更に、大陸、島国、半島で分かれ
平原や山岳地帯、砂漠や永久凍土なども影響する
そしてそのような地理的条件に加えて
自国の周辺国はどの条件に該当するのか
海や山、川などの地理的障害の有無はどうか
面積や人口、経済、食糧生産、資源などの
国の大きさを決めてしまう要素はどうか

簡単に言うとこれらの条件を踏まえながら
それぞれの国にこの条件を当てはめていくと
現在注視されているウクライナ問題や台湾有事
そういった報道の理解度がより高まることになる
もちろん、これまでその国がどういう歴史を辿ってきたのかは
ある程度学ぶ必要はある

ランドパワーとシーパワー

地政学には大きく分類すると
"シーパワー""ランドパワー"の二つからなる

シーパワー=島国
ランドパワー=大陸

となり、日本やアメリカはシーパワーに該当する
ロシアや中国はランドパワーとなる

シーパワーとは

世界には日本やアメリカ、イギリス、台湾
オーストラリアなど50ほどの島国が存在すると言われている
島国の地政学的な最大の特徴は周りを海に囲まれ
他国から侵略されにくいという点
現に、かつて世界最大の帝国であったモンゴル帝国であっても
島国日本を攻め落とすことは叶わなかった(元寇)
島国などを攻め落とすための上陸作戦には
最低でも守備側の凡そ三倍もの戦力が必要だと言われている
一方で、世界の貿易の9割は海上によって行われているため
海上封鎖により兵糧攻めに遭う危険性が高い
日本の場合は海に囲まれ攻められにくいが
兵糧攻めに遭えばそう長くは持たない
逆に、国土の両側を太平洋や大西洋などの大海に挟まれ
資源や食糧生産が豊富なアメリカであれば
貿易船が通るような海峡などのチョークポイントも封鎖されない
アメリカは島国で一番恵まれた地理的条件を持っている
最強のシーパワー国家である
だからこそ世界の覇権国になる事が出来たとも言える

※チョークポイント•••軍事地理学や地政学の用語で、
その1点を押さえることで航路全体や海域を制圧できる、
戦略的に重要な海上水路のこと

しかし、"島国"という天然の要塞に守られていると
陸続きの大陸国のように侵略を繰り返してきた国と比べ危機意識が低い
民族性も内向的で自給自足が可能な内は海の外の世界に関心を持たず
鎖国的な孤立主義的傾向が見られる
日本は江戸時代末期には国内の人口が
3,000万人を超えそこそこ人口は多い方であったが
一部の国との通商を除いて250年以上も鎖国を貫いていた
アメリカのような世界中の様々な地域から人が移り住んだ国とは違い
鎖国によって変化を嫌い、多様性に不慣れな社会が出来上がったのだ
しかし、明治になると文化や技術が外国によって急速に移植され始め
資本主義社会を作り上げる大転換期となった
正に”天下はるい方向に向かってまる”時代となっていた

ランドパワーとは

一方ランドパワーに該当する、ロシアや中国はどうか
極度の寒冷地や広大な乾燥地が広がっている
陸続きが故に他国にいつ侵略されるかという恐怖を常に抱えている
ロシアも中国も国土は広大だがそれぞれ特徴があり
ロシアの国土の8割は無人で、国土の6割が永久凍土
中国も国土の2割が砂漠化しており森林面積も2割程度
森林面積60%を有する日本からすると
広大な乾燥地帯であることが分かる
いくら国土が広大であったとしても
隅々まで満遍なく人が暮らしていける訳ではなく
その過酷な環境から限定された局所でしか
暮らしていけない
という現実がある
特に厳しい環境を持つロシア
国土の北の方は北極圏に該当する
真冬には-70度を記録しとても人が住める土地では無い
それ故に貿易の要となる港が凍ってしまうため
凍らない港(不凍港)を求め南下政策を取らざるを得ないのだ
“何故ロシアはいつも南に下がってくるのだ”
不思議に思ったことがあるかもしれないが
"港が凍るくらい寒い"というとてもシンプルな理由がある

このような大陸国は国境を様々な国と接している
ロシアも中国も14カ国もの国境を抱えており
世界一の国土を持つロシアの国境線
その総延長は22,408kmと地球半周を超えている
隣り合う国が全て自分達の味方である訳もなく
いつ侵略されるか、攻め込まれるかという恐怖を感じている
更に中国は約70、ロシアは約190もの少数民族を抱えている
言語も習慣も違う人達が民族単位でそれだけの数を抱えているのだ
他国からの侵略だけに注意するのではなく
自国内の統治体制にも気を配らなければならない

ここまで読んだ方は分かると思うが
"島国だから""大陸だから"という理由で
良し悪しを決めること自体が無意味である
ということ
それぞれの地理的条件がその国を位置付ける
日本がロシアと同じ位置にあったらどうなっていただろうか
ロシアがアメリカの国土と同じ地理的条件を
持っていたらどうなっていただろうか
そうして考えることが地政学なのである

※取っ付きやすいように書いたので
かなり端折ってます
気になった方は調べてみてください

参考文献:地政学が最強の教養である "圧倒的教養"が身につく、たった1つの学問
著書:田村耕太郎氏

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