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【我が家の問題】イライラハラハラしたら負け

ただの''本読み''である私が言うのもおこがましいのですが、小説を読んでいてイライラ!ハラハラ!ドキドキ!キュンキュン!したら「負けたぁ」と思ってしまうのです。

だって、イライラ!なんて感情移入の象徴ですし、完全に脳みそも心臓も全部持ってかれちゃってますよね。小説に。

ただ、この「負けたぁ」の気持ちもさらに細分化できます。

たとえば、キュンキュン!でいうと、有川浩さんの「図書館戦争」の堂上教官といくのやり取りがランクイン。
教官はいつも良いとこにやってくるなぁ〜っと、小説だからこそ計画的に描けるシナリオだと分かっていながらも、彼の態度や行動にいつも心躍らされるのです。

この図書館戦争は「あぁ読む手が止まらない」の例です。
ちなみに、私は図書館戦争が好きすぎて3巻までしか読んでいません。好きすぎて読み終わりたくないのです。

一方、「あぁもぉ続きを読みたくない!」と思う場合の負けたぁ!もあります。道尾秀介さんの「カラスの親指」です。

詐欺師が仲間を集めて仕返しをするというお話なのですが、詐欺=騙す・騙されるという設定にハラハラ!してしまいました。

あたかも自分がその場所にいるかのような感覚に陥り、「バレたらどうしよう」と考えてしまうのです。

ハッキリいって、何度途中で読むのを止めようと思ったことか...
ただ、同じくらい続きが気になってしまうのも事実。

これほどまで、感情だけではなく、''私自身''丸ごと作品に引っ張られたのは初めてでした。

小説の醍醐味として、自分の知らない、体験したことのない世界に連れて行ってくれることが挙げられますが、やはり想像しにくく共感しにくいストーリーではピンときませんよね。

どんな展開にしろ、感情移入できるかできないかは⭐︎をいくつつけるか...に大きく影響してくるのではないでしょうか。

最近読んだ本の中で、感情移入×身近な話×イライラ×ムカムカが揃った作品がこちら。

奥田英朗さんの「我が家の問題」です。
※ネタバレ避けます

各家庭の個人的な問題が取り上げられた作品が6遍入っており、会社で必要とされていない旦那にどう接していいか悩む妻や、お盆にどちらの実家に帰省するべきか悩む夫婦、専業主婦の妻にどう接して良いのか悩む旦那などなど。内容盛りだくさんです。

ある意味個人的な内容なので「ほぉこういった意見の食い違いや悩みもあるのかぁ」と結婚して1年の私は食い気味で読み進めていました。

ただ、今回伝えたいのはイライラ!の部分です。

第一編の''甘い生活?''が、もぉイライライライラでした。そう、負けたぁ!のです。

32歳淳一は、2歳年下の昌美と結婚して2ヶ月。新婚なのに、家に帰りたくないという悩みを抱えています。

家に帰れば美味しいご飯が用意され、残業でご飯いらないと連絡すれば、「お疲れでしょう」と言ってうどんを作ってくれる昌美に、淳一は疲れていました

自分の時間が欲しい...たまには適当にカップラーメン食べたい...と嘆く淳一は、同僚に愚痴るも、「お前はバカだと」言われてしまいます。

読み進めていくと、淳一はもちろんのこと、昌美の私生活や性格も明らかになっていきます。

派手な結婚式、新婚旅行、子作り計画...どれも''正しい順番で理想の形''を描くことに必死な昌美

正直、私は淳一ではなく昌美にイライラ!したのです。

そりゃ淳一だって疲れますよ...
「気にしないで!」と声をかけても「大丈夫!」と言って、''良い妻''を作り上げようとしているのがひしひしと伝わってくるんですから。

これを努力と捉えることもできますが、ん〜...頑張ってる感をアピールされているように感じてしまう淳一の気持ちも十分理解できます。

言葉ではなく態度や行動でじわじわ染み渡っていく昌美の理想郷は、どうも私はイライラ!してしまいました。

いえ、本気で夫を支えたいと思っているだけなのかもしれませんが...
もしかして私の性格が捻くれている?

ぜひ、感情移入できる本に巡り会いたい方は、手に取ってみてください。

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