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社労士とAIについて 4

~社労士の年金相談業務はAIで可能か~

鹿児島で社労士をしています原田です。
AIを考えていくと、社労士手続きAIシステムは社労士事務所が利用するのが最も有効という話になってきました。

 手続きについては、ひとまずそれでいいとして、相談業務とAIについては考えていきましょう。
AIは今度こそ社労士を超えるかもしれない。

年金相談業務

 まずは、AIができそうな年金相談からやってみましょう。

 と言っても、私は実は年金相談窓口に立てる程の年金知識がありません。社労士試験は、国民年金と厚生年金ですが、それで満点とるのは至難の業ですし、窓口に立てば共済年金や基本だけでなく、様々な例外や併給調整等がありすぎるので、自信をもって即座に回答できないからです。

そもそも年金制度は、老齢年金、遺族年金、障害年金の3種類があり、それぞれの制度について、相談として想定されるのは、国民年金、厚生年金、共済年金、厚生年金基金です。

それぞれに少しづつ制度が異なり、受給額や受給対象者も異なったりします。全部書けば本になりますが、1巻では収まらないでしょう。私は知識不足の上に正確に調べて記載する気力が無いので書けません。

AIでできる年金相談

 年金相談業務で、年金の給付制度は全て制度上で決まっていることで、様々な例外に関して、既に網羅されています。そのため相談に対応するために情報をラーニングできれば、AIで十分に対応できる可能性が高いです。 
 特に老齢年金と遺族年金については、それが顕著でしょう。

 AIの苦手な部分は、制度の変更や通達によって細かく変動することに対する即座の対応力です。社労士であっても全てに対応できるわけではありませんが、持ち合わせた知識で十分でない場合に、「持ち帰って調べる」という手段が取れます。Web上の大量にあふれる間違った情報の中から、正しい最新情報を汲み取ったり、より専門的な正しい知見を持つ行政や同業者に確認して、正しい回答を生み出すことを可能にできるのです。

 老齢年金にや遺族年金については、近年そうした変更が非常に少ないです。老齢年金や遺族年金はAIに任せる方法もありえます。

AIを相談業務導入可能か?

 よくある問題は、相談してくる相手が、制度や用語を全く知らない人が多いことです。また、必要でない書類を大量に持ち込んだり、重要な情報だけ無かったり、何を目的に相談しに来たのかが不明だったりすると、人間でも無理です。熟練の相談員は、それすら上手に正しい方向に持っていける方もいるので尊敬に値します。

 そうしたベテランの手法までラーニングできればいいのですが、最大の問題は、老齢年金や遺族年金の相談業務は報酬が安いことです。つまりAIが可能ですが投資価値が低い。相談員を常時配置している年金事務所なら、老齢専門AIをそのうち投資してやるかもしれませんね。
(年金請求書の書き方が分からないから書いて の相談も多いらしいが)

 社労士の収益事業のひとつに成長している障害年金業務に関しては、少し事情がことなります。明らかに該当している状態で、要件を満たすための書類なども自分で揃えられる相談案件ならAIでも可能ですが、そういう相談はむしろ少数派です。

 病院を何件も巡ったり、事務の方と交渉したり、医師が診断書を間違っていたり等様々な想定外が起こります。私は過去に障害年金は1件しかやってませんが(1件やって性に合わないことが分かったので、来た案件は他の社労士に丸投げすることにしてます)、その時でさえ両腕に疾患があったのに、片腕しか書いてませんでした

それとなく医師に
「両腕だったような気がするのですが」と言うと、
「おうおうそうだよ、良く気付いたね」と訂正してくれました。
こんなのAIじゃ無理。よくあるケースでは無いと思いたいです。

ということで結論

 老齢と遺族は年金事務所が将来的にAI導入するかもしれません。社労士や民間向けの相談AIを作ってもお金は取れないでしょうね。AIで、できないことはないと思います。

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