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地域発のインパクトとは? イベントレポート「スタートアップによる青森創生〜プロクレアHD地域共創ファンドのミライ〜」

今年は青森県の年になるのかもしれないな。
そう予感させるに十分な、熱量のある会だった。


2023年6月5日に、青森県のねぷたの家ワ・ラッセにて開催されたイベント「スタートアップによる青森創生〜プロクレアHD地域共創ファンドのミライ〜」に弊社代表 福留がパネルセッションに登壇しました。

パネルセッションの様子を中心に、イベントレポートをお届けします!

\ 当日の様子はこちらからどうぞ! /

※福留が出席したパネルセッション「地域発のインパクトとは?」は動画32分51秒あたりからです。


登壇者

appcycle株式会社 代表取締役 藤巻 圭 さん

青森県青森市生まれ。首都圏で美容業界・医療業界での就業を経て、環境に配慮したりんごのヴィーガンレザーを開発。「アップサイクル製品を通じて、地元青森へ貢献することができる。世界で勝負できる。」と確信し、2022年にヴィーガンレザー「RINGO-TEX」の製造販売を行うappcycleを創業。


株式会社TOMUSHI 代表取締役CEO 石田 陽佑 さん

秋田県大館市生まれ。東京でweb・SNSマーケティングを行う事業で創業するも、経営難と祖父が体調を崩したことをきっかけに大館市に帰郷。帰郷後カブトムシに熱中し、「昆虫の力でゴミを資源化し、世界の食糧不足を解消できる」という思いのもと、2019年に株式会社TOMUSHIを創業。


Spurcle株式会社 代表取締役 福留 秀基

東北、あるいは地域に本社を構えるプロフェッショナルファームとして、地域の皆様に愛され、世界中の皆様とともに価値をつくりだすことを目指し、2022年に現代表 福留が前身となるMAKOTOキャピタルを事業承継し、社名をSpurcle株式会社と変更。



1、ぶっちゃけ東京で起業しようと思いましたか?

御三方の軽い自己紹介と事業紹介から始まった「地域発のインパクトとは?」をテーマのパネルセッションは、福留のぶっちゃけた質問で幕を開けた。

直球質問に、藤巻さんは前職の美容師時代を比較に出しながら「東京ではSDGsをやって当たり前、だけど青森という土地でやると注目度がちがう」と語る。背景には、世間的な生産地への注目の高まりがある。

藤巻さんは、「青森といえばりんご」と言うストーリーを踏襲するだけでなく、ストーリーの上で一丸となってビジョン達成へ行動を続けるところが評価されると感じている。評価を受け注目を集められる青森だからこそ、ここでの起業に至っている。

(株)TOMUSHI 代表取締役の石田さんは、地方での起業について等身大の理由を明かした。「一回東京に憧れて、東京で起業して失敗しています。単純に金がなくて、祖父母が金出してくれると言うから……

東京と比較して、地方の暮らしは生活コストは低い。しかし、「登記を東京にすることもできますよね?」と言う福留の質問にも「(帰郷して地元で事業をすることを)おじいちゃんおばあちゃんが喜んでくれる」と等身大だ。

お二人は共通して、「いっこ突き抜けてからは」周囲が想像以上に応援してくれたと言う。突き抜ける、何をとは明確に言及されなかったが、事業規模や精神的なものもあるのではないだろうか。



2、一番しんどかったことはなんですか?

藤巻さんは「創業当時、全国各地に電話しまくって、一緒にやってくれる事業者を探した時は大変でした……」と苦笑した。「正直、詐欺師みたいなものだったなと。本当にりんごから皮がつくれるのかみたいな。

そんな中でもがむしゃらにやっていることに、共感してくれた方には、手応えがあったという。

石田さんは「一番は仲間が増えてきた時でした。計画を立てて、達成できなかったら詐欺師じゃないですか」カブトムシで起業する、カブトムシで上場すると聞くとかなり突拍子もないことのように聞こえる。だからこそ、達成できなかったら詐欺師という言葉からに重みがあった。

「エンジンと羽だけがあるだけで飛ぶ状態。操縦士いないぞとか……」とスタートアップを福留さんは表現した。事業計画を徹底的に作り上げて、実装に移る従来のやり方とスタートアップは大きく異なるのかもしれない。



3、スタートアップは地域にどんな価値をもたらせるか

スタートアップ、ベンチャー企業と聞くと東京圏などの都市でないとできない印象がある。では、スタートアップが地域にあることはどのような価値をもたらすのか。現場にいるお三方の経験は以下の通りである。

藤巻さん「既得権益に関わらず、新しいチャレンジを見出すことができることが強みだと思います。スタートアップとの協業によって、今までできなかったチャレンジを作り出すことができると感じています」

石田さんは最年少で大館市議に最多得票で当選した兄のことを振り返りながら、「(選挙活動で)会った人の顔を今でも思い起こせます。起業はひとを幸せにできる。起業ってまちづくりなのかもしれないと思いました」と語る。喜んでくれるひととの距離が近いことは、地方で起業することの魅力であり、価値のひとつであるはずだ。

福留は支援側の視点から「起業には夢があると思います。憧れになれる存在です。地方では企業誘致などを半世紀近くやってきましたが、地域内に経営者/幹部を増やすことはできなかったことに課題があります。」

福留は経営者が増えることで、「人を目的に来てくれる人」が増えていくと考える。藤巻さんは「藤巻さんがいるならねぶたを見たい、奥入瀬を見たいという人も、すでに聞きます」と実感を話す。



さいごに

藤巻さんは最後に「青森の未来のために一緒に頑張りましょう」と会場にメッセージを送った。

人口123.7万人の青森県は、日本の他地域と同様に、様々な社会課題・地域課題に直面している。これまでも解決を目指して、取り組みがなされてきた。しかし、青森の生活者であった自身の経験から、生活者が変化を感じ取れる段階まで、実践された取り組みはまだまだ少ないと感じる。

青森県といえば、「りんご」とあげる人が多いだろう。

りんごはかつての津軽藩士が食っていくために始めたとされ、農家たちは何代もかけて本州最北端で唯一育った果樹の栽培技術を磨き上げてきた。

りんご栽培に適した欧州とは全く異なる進歩を遂げた栽培技術は、赤く甘く、他所ではつくれないりんごを作り出した。高い品質は台湾・香港でも評価を受けている。

世界にも通用するりんごを作り上げたのは、青森県民のもつ”じょっぱり”の気質に由来するのかもしれない。

その熱源を見た。
これから、ここから青森は動き出すのかもしれない。
ぜひ今後も動向に注目していきたい。



< スパークル株式会社について >
地域に本社を構えるベンチャーキャピタル・プロフェッショナルファームとして、地域の皆様に愛され、世界中の皆様とともに価値をつくりだすことを目指しています。

所在地 :宮城県仙台市
代表取締役 :福留秀基
Twitter   :https://twitter.com/Spurcle_tohoku
Facebook  :https://www.facebook.com/Spurcle.tohoku


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<この記事を書いたひと>
鎌田 翔至
弘前大学人文社会科学部在学時にスパークル株式会社へインターンシップとして参加。大学卒業後も、本業の傍らフリーランスとしてPR業務に関わる。北海道網走市出身。
Twitter:https://twitter.com/KShoui

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