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前代未聞…?銭湯を貸し切って「組織づくり」を語り合ったら、チームビルディングのアツい未来が見えた

働き方改革関連法の施行、そして複業解禁の流れ…。いま、私たちの仕事に欠かせない「チーム」や「組織」のあり方は大きな変化を迎えています。

リモートワークや複業、フリーランス契約の人。従来のマネジメントではうまくいかない、という現場の困惑した声もたくさん耳にしますね。

と、いうことで!
2019年9月7日(土)、ずばり「組織づくり」をテーマにしたイベントを渋谷の銭湯・改良湯さんで行いました。

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銭湯といえば、昔から老若男女が集まる憩いの場。

オープンでリラックスした雰囲気のなか、チームマネジメントの達人たちが、その極意やこれまでの失敗談をホンネで語り合った大好評イベントの様子をお届けします。

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登壇者の自己紹介タイム

パネルディスカッションの前に、まずはモデレーター&パネリストの自己紹介から。

寺口浩大さん (株式会社ワンキャリア 経営企画室/PRディレクター)

当日、モデレーターとしてディスカッションの進行を務めてくれたワンキャリアの寺口浩大さん(以下、寺口さん)。パンテーン主催のもと多数の企業が賛同した「#令和の就活ヘアをもっと自由に」にも関わられています。

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多くの連載や寄稿、インタビューを受けているなかチームづくりを担うのはとても大変なこと。寺口さんの多様な切り口とユーモアが、会の全体を色鮮やかに活気づけてくれました。

藤村能光さん (サイボウズ株式会社 サイボウズ式編集長)

パネリストの一人目は、クラウドサービスなどで日本の働き方改革を推し進めている、サイボウズ株式会社のオウンドメディアサイボウズ式」の編集長、藤村能光さん(以下、藤村さん)。

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書籍『「未来のチーム」の作り方』を出版されたばかりのお忙しい中、会場に駆けつけてくれました。藤村さんがいまチームで工夫されていることについては、後ほどパネルディスカッションの中でご紹介します。

小父内信也さん (Sansan株式会社 Eightコミュニティマネージャー)

2人目は、名刺でつながるビジネスのためのSNS、個人向け名刺アプリ「Eight」にてコミュニティマネージャーを務める小父内信也さん(以下、小父内さん)。

「これまでの主なキャリアで就職・転職の面接を受けたことがない」(!)というある意味羨ましい経歴をもつ彼。ご覧の通り、ビジネスパーソンとしてはかなり珍しい肩書きをお持ちです

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200万人以上が利用している名刺アプリのコミュニティマネージャーから、「名刺なんか無くなればいい」という刺激的な発言で会場を沸かせてくれました。さすがラッパー。
その言葉の本意は、どうやら彼が重視している「仲間」という意識からきているよう。詳しくはパネルディスカッションの中にて。

佐古雅亮 (Spready株式会社 代表取締役)

最後のパネリストは、弊社Spreadyの代表、佐古雅亮(以下、統一のため佐古さん)。

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昨年起業したばかりの彼。社員5名のなか、ご縁つなぎプラットフォーム「Spready」と自己紹介ツール「Profiee」の2サービスを運営中。会社のビジョンである「人と組織の新しい"つながり"を作る」ことに社会の課題感を持っていると語っていました。

さて、ようやく本編のパネルディスカッションへ。
この4人の意見と個性が交差し合い、新たな組織づくりのカタチについて熱く語り合いました(銭湯だもん)。

組織とチーム、どうやって作る?

寺口さん
「最初のテーマは、まず組織やチームづくりをどうやっているか、それぞれ聞いていきましょう。せっかくですので、本を出されたばかりの藤村さんいかがですか?」

藤村さん
「振り返ってみると僕の場合は、まず自分自身が一匹狼だったんですよね。だから管理職になったあともチームメンバーのことが信頼しきれなくて、超細かいマイクロマネジメントをしてしまっていたんです。いいマネージャーとはかけ離れていました。そこで、仕事ではなく人に興味を持つように180度価値観を変えました」

寺口さん
「干渉しすぎてチームメンバーに敬遠されること、ありますよね…。とはいえ、そこからの人望の回復ってかなりしんどくないですか?」

藤村さん
「しんどかったです。マネージャーになってしまうと、変わろうと思っても誰からもフィードバックがもらえないので…。信頼してもらえるようになるには、だいたい3年くらいかかりました。」

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藤村さん
「やったこととしては、とにかくメンバーの話を聞くことにしていましたね。1on1って、サイボウズでは“ザツダン(雑談)”と呼んでいます。特にルールとかもなくて、たとえば仕事の最中とかにがっつりプライベートの話をしているときとかもあります。でもそれもそれで、その人が今なににリソースを割いているのかシグナルを掴むことができるんですよ。例えば結婚準備で忙しい、とかだったら仕事の割り振りを考え直したり、そういうポロッと出てくる言葉を大事にしていますね」

寺口さん
「小父内さんの場合は、肩書きがコミュニティマネージャーですよね。コミュニティ、チーム、組織、を分けて考えていたりしますか?」

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小父内さん
「いえ、同じですね。みんな仲間です。Sansanはミッションドリブンの会社なので、組織管理上の役割としてのマネージャーやリーダーはいても、無意味な壁や上下関係などはなるべく作らないようにしていました。むしろそれぞれの得意・不得意を理解した上で、ある意味デコボコなメンバーを集めて、どうフラットで最適な状態を作るかを目指していました

寺口さん
「とはいえ、上下を無くすのって難しいですよね。小父内さんの場合はどうやって周囲に接していましたか?」

小父内さん
「僕は余白を作りにいくようにしていました。例えばあえて自分から弱みを見せるなど、オープンな関係を築けるようにしています。信頼って覚悟することだと思うんですよね、多少裏切られようが死なないですから。そうやって信頼と安全の場を作るのがリーダーの役目なんじゃないかな、と」

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寺口さん
「分かるかもしれない。信頼とか覚悟って一見、精神論に見えるんですけれど、ある意味ロジックが一周したあとというか、色々試した結果”結局は覚悟だな”みたいな。最近のリーダー像って、たとえば後出しじゃんけんみたいに裏切りを受けたとしても、笑ってそれでいいよって他の人に功績を譲れるような人がじゃないかなって

寺口さん
「このなかだと比較的小さな組織のマネジメントをしているのが佐古さんだと思うんですけれど、なにを意識していますか?」

佐古さん
「旗を掲げるかどうかですね。なにか大義がないと、人は集まってこないし応援もしてくれない時代になってきていると感じています。ただ単にお金を儲けたい、みたいな動機だけじゃどうにもならないので、やはり大義やメッセージ性は大事にしています」

寺口さん
「確かにそうですね。多くの組織はミッション・ビジョン・バリューを掲げているじゃないですか。それらをきちんと行動に移していてこそ大義やメッセージ性が社会と繋がるんですよね。アクションが見えるかどうかで応援される・されないが決まる」

佐古さん
「そうですね。結局は言葉より日々の行動を通じて周囲に分かってもらえるものだと思いますし、会社の色とか匂いは勝手に滲み出るものだと思っています」

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働き方が多様化し、「自由の履き違え」が起こっている?

寺口さん
「最近、これまで社員を抑圧していた会社が突然複業の解禁や働き方の多様化を推進すると、社員による”自由の履き違え”みたいな現象が起こってしまうってよく聞くんです。自由の期待値調整って難しいですよね。自由なイメージのあるサイボウズさんはどうですか?」

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藤村さん
「サイボウズは複業してもOKです。個人的には、複業と本業のバランスをしっかりと取り、無理をしないためのセルフマネジメントが重要になってくると思っています。あとは、チームとの共有ですね。複業の予定もしっかりとスケジューラーに入れて、チームのみんなに予定をオープンにしています。”午前中は在宅、午後は複業、夕方から出社”といったように、予定を共有するんです」

佐古さん
「”自由の履き違え”に関していうと、僕は複業をやってみると自由と責任が如実につきつけられるから一度やってみるといい、と思いますね!僕も実際にやってみたら、本業との兼ね合いが上手く回らなくなっちゃったりしました。大事なのは経験すること。自由と責任のセットは2、3年後に最適解が出てくるように思います

寺口さん
「まずはマーケットに自分をさらけだしてみるってことですね。ただ、体感的には複業が認められていても、実際している人って少ないように思うのですが…。あっ、今日の参加者の方で複業が認められている方はいますか?」

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寺口さん
「おっ、結構いますね!じゃあ、実際に複業しているよ!という方は?(まばらに手が挙がる)やっぱりそうなんですよね。複業しない理由を聞いてもいいですか」

参加者さん
社内申請が必要で面倒だから
一応解禁はされたんですけど、前例がないから踏み出せない

寺口さん
「確かに、解禁したはいいけど…みたいな会社が多そうですね。課題は企業の方にもありそう」

複数のコミュニティに所属する意義とは?

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寺口さん
「では、もう時間もないのでサクサクと…(笑)。お三方はジョインする/したいと思うコミュニティの定義って決まっていますか?」

佐古さん
「キリトリの縁がちゃんとしていないところは、参加したくないなと思っていますね」

寺口さん
「キリトリ、というと?」

佐古さん
「コミュニティの定義、みたいなものですね。その定義(キリトリ線)がないと結局崩れてしまう例をいくつか見てきたので…」

寺口さん
「コミュニティが消費されはじめるとつまらないですもんね」

参加者からの質問
「コミュニティが消費される、ってどういった状況ですか?」

寺口さん
「そうですね。たとえば、Facebookグループかなにかで人事のグループがあったとしましょう。そのコミュニティを利用して営業やヘッドハンティングするような人が出てくると、大体そのコミュニティって崩壊しちゃうんですよね」

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寺口さん
共同体としてビジョンを達成しよう、とアセットを蓄積している途中でそれが誰かに横取りされてしまうこと、それがコミュニティの消費、という現象だと思っています。心当たりがある、という方も結構多いんじゃないでしょうか」

藤村さん
「僕はコミュニティを作るには今が一番楽しい時期なんじゃないかなと思いますよ。サイボウズ式の読者さんたちとコミュニティを作っているんですけれど、人事に関心のある人だけでなく、アパレル系の方とか外資系企業の方とか想像以上に多様な人が集まっているんです。もしかしたら自分が一番そのコミュニティを楽しんでるかもしれません

寺口さん
「確かに、一方通行の発信ではどういう人が読んでくれているのかって分からないですもんね」

藤村さん
「あと、作る側じゃなくて参加する側だとしたら、強制されるようなコミュニティは嫌ですね。みんなが熱量を持っていて、10年後に一緒に酒飲んで”楽しかったねぇ“って言えるようなコミュニティがいいです。後から振り返ったときに自分自身が豊かになったな、と思えるような」

寺口さん
「実利的なものよりも、熱量のあるひとたちと時間を過ごすことに価値がある、と」

小父内さん
「あのーいきなりの爆弾発言なのですが…実は僕、10月に起業するんです(笑)。コミュニティ関連のアドバイザーやスタートアップ支援がメインのコンサルタントです。ただ、この先もEightのコミュニティマネージャーとして関わっていくことは変わりません。いくつかお声がけいただいている会社さんやプロジェクトがありますが、仕事に対する軸はブレてないですね。ひとつは、やっぱり人をつなぐこと、”出会い”に関わっていたいです。あとは一周回ってシンプルに”好き”という感情を大事にしています。結果的に、好きな人となにかをするということが自分の判断基準になっていますね」

※編集部注:9月7日イベント開催時のコメントです。先日起業された小父内さんのnoteもぜひご覧ください。

寺口さん
「小父内さんは本当に覚悟がすごいですよね」

小父内さん
「あとは、最近出会いが熟成されてきたなぁ、と感じるんです。今まで一度もガチっとした面接を受けたことがない、というのも結局はそれまでのいろんな出会いがあるからなんですね。そうやって出会いを続けていくと、それらが地層のように積み重なって出会いそのものが熟成されていくんです。」

寺口さん
「熟成、どんどん濃くなって出会いの密度が変わる感じですね。佐古さんはご縁をつなぐ事業をしていますが、いかがですか?」

佐古さん
「そうですね、ご縁をつなぐ時にこの出会いが無駄だと思われないようにするには、を意識しています。あとはとにかく、なんでも1回体験してみることですね!」

藤村さん
「あと、いろんな人たちで組織が構成されていくと、オンラインでのやりとりが増えていくのですが、やっぱり慣れていないと相手を傷つけてしまうこともある。だから、コミュニケーションの量をとにかく増やすことが一番です
たとえば、サイボウズは”分報”といってTwitterみたいに使うチャンネルも作っています。すごく個人的なことをつぶやいていますね」

寺口さん
「著書の中にも出てきましたが、サイボウズさんでは自分の気分を天気のマークで示すんでしたよね。晴れ、曇り、雨…といったわかりやすい形だと、ハードルが下がっていいですよね」

藤村さん
「そうですね、たとえば、低気圧で働くのがしんどい、というときは曇りマークをつけるような感じです。マネージャーとしても把握しやすいですし、調子の悪いマークが続いている人には、マークの話をきっかけに”どうしたの?”って聞くことができます

まとめ

寺口さん
「さて、そろそろ時間も時間ですので…。今日の会を振り返ると、“覚悟”が重要なキーワードになっていたのではないでしょうか。単なる精神論ではない覚悟。佐古さんは、事業に対する覚悟。藤村さんは、人との関わり方を徹底的に変えた覚悟。小父内さんは…覚悟しか見えない(笑)。絶対人を裏切らないアクションで示していますね。

組織やチーム作りはロジックだけじゃ成り立たないものです。インプットはマイクロにその人を観察して見守ること、そしてそのアウトプットは多様な形で表現されているな、というのが僕の感想でしょうか。

何かひとつでも実行できることがあれば、ぜひ持ち帰って試してみてください。本日はありがとうございました!!」

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拍手の中終わったパネルディスカッション。一人ひとりが今日聞いた熱い想いを胸にしつつ、最後は懇親会が行われました。

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「新しい時代の組織の作り方」、いかがだったでしょうか?ますます多様化が進んでいきそうですが、チームや組織も既成の枠にとらわれない新しいカタチが求められていますね。

【お知らせ】

登壇していただいた、サイボウズ式編集長の藤村能光さんによる書籍『「未来のチーム」の作り方』の「はじめに」がサイボウズ式にて全文掲載されています!

このディスカッションを見て、新しい組織のありかたに興味をもった方はぜひ一度覗いてみてください。

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