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ワーケーションはWork × Location × Connection/村松知幸さん(株式会社スカラパートナーズ 共創事業部 事業部長)

村松知幸さん プロフィール

株式会社スカラパートナーズ 共創事業部 事業部長
大学卒業後、ハウス食品グループ本社(株)でグローバル人事セクションを立ち上げ、経営企画、M&Aマネージャーを経て、中堅製薬会社の海外事業開発Director、戦略コンサルティングファームの取締役を経験。
現在は現職のほか、(株)協働日本 代表取締役社長、一般社団法人熱会 代表理事、至善館大学院 評議員、(株)Funleash COO兼事業開発責任者を務める等、複数の企業の経営、事業開発に携わるパラレルキャリアを実践している。人の活性化と地域の活性化がミッション。

(豊田)
こんにちは!スパイスアップ・ジャパン代表の豊田圭一です。

「人事」のHRと「トランスフォーメーション」のXを掛け合わせて「HR-X」と名付けた当チャンネルは、「トランスフォーメーション人材で組織を変革する」をスローガンに、「人事」と「トランスフォーメーション」、つまり「変革」というキーワードで様々な取り組みをしているゲスト、Mr. Xをお迎えしてお話を伺っていきたいと思います。

今回の「Mr. X」には株式会社スカラパートナーズで共創事業部の事業部長を務めていらっしゃる村松知幸さんをお迎えしました。
村松さん、今日はよろしくお願いします。

(村松さん)
お願いします。

(豊田)
村松さん、まずは簡単に自己紹介をお願いできますか?

(村松さん)
はい、ありがとうございます。
スカラパートナーズの村松と申します。
私は今、東証一部上場の株式会社スカラの中にある、グループ全体のビジネスインキュベーションを担っているスカラパートナーズで共創事業の責任者をしておりまして、具体的には新しい市場の形成を地域の活性化、地方創生であったり、あとは教育の文脈で新しい事業を作ることによって市場を創り、日本の中にある、もしくはグローバルな社会課題解決に取り組んでいます。

(豊田)
はい、今日はよろしくお願いします。
この「HR-X」のキーワードは「人事」と「変革」なんですね。
そういう意味において、ここ数年、働き方改革ってよく聞く言葉だと思うんですね。
それって具体的に何?ってところで、コロナ禍における変化の中でワーケーションって言葉がすごく取り立たされていると思うんですけど、村松さんはまさにワーケーション事業のど真ん中、日本の中でもど真ん中にいると思っているのですが、ワーケーションの考え方っていつ頃生まれたものなんですか?

(村松さん)
はい、ありがとうございます。
ワーケーションという概念自体は2000年代にアメリカで発祥したと言われているのですが、日本の中で言葉自体が市民権を得たのは、おそらく2020年7月下旬ごろにですね、当時官房長官だった菅さんが政府としてワーケーションを推進していくと仰ってから、言葉としてかなり皆さんご存知の通りになってきたと思います。

(豊田)
じゃあ20年くらい前からアメリカではあったということなんですね。

(村松さん)
そうですね。

(豊田)
日本では本当最近なんですね。
あれを聞いてから、僕のメインの仕事は海外に行って企業の方に研修を提供することだったんですけど海外に行けなくなったので、「じゃあ、ワーケーションだ!」って言って僕自身色々なところでワーケーションをしてきました。

(村松さん)
めっちゃされてますよね。

(豊田)
していました!笑
村松さんと一緒にもさせていただいたこともありますけど、この1年くらいの中でワーケーション事業を立ち上げてきたんですか?

(村松さん)
元々フリーランスの方だったり、一部の先進的な民間企業はされていたんですけど、企業が制度としてワーケーションを導入して、社員の方が使っていただけるサービスとして2020年7月に「Komforta Workation」というサービスを立ち上げました。

(豊田)
ワーケーションって自分で行ってみて感じたことが色々あって、元々「Work × Vacation」じゃないですか。
なんかワークというよりも、バケーションの中にちょっと仕事を持ち込むみたいな感じで、今やどこでもWi-Fiが繋がるから、バケーションに行きながらWi-Fi使ってメールチェックやZoomでミーティングするとかって感じなんですけど、でもなんか村松さんは言葉変えましたよね?
「Work × Vacation」ではないと。

ワーケーションは Work × Location × Connection

(村松さん)
はい、そうなんです。
仰る通り「Work × Vacation」で、普段のオフィスとは違う場所で余暇を楽しみながら働くというのが一般的なワーケーションの定義なんですけど、我々立ち上げた時から「Work × Location × Connection」、これが我々が提供するワーケーションということでやっています。

(豊田)
これ最初の頃からそれに考えるに至ったのはなぜなんですか?

(村松さん)
ありがとうございます。
そもそも「Work × Location × Connection」というのが働きやすさとか、ストレスフリーに働けるという点があります。

(豊田)
まさに「働き方改革」ですね!

(村松さん)
そうなんです。
地域の魅力に触れ、人との繋がりを得ていただくというところをコンセプトにしているのですが、1番の目的は「人の活性化」と「地域の活性化」に長期的に繋げていきたいという想いがすごくあって、例えばワークなんかでいうと、ワーケーションが言葉だけが踊ると一過性の働き方の現象みたいに捉われたくないなということがあって、むしろ長期的なライフスタイルとか生き方に繋がっていくものだと思っているんですよね。

(豊田)
いや僕正直、「Work × Vacation」でワーケーションって聞いた時、僕は常にロングバケーションというかパーマネントバケーションというか、ずっと移動しながらあちこちで仕事をしてきたから俺に合ってるぜ!とかって思っていたんですけど。

(村松さん)
元々されていたと思うんですよね。

(豊田)
してたと思います。
なんだけど、ちょっとバケーション要素が強くなっちゃうかなって思って、ちゃんと仕事を持ち込まないと危ういなってちょっと思ったんですよ。
あとはロケーションだけじゃなく、コネクションはいい言葉だなって思って、人との繋がりがなかったらまたそこへ行こうと思わないという気がしました。

(村松さん)
仰る通りです。

(豊田)
やっぱり人ですよね。

(村松さん)
そうなんです。
ここは超熱いところになるんですけど!

(豊田)
そこちょっと教えてもらいたいですね!

(村松さん)
さっき働き方だけじゃなくて生き方にも繋がると申し上げたのですが、今起こっていることって自分で主体的に「働く場所」を選んでいこう、決めていこう、もしくは自分でデザインしていこうという流れだと捉えていて、それって自分自身がパフォーマンスをもっと出せるとか、人生をより良くする可能性というところを会社の中で合意されたルールの中であれば、自分の価値観、ライフスタイルに合わせてやっていけるということです。
もっと言うと、働くの5W1Hで、誰と働く、どこで働く、いつ働く、何のために働く、どうやって働くみたいなところも徐々に徐々に緩やかだけど、働き手側に委ねられていると。
そしたら働く個人が活性化して行ったら、自分で好きな場所に行って、パフォーマンスを出して、心身のコンディションも良くなって結果として、会社は活性化した個人が増えたら組織も良くなって、会社の業績もパフォーマンス上がっていくと思うので。
ただそれが一過性ではないところの鍵って、行く場所が自分にとって本当にお気に入りの場所かどうかということに、そもそも地域の魅力がちゃんと発信されていないとなかなか見つけ難いですし。

(豊田)
分からないですしね。

(村松さん)
さっき豊田さんが仰った「よし、また行こう!」というところで人とのつながり、人との出会い、人とのご縁というのはとても重要になります。

(豊田)
本当にそうやってよく聞きながらも、とは言え、、っていう話で言うと、どれくらいの会社や人がワーケーションの制度を使っているんですか?

(村松さん)
ここはよく言うイノベーター理論に近いと思っていて、色々な調査とかアンケートがあるのですけど、ざっくり全体の10%くらいの会社が導入したり、社員の方に使ってくださいとやっています。
さらに緊急事態宣言が明けてから弊社への相談や問い合わせはかなり増えていて、会社によってはいくつかの目的が当然あるのですが、ワーケーションそのものというよりかは在宅ワークだけとか必ずオフィスに来いとかではなくて、働き方の多様性をちゃんと用意したいんだ、その上でワーケーションが自社にとってどんな目的を持ってどんな風にできるのかという相談が増えてきました。

(豊田)
実際10%超えてきたということはイノベーター理論でいうと、もうすぐティッピングポイントですよ。
だからそれがもうちょっと広がってくるかなと思うんですけど、すでにワーケーションを導入した企業のポジティブな事例はありますか?

(村松さん)
ありがとうございます。
弊社のサービスを使っていただいている企業様は大分増えてきているのですが、まず目的としてがいくつかあって、1つは課題が在宅ワークそのものというよりはソロワークにあって、1人でずっと働いているというところ。
でも1人だけで出来る仕事ってあまりないじゃないですか。
本来チームでパフォーマンス出すところが、会ってなくてずっとZoomの中、もしくは電話だけでロスが起こっているソロワークを例えば、月に1回、全員もうちょっと近い地域に移住された方もいたり、いろんなライフスタイルになっているのに絶対ここに来い!というよりかは最適な場所にチームで行って、ソロワークを解消する、コミュニケーションの質を上げるというものあるし、あと人材の育成はスパイスアップ・ジャパンと弊社とでやったりだとか、心身のコンディションをこういうような取り組みの中で上げていけないかなど、色々なことを考えています。
今の段階で業種も規模も多く違いまして、大企業だったりスタートアップだったり色々な会社に関わらせていただいているんですけど、すべからく「組織の活性化」とか「組織開発」をとても重視されている会社が多くて、その中の成功事例ですと、ある会社が昨年金沢にワーケーションで行かれまして、その時に地場で会った事業者の方と地域の体験や魅力を掘り起こしていくみたいなことに取り組まれていたりして、これは現地に行ったことによって偶発的な出会いがあって、アイディアで持っていたことがよりリアリティを持ったとか。
あとは最近弊社の中でもワーケーションされる方のワーケーション前、ワーケーション中のアクティビティの後、それからワーケーションした後に心身のコンディションをはかれるアプリを活用したりして、それがご本人もしくはチームにとってどんな影響があったのかワーケーション前後で比較すると、自分はパフォーマンスが出せるんだというある種、自己効力感をすごく持たれていたりします。

(豊田)
やっぱりこの1年間、家に篭ってリモートワークによってメンタルをやられたり、新しい発想が出ないとか生産性が低くなっているという話もあるじゃないですか。
だからやっぱりそういうことに使えるんだろうなと思いました。
「Work × Vacation」だったら、お前何やってるんだ!ちゃんとやってるのか!ってなる可能性もあるけど、実際にリモートワークによって負の要素が出てきてますから、それをワーケーションによって改善できるところがあるのかなという気はしますよね。

(村松さん)
すごく可能性は感じています。
やっぱり会社の制度として導入して、社員みんなに使ってもらうと、なんとなくワーケーションって良いよね!という世界観から、こういう目的にこのワーケーションという働き方、スタイルがとても合うんだと。
なんとなく良いよね!ではなくエビデンスベイスドとかその会社の事業、組織戦略そのものにフィットするように提案していきたいと思っています。

(豊田)
そうだ、1つ聞きたいことがありました。

どれくらいの期間、行くことがいいんだろうとちょっと思ったんですけど、2泊3日でワーケーションというと本当にバケーションみたいな感じで林間学校に行ってきますというイメージになっちゃうし、移動ばかりで結局中1日しかなかったり。
1週間くらいで行くのが良いのか、1ヶ月くらい行っちゃうのが良いのか、でも1ヶ月だと生活もあるしどうだろうとか。
エビデンスとは言わないけど、どれくらいの期間がいいんですか?

(村松さん)
まだ我々の中では結論はないんですけど、先ほどのソロワーク解消チームビルディングだったら2泊3日もしくは3泊4日です。
地域の方と何か事業を創っていくアイディアを偶発的に持ちたいんだ!というアイディア探しに使われる場合はもう少しロングステイでいらっしゃいます。
旅行だけではなかなか見えないところが、仕事が絡んでくることでできる議論があると聞いています。目的によって期間は違うかもしれないです。

(豊田)
観光地である必要はないんですよね。
現地サイドで必要になってくるものはあるんですか?

(村松さん)
やっぱりワーケーションをキッカケにした時に、例えば観光地ではないと思われている地域もありますよね。
じゃあ今度はワーケーションで行く人はバケーションとしても楽しみですし、食べることも楽しみですので、そこはあった方がいいんですけど、集中して働ける環境であったり、個人がパフォーマンスを出すっていった時にどんなことができるんだろう?と、もう1回考え直す、見つめ直すんですね。
新たにブランディングしていく契機になるかなと思っています。
地域にとってもすごくいいところは、先ほど申し上げた通り、地域の魅力、人の魅力に触れて何度も何度も行きたいという人や会社が増えてといくと同時に観光だとどうしても土日に偏るのですが、ワーケーションだったら平日に人が移動し得る機会だと思うので、都市と地域というよりかは、こういったムーブメントを一緒に大きくしていくようなことをしていきたいなと思っています。

(豊田)
先ほどの「Work × Location × Connection」という意味では、Connectionのために貴社が取り組もうとしていることは何かあるんですか?

(村松さん)
ありがとうございます。
弊社のサービスを使っていただいている会社さんがそういった取り組みの事例とかを横で共有するようなセミナーだったり座談会だったりを毎月オンラインで実施しています。
私も関わらせていただいているのですが、企業の中でワーケーションを推進していきたい人たちがコミュニティを作っていて、もう200社以上なので、自社ではこんな取り組みをしているよ!とか、こういう風に効果が出たよ!とか。
もしくはどこかの会社が起点となって、次どこどこに一緒にワーケーション行きませんか?ということもあります。
今まで業種も違うし、規模感も違うので合わなかった会社がワーケーションという新しい働き方を社内に導入しようという会社の共通項で一緒に行って、何が起こるかというと未知数の中で進むので、脳がすごい活性化するんですよ。
そういうコミュニティ的な集まりもそうですし、事例のヒヤリングもそうですし、それを我々は「共創ワーケーション」と呼んでいます。

(豊田)
だからこその共創事業部なんですね!
村松さんの目から見て、今後のワーケーションの可能性はどうなると思いますか?

(村松さん)
非常に大きいと。
これは市場性だけではなくて、あらゆる人々の生き方にも本質的に影響すると思っています。
誰かが決めた形のところをしっかりやっていくということもすごく意義があるのですが、徐々に主体的な主導権が働く上では自分の中にはあって、お気に入りの場所を自分で見つけて、自分がベストに可能性が解放される場所が見つかって。
それは働き方の文脈でもそうですし、もう1つは教育です。
N高を創設された中島武さんがやられている、クラスジャパンという不登校のお子さん向けの小中学校と連携させていただいていて、オンラインスクーリングっていうんですけど、普段の国語、算数、理科、社会はオンラインで学んでいると。
だけどリアルな学校に行くと、学びって例えば「社会性」や「人と人」とか、そういった部分って家にいてもなかなか学ぶ機会がないので、そういった時に日本中の地域が学び場として例えばお子さんが農作物を掘って、一緒に味噌汁作って食べるとか。

(豊田)
それありそうですね。

(村松さん)
そこでも当然、LocationもConnectionも関わってくるんですよね。

(豊田)
すごくいいかも!

(村松さん)
仮にそれがお子さんだけではなく親子で参加した場合、お父さんお母さんはワーケーションしながら、お子さんがその中で一緒に体験をしていくという共同生活の場みたいなものができていくと、これまでにないような出会い、学びなどすごく大事な機会になっていくんじゃないかなってところで、我々はワーケーションだけではなくて、いわゆるスタディケーションとか学びの可能性をしっかりと教育の文脈で取り組んでいきたいと思っています。

(豊田)
次どこにワーケーション行こうかなって思いながら聞いていました。
早く次行きたいですね。

(村松さん)
豊田さんとご一緒して刺激を受けるどころか新たな気づきだらけで、分刻みのスケジュールですもんね。

(豊田)
そうですね、いろんなこと。

(村松さん)
分刻みでその場所の魅力を楽しもうとされてますよね。

(豊田)
そうですね、また行きますのでその時はよろしくお願いします。

(村松さん)
ぜひ!

(豊田)
今日は短い時間でしたが、ありがとうございました。

(村松さん)
ありがとうございます。

(豊田)
さて、HR-Xではこれからも「人事」と「トランスフォーメーション」というキーワードで、様々なゲストをお呼びしてお届けしたいと思いますのでよろしくお願いします。

村松さん、今日はありがとうございました!

(村松さん)
ありがとうございました!

豊田圭一(株式会社スパイスアップ・ジャパン 代表取締役)
上智大学を卒業後、清水建設に入社。約3年の勤務後、海外留学コンサルティング事業で起業。以来、25年以上、グローバル教育事業に従事している。
現在、国内外で「グローバルマインドセット」や「変革マインドセット」を鍛える研修を実施する他、7ヶ国(インド、シンガポール、ベトナム、カンボジア、スリランカ、タイ、スペイン)にグループ会社があり、様々な事業を運営している。
2018年、スペインの大学院(IE)で世界最先端のリーダーシップ修士号を取得。
2020年に神田外語大学グローバル・リベラルアーツ学部の客員教授に就任。
著書は『とにかくすぐやる人の考え方・仕事のやり方』『ニューノーマル時代の適者生存』など全19冊。
早稲田大学トランスナショナルHRM研究所の招聘研究員、内閣府認証NPO留学協会の副理事長、レインボータウンFMのラジオ・パーソナリティも務めている。

豊田が2020年6月に出した著書『ニューノーマル時代の適者生存』

株式会社スパイスアップ・ジャパン
 公式ウェブサイト  https://spiceup.jp/
 公式フェイスブック https://www.facebook.com/SpiceUpJP/

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