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個室サウナの行方(3) 南青山・「3S」

 今回、個室サウナを体験して感じたことです

 個室サウナが店舗とし勃興し始めている背景には、もちろんコロナの影響が大きく関与していることは間違いありません。

 サウナは閉塞感のある空間で、複数の人が無防備に過ごす空間です、コロナ最盛の中では安心という意味では最もかけ離れた環境だったでしょう。

 しかし、それ以前にサウナが苦手という人の中には、人が密集したあの空間、あの雰囲気がダメだという人も多いでしょう。

 或いは、サウナ室という小さな人の集まりの中で、なんとなく社会的なルールのようなものがありそうで、それが嫌だ!という人もいるでしょう。

 サウナブームという風の中では、新たな層の人たちがサウナに関心を持ち始めています。興味はあるけど、馴染めない、といった人たちが安心して利用できる個室サウナは、サウナの定番として定着してゆく可能性は確かに秘めています。

3つのカスタムで楽しめる「ジブンサウナ3S」


 今回訪問3軒目のお店は、先月オープンしたばかりだという「ジブンサウナサウナ3S」南青山にあります。

予約は午後2時からだったのですが、20分ほど早めにつきました。

 フロントを覗くと、待合スペースがありましたので、フロントの女性スタッフに来意を告げ少し待たせてもらうことにしました。ここも、既に予約時にクレジット決済も済んでいますので受付はスムーズに終わりました。

 フロントの女性に本日2軒目だと告げると、驚きながらも彼女は私が午前中に訪問した「暖力」にはまだ行ったことがないとの事で、逆質問を受けながらしばし歓談を!

 時間よりも10分ほど早かったのですが、準備ができたのでということで、今回はちゃんと用を足した後に部屋に案内してもらいました。

 部屋はやはり細長い構造で、手前から、脱衣兼ドレッサー、寛ぎスペース、サウナ、水風呂の4つのブースに分かれています。

 ドレッサーにはアロマが3種類、好きな香りをジョウロの水に溶かしてロウリュを楽しんでくださいと説明を受けました。3つのカスタマイズの一つ目は”香り”を選べることです。

 2つ目のカスタムは部屋の明かり、3タイプ確か、「サンセット」「ナイト」「モーニング」3つのボタンがあって、それぞれのブースの明るさが予め設定されたコンセプトに合わせた明るさに切り替わる仕組みになっています。

 3つ目のカスタマイズは音楽。「ととのい」「ふゆう」「めざめ」の3つのコンセプトから選べます。

 う〜ん!明るさの選択はなんだか微妙です。大雑把に明るさが変わるだけなので、手動で明暗の調整ができるよになってはいますが・・・?って感じです。

 音楽は、なぜか一つしかおとはでず、内容も音質もクオリティはイマイチなので、正直どうでも良いかな、それより、あるものが使えないというのはマイナスです。

 店名に冠しているのに導入するなら、もう少し拘って欲しいかなというのが正直な感想です。

服を脱いでいざサウナへ・・

 サウナは約幅120cm、奥行き約100cmとかなりコンパクトで、小さな家庭用サウナくらいの大きさです。横になることはできません。部屋にある5分計をひっくり返してタイムを測ります。

 訪問した3施設の備え付けの砂時計は、5分、10分、15分。とそれぞれ違う砂時計なのが面白いと思いながら、アロマ水の入ったジョウロでアロマ水を熱石にかけてロウリュを楽しみます。

 バケツに柄杓というのが普通に思うのですが、ジョウロがこの店流です。ジョウロだとついつい多めにかけてしまうので、狭いサウナ室の温度は一気に上昇します。

 今回もきっかり10分でサウナをでて、隣に設置された水風呂スペースへ、100cm角くらいの小ぶりな浴槽に、冷たい水が張ってあります、水はチラーで冷やされた15度くらいの冷たい水です。

 水風呂の壁面に保冷袋が吊ってあります。室内案内の際に、更に冷たい温度がお好みでしたら使ってくださいと説明を受けておりましたが、私には十分な冷たさですので、使わずに頭まで潜り20秒!!

 浴槽がらあがり、浴室を出てサウナの前にある休憩スペースで暫し整えます。リクライニングはできませんが、オットマンが備え付けてあるので足を伸ばしてクールダウン、心地よいです。

 今回も、3セット、毎回アロマを変えて楽しみました。10分早めに入れて頂いたおかげで余裕を持って着替えをして部屋を出ました。

お値段は80分4,800円也でした。


個室サウナの可能性

 今回は大阪から東京で開店ラッシュが始まった個室サウナ3軒を体験訪問してきました。

 新しい業態なので、まだどの施設も手探り状態、共通する部分もありながら、各店個性をだそうと暗中模索なのかな・・という感じです。

 個室で自分だけの空間でサウナを楽しむという切り口は、最初はどうなのかな?と思っていました。まず、一人用のホームサウナのような小さな空間は、発汗させるだけの機能装置の提供のようであまり良いイメージがなかったからです。

 いつも思うのですが、スポーツジムやホテルの浴場に申し訳ないように付随している小さなサウナは、なんだか殺風景で腰を据えて温まる気がしない、情緒的でないものが多いからです。

 狭いので、誰かが入って来れば出なければならない、一人でサウナ空間にいると、誰かが自分が出るのを待っているのではないかという妙な気遣いも落ち着かない要因です。

 ところが、意外と言ってはなんですが、今回体験した個室サウナは狭くて小さな空間ですが、曲がりなりにもサウナを楽しもうと造られた空間ですので、各施設それなりに趣を感じることができます。

 貸切り空間であるというのは思いのほか安心感というか、寛ぎ感を感じることができるのだなと実感することができました。

 大きなサウナの繁盛店の場合、サウナから出た後の水風呂の順番待ちや水風呂後の整いスペースが確保できない、といった事象にはストレスを感じます。

 個室サウナの良さは、狭い空間ですが他の人はいませんので、独占的な利用ができることです。狭くても自分空間としての占有スペースは十分な広さです。

 通常は横になって利用するというのはマナー違反ですが、個室サウナでは許されます。何より、自分好みのタイミングで、好みの量の水蒸気を発生させることができるロウリュは貸切ならではの醍醐味ではないでしょうか。

 水風呂も、順番を待つことなく、掛水も気にせず、サウナからダイレクトに頭までダイブしても文句を言われることもあリません・・・快感です!!

 整いスペースは、外気浴という訳にはいきませんが、各施設クールダウンには必要最低限のスペースは確保されています。人によっては、この狭さが落ち着くという方も多いのではないでしょうか?

 あとは、時間ですが、今回は3施設とも80分のコースを予約しました。

 サウナ10分、水風呂と整い時間10分、これを3セットで60分、着替えも時間を考えると、ギリギリです。

 私の場合、諸般の事情により残念ながら髪を乾かす必要はありませんし、ドレッサーで鏡に向き合うこともありませんので、衣服の脱着だけでは十分ですが・・・サウナで整い、身だしなみも整えたいという諸兄にはタイトかと思います。

 女性は尚更、この時間ではサウナを十分楽しむ余裕はないでしょう。施設によっては、部屋を退出後、時間を気にせず使えるドレッサールームがあるようですが、女性客をターゲットにするならむしろ必須ではないかと思います。

設備を売るな、思いを売れ

 この業界はまだ暗中模索です、サービスの内容も、価格設定も、珍しさも手伝ってお祭りムードであることは否めません。温浴施設を作ることを思えば投資は小さく、これからますます店舗も増え、価格も競争になるでしょう。

 ハード面だけでは、後発店舗が優位になりますし資本力のある企業の進出で一気に業界の形が決まる可能性もあります。

 しかし、逆に考えれば独自のサービスを持ち、それを組み合わせることで圧倒的な強さを持つ施設が生まれる可能性も秘めています。

 いずれにしても、全国的に飛び火は確実な新業態が、どのような発展をしてゆくのか見ものであることは間違いないようです。


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