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真夏に使える怪談話|無料公開中


※注意書きとお願い※

 全文無料公開しておりますが、未購入での無断転載、使用は固く禁止させて頂いております。

 420円で販売致しますので、気に入って頂き、この話をご購入して頂けましたら、ぜひこの話をあなたの怪談話として使用し、広めて頂いて構いません。

 私が霊が存在するのだと信じるきっかけになったお話です。

 あなたには同じことが起きませんようにお祈りさせて下さい。

 では注意して、環境を整えてお読み下さい。


【金縛りの三日間】

 あなたは、【金縛り】を経験したことはありますか?

 霊の仕業とか、脳が疲れているからとか、よく言われていますよね。

 あなたは金縛りが起きる原因に、なにがあると思いますか?脳が疲れているからとゆうことも、確かにあるかもしれません。

 ですが、私の経験からすると、どうしてもそうは思えないのです。

 あんな経験をしたのですから。



【一日目の夜】

 当時、私は中学生でした。

 とくに部活などはしていなく、いわゆる帰宅部でした。学校が終わるとそのまま、友人の家に行き、夜まで遊び、帰るとゆうようなことを繰り返していました。

 そしてある日、いつものように家に帰り、寝支度を済ませ布団に入りました。

 私の部屋は三階にあり、ドアを開けると一間の空間に、正面に窓、左手に掃き出し窓。

 正面の窓の下に、シングルベッド、掃き出し窓の左手にはテレビが置いてあるだけのシンプルな部屋です。


 目を瞑った私は、気が付くと夢の世界にいたようです。小学生の頃の自分に戻り、なぜか夜の公園で鬼ごっこをしていました。

 必死に鬼から逃げ、体育倉庫の上に身を潜めることにしたのです。隣にいた子が誰かは分かりませんが、その子と戦略を練っていたのを覚えています。

 しばらく話していると、なにか小さく音が聞こえてきました。

 なんの音だろうと耳を澄ませると、その音の正体はなんと、【御経】だったのです。

 当時の私は御経などとは無縁な生活を送っていましたので、ただの不気味な音にしか聞こえませんでした。

 夢の中でしたが、恐怖と寒気を感じたのを覚えています。脳みそが揺れる感覚と、あまりの恐怖からか、パッと目が覚めました。

 目を開けると自分の身体になにやら異変を感じます。仰向けなのに、呼吸がしずらく、手足を伸ばしたいのに動かせない。

 身体が完全に硬直していたのです。

 私は「これが金縛りか」と思い、まずは必死に抵抗してみようと体中の力をいれました。

 お腹の上に誰かが乗っていて、顔を押さえつけられている感覚。口も開かず「誰だよ、どけよ」と言いたいのにも関わらず、「もごもごもご」とゆう音が出るだけ。

 どうやっても力ではどうすることも出来ませんでした。

 そして、過去に友人が金縛りにあったときの対処法を教えてくれたのを思い出しました。

 その対処法とは、【眼球をぎょろぎょろと動かすこと】だそうです。いざ、実践してみようと眼球をぎょろぎょろと動かしているときでした。


 なにかいる。


 足元に、白いモヤのようなものが見えました。私は、そのモヤが気になり眼球をそちらに向けました。


 心臓が止まるかと思いました。
 なにが居たかって?

 はっきりと姿は見えませんが、それは女性でした。しかも、天井まで頭が届いている巨大な女。

 顔もはっきりとは見えませんでしたが、髪はダラっと長く垂れ、白装束を着ていました。私の寝ているベッドの足元と、壁には、隙間はないはずなのに、そこに立っているようです。全身の毛が逆立ち、恐怖のあまり目を強く瞑りました。

「まずい、目を瞑ってしまった」

 このときの私はそう思いました。

 なぜなら、どんな怖いお話や、映画でも目を瞑った後は、必ずといっていいほど目の前に現れるとゆうお決まりのパターンがあるからです。

 その夜は、二度目に目を開けることはなく、気が付くと朝になっていて、足元の女性は消えていました。


「怖かったけど、良い経験をしたな」と友人への話のネタとして納得しました。


【二日目の夜】

 そして、翌日もいつものように生活し、寝支度を始めます。

 昨日のことなどすっかり忘れ、眠りにつく私。



 私はまた夢の中にいました。

 いつも行っている友人の部屋。

「ちょっとトイレにいってくる」

 そう言って私は友人の部屋を出ました。友人の家は、古い民家のようで階段を降りると玄関があり、その隣にトイレがありました。

 階段を降りきった私は、トイレを探します。なかなかトイレが見つからない。


「あれ?」


「これは絶対に違う」


 私は気付くのが遅くなってしまいました。
 暖炉や、一人がけの立派なソファや蝋燭のある洋館のような部屋で必死にトイレを探していたのです。


 ヤバいと感じた私は、急いで先程降りてきた階段に戻りました。駆け上がろうと階段を上がろうとした時、足が重いことに気が付きます。

 重い、とにかく足が重い。

 ですが、恐怖のため無理矢理でも足を動かし階段を上がり始めました。

 が、徐々に徐々に足が動かなくなってゆき、とうとう私の身体は動かなくなります。上には友人達のいる部屋があり、そこから光が見えます。

 手を伸ばし、「た、す、け、て、」と口を動かしましたが、声すら出ません。

 昨日と同じだ。

 と思った時、また【御経】が聞こえてきたのです。

 御経に意識が吸い込まれるように、現実の世界へと戻ってきました。久しぶりに空気を吸ったような感覚になり、呼吸は荒く乱れていました。

 案の定、身体は動かず、また金縛りにあっているようです。

「またか」と思い、今回は初めから眼球を動かしてみると、足元には昨日と同じ女性が。

 霊はなにかを伝えたい時にも現れると聞いたことがあるため、その日はそこまでは怖がらず女を観察してみることにしました。

 女はとにかくもやもやしていて、姿形が本当になにもわからないのです。一つだけ分かるとすれば、定番の白装束に黒髪で長い髪を垂らしているとゆうこと。

 それ以外は、話さないし動かないし、襲ってくる様子もない。

 私は、夢での疲れからか眠りについてしまうのでした。



【三日目の夜】

 何も変わらない一日を過ごした私は、この夜もいつものように眠りにつきましたが、この日だけは夢を見ず、夜中に目を覚ましました。

「まただ」私の身体は金縛りにあっていました。

 もういい加減にしてくれと半ば苛々していた私は、足元を確認します。

 今日も女性がいました。

 霊も三日目になると慣れてくるもので、なにも感じなくなっています。私は金縛りから逃れる方法を模索しようと色々試そうと思い、身体を動かし始めました。

 上から全身を抑え込まれているような感覚。

 とにかく身体のどの部分も上には動かないのです。

 ですが、一つ発見しました。

 なんと横にはスライド出来るのです。横に動くことを発見した私は、仰向けのまま身体をベッドの横にずらしていき、身体を起き上がらせることが出来る位置まで来たところで、うつ伏せになることに成功しました。

「よし」私はここにくるまでには、滝のような汗を流していました。

 腕立て伏せの要領で、両腕に力を込め身体を起こそうとしたその時。




 右側から視線を感じました。

 私は反射的に見てしまったのです。


 なぜか目線をそちらに向けてしまったのです。



 両手の甲に顎を乗せ、青白い顔でこちらをじっと見つめる30代くらいの男がいました。

 距離は30センチもありません。

 生きてるヒトではないことはわかりました。

 なぜならその男に身体はなく、頭と腕だけで宙に浮いていたからです。

 私は恐怖のあまり気を失ったのだと思います。
その後の記憶はありません。



 朝になり、目を覚ますと夜中の出来事について考えました。あの男と女は、何者で、なぜ私のことを見ていたのか。

 家の近所の川は、自殺の名所で、子どもの頃から靴が二足並んで置いてあるのをよく見たことがありました。

 死体が流れ着くこともありました。

 幼い頃の兄が、この部屋で「女の人を見た」と泣きながら走ってきたこと、兄が突然夜中に起きて、ふらふらと窓を開け、みんなの前で飛び降りようとしたこと。

 なにか関係しているとしか思えません。


 そして男は、金縛りから逃れようとする私をいつから観察していたのでしょう。


 その後は、その部屋ではなにも起こらず、大人になり家を出ることになったのですが、今では弟がその家に住んでいます。

 あの男と女はもう出ていっているといいのですが、たまに遊びに行く時は、やはり気になってしまいます。

 そろそろ夏が近付いてきましたので、こんなお話をさせて頂きました。

 暇つぶしになればと思いましたが、いかがだったでしょうか。金縛りは霊の仕業だと思うか、疲れからくるものか、はたまた夢か、現実か。

 夢にしては、現実味があり過ぎましたし、夢から覚めた後の出来事でもあります。私には、霊の存在を否定することがとても難しくなってしまいました。

 様々な経験があり、受け取り方は人それぞれだとは思いますが、こういった経験をした人間がここにいるということを覚えておいてほしいです。

 霊能力が霊が見えると言うのも信じる価値はありそうです。

 FIVE HUNDRED代表あつ氏でした。

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