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小池舞
2022年4月10日 19:40
彼女がため息をついたのは、私が全てを吐き出しきった後だった。「大体わかった。で、どうするの?」ハツはいつでも合理的だ。でも私が欲しいのは解決策ではなく、上っ面でいいから寄り添いの言葉なんだ。せめて、ハツ自身の評価がほしい。「いや別に、反対しない。でもさ、今後のことを思うとね。」副流煙で充満した空気が肺を出入りすると、自分がそのまま煙になってしまいそうになる。ハツはやたら細長いそれを愛用して
2020年5月29日 20:17
あらぬ場所に私はいる。そこは井戸の中かも知れないし、とんかちで叩かれた頭の中かも知れないし、からくり人形の中かもしれない。鼠取りに一部を取られたから、四肢の残りを以て動く。葬儀場からは狼煙が上がって、嫌に咽ぶものだ。「向こう岸」と記された立て板は墨が滲み、経年の劣化が著しい。「ここ、ここに居るんだ。」喉元を響かせる老人の声が頭上から降ってくる。何か用か、と言い掛けて止め