すずめ

私とは何か

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最近の記事

閑話「ぐるぐるまわる思考の話」

こちらの絵画はゴッホの『Cypresses』。 Cypressesは、和訳するとイトスギ。 イトスギの花言葉は「死、絶望、哀悼、正義の人、永遠の悲しみ、不死、再生」である。 この花言葉には由来があり、イエス・キリストが磔にされた木であるとか、ギリシア神話で美少年が姿を変えた木であるとか、そのようなことからつけられたと言われている。 「花言葉って、何を基準に決めてるの?」と事あるごとに思っていたので、長年のもやもやが一つ晴れてよかったが、謎がとけてしまい、少し寂しくもあ

    • 教科書文学のすすめ6「思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを(小野小町)」そんな恋ばかりしていた

      私は、30代、既婚者です。 まるで恋をしたことなどないかのように、母親として、おばさんとして、それらしく振る舞う毎日を送っています。 しかし、私にも人並みに恋をした経験があるはずなので、この記事をきっかけに、少し思い出してみることにしました。 私は本当に見る目がないようで、友人から「なんで?」と思われるような人とお付き合いすることがほとんどでした。 偽名を使われていたり、本命じゃなかったり、突然連絡が取れなくなったりという、こじれた恋愛ばかりなぜか選んでしまうのです。

      • 教科書文学のすすめ5「羅生門(芥川龍之介)」そんな人間もいるということ

        拝啓 4月から高校生になる君たちは、これから始まる高校生活に、胸を踊らせている頃だと思います。 新しい出会い、新しい教室に、新しい空気。 眩しい朝日の中、少し目を細めた君を、私達大人も誇らしく、愛らしく感じています。 そんなみなさんに、ぜひ読んでいただきたいお話があるので紹介します。 まったくもって自分の範疇では理解できない人間もこの世の中には存在するということ 春になると、羅生門を思い出すのは私だけでしょうか。 私も15の春、田舎の進学校に合格し、意気揚々と高

        • 教科書文学のすすめ4「咳をしても一人(尾崎放哉)」コロナ禍で感じる孤独に寄り添う

          これが俳句なの?と思ったあの頃。自由律というものを知った時の衝撃。 自由律俳句とは「5・7・5のリズムにとらわれず自由に表現しようとする俳句」のことです。 自由律俳句、といえば種田山頭火か尾崎放哉を思い出すのは私だけでしょうか。 この句は尾崎放哉がどうしようもない人で、お酒に溺れて、一人ぼっちで寂しくなった時のものだと、学校で教わった記憶があります。 尾崎放哉は晩年を小豆島の西光寺の奥の院、南郷庵で過ごされました。 (現在は小豆島尾崎放哉記念館になっているようです。)

        閑話「ぐるぐるまわる思考の話」

        • 教科書文学のすすめ6「思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを(小野小町)」そんな恋ばかりしていた

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          教科書文学のすすめ3「雨ニモマケズ(宮沢賢治)」そういうものに私もなりたい

          今日は3月11日ですね。 私はあの頃、大学生で、朝の5時からコンビニでアルバイトをしていました。 アルバイトのあとは講義がなかったので、帰宅して仮眠をとっていたのですが、その最中、姉からの電話で起こされたのが、15時でした。 「あなただけ連絡がつかなくて、心配してた」 そう言う姉の声は、強張っていたように思います。 「大変なことになっているからテレビをつけて」 飛び起きてテレビをつけた、あの時の、あの中継の衝撃は、何年経っても忘れることができません。 当時、私の

          教科書文学のすすめ3「雨ニモマケズ(宮沢賢治)」そういうものに私もなりたい

          教科書文学のすすめ2「わたしと小鳥とすずと(金子みすゞ)」みすゞ忌に思いを馳せる

          3月8日は国際女性デーでしたが、今日は何の日?とふと思い立ち、調べてみると、金子みすゞさんの命日でした。 みすゞ忌法要が、山口県のお寺で執り行われているそうです。 ということで、今回は金子みすゞ「わたしと小鳥とすずと」を紹介します…と言って、本来であれば引用するところなのですが、今回は引用しないことにしました。 なぜかというと、青空文庫で金子みすゞ作品を検索すると、作者の人物像について説明する欄に、 このような文章が掲載されており、入力作業を控えているようでした。

          教科書文学のすすめ2「わたしと小鳥とすずと(金子みすゞ)」みすゞ忌に思いを馳せる

          教科書文学のすすめ1「わたしが一番きれいだったとき(茨木のり子)」この瞬間に一番きれいな人たちへ

          今日は、茨木のり子「わたしが一番きれいだったとき」です。 正直、このご時世にあまりにもしんみりとしてしまう詩の紹介から「教科書文学のすすめ」をスタートするのはどうなのか?と迷いましたが、やっぱり紹介しようと思います。 朝の情報番組で、某国の銃を持つ美しい人の写真が取り上げられていました。 その写真の意図や真偽はさておき、私はその写真を見て「きれいな人だなあ、かなしいなあ」という気持ちになり、ふとこの詩を思い出したのです。 そして今日、この「わたしが一番きれいだったとき

          教科書文学のすすめ1「わたしが一番きれいだったとき(茨木のり子)」この瞬間に一番きれいな人たちへ

          教科書文学のすすめ

          大人になってから、教科書の内容を、ふと思い出すことはありませんか? 羅生門、檸檬、山月記、徒然草など、タイトルを見れば、初めて教科書で文学作品に触れた、あの時の感情や衝撃を思い出すことができる人も多いのではないでしょうか。 「教科書文学のすすめ」では、30代の私が、今読みたい、あの時の国語の教科書に掲載されている文学作品を改めて読んだり、思い出したり、考えたりしていきます。 今後はこちらのページに目次のように記事を一覧として載せると思います。 不定期更新ですので、よろ

          教科書文学のすすめ

          何も成し遂げられなかった私へ

           私の頭の中にはいつも、文字がうようよと泳いでいる。  ニュースやSNSだけでなく、すれ違う人の一言にまで、すぐに影響されてあれこれ考える癖がある。それを誰にもどこにも出さずにいて、ぐつぐつと煮詰まると、膨張して爆発しそうになるので、ちょうどいい頃合いに発散させる必要があると日頃から感じていた。  その作業をこのnoteでやってみようと思う。  うようよと泳ぐ文字をここに整理して並べていくことで、魚拓か、魚屋か、水族館か、何になるかはわからないが、何も成し遂げてこなかっ

          何も成し遂げられなかった私へ