" 気付かないもの 短歌 "
ゆるやかに張り巡らされし糸により
囲む街のなか灯りがともる
前だけを見てばかりいると見失う
あとからわかる日常がある
電線は五線紙のごとし
雀らが止まってゐたり ソの音の上
連休最終日の夜、兄から「今、万博公園で花火大会や」と写真が送られてきました。
「周りの灯りの色と相まって綺麗やなぁ」と返すと
「あとで気がついたけど電線がじゃま」というメッセージが返ってきました。
でも電線で奥行きが感じられてていいんちゃう?みたいな返事を返すと、
さらに2枚目が、送られてきて、
「これも気になる」と書き添えられていました。
「これは………。」と返すと
「せやろ」と返ってきた返事。
その後にひとこと
「電線多いし。でも目で見てるときはアタマで消してるねんな」
深そうで、そうでもない言葉でした。
家の窓から見ると太い電線がもうそこにあり、散歩に出かけるのも電線に沿って歩いて行き、
公園で写真を撮ると
この景色ではまだ目立っていませんが、
少し前の台風のときの夕焼け
撮ってるときは、電線も電柱も写した覚えはないのに。
もっと前の写真を探すと、
三日月がかわいくて撮った夜も
街の光は綺麗だから敢えて一緒に撮ろう、と。
? たくさんの電柱がそびえ立っていました。
この下は、もうなんの写真やら。
でもよく見ると、
三日月に黒い大きな犬が遠吠えしていたのです。
そして、引き伸ばすと電線は気を遣ってそっと三日月の後ろへ回っていたのでした。
電線は闇にかがよふ三日月を
遮ることなく背景に染む