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Prologue.│ はじまりの海

Apr.2022

素敵なホテルでランチをするより、美しい建物や自然の綺麗な場所でおいしい料理を食べるのが好き。

親友の「ホテルビュッフェに行きたい」という言葉にはそこまで乗り気でなかったけど、いつのまにか「海辺でランチしたい」に変わっていたので願ったり叶ったり。ドライブしながら久しぶりに逗子へ

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神奈川の海といえば江ノ島だけれど、正直あまり綺麗ではない。でも葉山の海は、青くて好きだ。鎌倉もいい。

数年前に旅行した奄美大島や加計呂麻島は信じられないくらい水が澄んでいるけれど、海岸が違うだけで海の青は全然ちがう。ここも同じで、それぞれの場所で人が生活する街と海が共にある感じが好きなのかもしれない。

彼女が見つけたレストランは、海の目の前にあった。

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L'essenZa  Hayama​


青と白の外観が可愛い。予約していた、海が見える窓辺のテーブル席へ通される。

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静止画のような海の映像に、ときどき人や車が通り過ぎていく。ご夫婦二人だけで切り盛りしているのか、静かでちいさな店内は料理を作る いい香りが漂っていて。

土日はコースのみとのことだったけれど、これが正解。ゆっくりと海を眺めながら、少しずつ美味しい料理が運ばれてくる。

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二人だと2種類のパスタをシェアできるのも嬉しい。春キャベツのペペロンチーノがほんとうに美味しかった。よく食べる親友が「一品一品が少なすぎないのがいい」と言っていたのが何だか可笑しかった。

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海ということでメイン料理は魚料理、アクアパッツァに。大好きな肉料理を選ばずにいられるようになったところ、どうでもいいけれど大人になったと感じる…

ちょっとだけ無愛想かな?と思っていたオーナーさんに「美味しかったです」と伝えると笑顔になってくれた。扉から顔を出して、笑ってお見送りをしてくれたのも嬉しかったな。

ごちそうさまでした。

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お店を出て、海沿いを散歩。

少し歩いたところに、水平線の見えるバス停があった。

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もうすっかり春というより、初夏の陽気だ。これから訪れるこの季節が、四季のなかで一番好きかもしれない。すっかりジェラートを食べたい気分になって、可愛いワゴンのお店を見つけたので歩いていく。

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Toc  tooc


散歩していると家の間からときどき見える海が綺麗で、階段をおりて砂浜へ。スニーカーで来たことが悔やまれるが、波の音を聴きながら歩く海岸線は穏やかだった。

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すっかり日は暮れて、海は夕暮れから真っ暗になった。波の寄せる音が心地いい。しばらく過ごし、そろそろ行こうかと思ったら彼女はずっと気持ちよさそうに海の音をきいていて、ちょっと意外だった。

帰りは少し遠回りだけど、海沿いの道をドライブしながら帰ることにした。自分で運転するのも好きだけれど、助手席から窓の外を眺めている時間はもっと好きだ。国道134号線はいつも渋滞するけれど、「止まっている時に波の音がきこえるのがいいね」と笑った。

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あと数日で、会社を辞めてここを離れる。これからどうなるのかまったく想像がつかないけれど、ワクワクする気持ちでいっぱい。その前に、行きたい場所や会いたい人に会っておかなければ。


 引っ越す先は、海の見える場所  。

次は どんな海の色が 見られるだろう  。


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『 旅の記憶 』の バックナンバー(1冊目)です。生まれた街を離れるまでの、小さな旅の記憶。

旅の記憶 Ⅰ( Apr.2022~ )

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